ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん / みさこ (Dr)

メンバー全員自宅訪問! 異例の個別インタビューでバンドの本質に迫る

最初はドッキリでも仕掛けられてるのかと思った

──音楽を始めたのはいつ頃からなんですか?

私は自分から何かに興味を持つことがなくて、何をするにもずっと友達に引っぱられてやってるんです。小学校のときの吹奏楽部も、中学校の合唱団も友達に誘われて入ったし、高校では小学校で一緒に吹奏楽をやってた子と再会して「もう1回やろうよ」って言われて……。あ、「ハモネプ」が流行ったときに誘われて、アカペラグループに入ってたこともあります(笑)。自分の意思で入ったのは大学の軽音楽部が最初ですね。

──人に流されすぎですね(笑)。ずっとドラムをやってるんですか?

小学校の吹奏楽部で人数が足りないからってパーカッションに回されたのが最初です。でも、弦楽器は指が動かないし、管楽器だと音程が取れないし、打楽器担当でよかったと思います(笑)。

──神聖かまってちゃんに加入するまでは何をしてたんですか?

インタビュー写真

大学卒業と同時に生命保険会社に就職してチャリ営業をしつつ、メンバー募集してバンドやってました。基本ポップロックで、ちょっと和風っぽいメロディが入ってるような曲をやるバンドで。月曜猫(げつようびょう)っていう名前なんですけど。メンバーの入れ替わりが激しくて、結局きちんとしたライブは1回くらいしかしないで自然消滅しちゃって。

──それがどうしてかまってちゃんに加入することになったんでしょうか。

もともと月曜猫のメンバーを掲示板で募集してたら、の子さんが声をかけてきたんですよ(笑)。

──えっ? メンバー募集をかけてたのに逆に誘われたということ?

そうなんです。メンバー募集の「影響を受けたアーティスト」の欄に、「ファイナルファンタジー」シリーズのゲーム音楽を作ってる植松伸夫さんとか、アニソンが好きなので菅野よう子さんとか、あと戸川純さん、椎名林檎さんとかの名前を書いてたら、の子さんがそこに注目して「趣味が合いますね!」って。で、とりあえず一度会ってみようって話になったんです。の子さんがそのとき公表してたバンドのプロフィールには「東京で活動してる」って書いてあったから東京の人だと思ってたんですけど、待ち合わせ場所に指定されたスタジオが大学の軽音楽部の頃からいつも通って練習してた柏市のスタジオだったので、最初は身内が私にドッキリでも仕掛けてるのかと思ってました(笑)。

──じゃあ家が近いのは偶然だったんですね。最初にメンバーに会ったときの感想は?

mono君は「個性的な顔してるなぁ」って(笑)。の子さんはむっちゃくちゃニコニコしながら「こういう活動してます」みたいなことをひたすら喋ってました。2人とも初対面からインパクトが強かったんですけど、大学の軽音楽部にも変わった人が多かったし、まず演奏を一度見てから判断したほうがいいんじゃないかと思って、とりあえず次の日にスタジオでセッションしたんです。そこでお互いのプレイを観て、メンバーとして加入することになりました。

──それはいつ頃の話?

多分2008年の10月かな、このメンバーで初ライブをしたのが11月だったんで。

──みさこさんは、かまってちゃんのどこに惹かれて参加を決めたんですか?

の子さんの演奏してるときのカリスマ性、って言ったら大げさですけど、輝いてるなーと思ったんですよ。一緒にやってて楽しいし。だから私の場合、楽曲がいいっていうのは後から付いてきた感じですね。

──最初にスタジオでセッションしたときに、の子さんの才能を感じた?

そうですね。そのときはスタジオでただギターを弾いて歌を歌ってただけなんですけど。

──でもギタリストとしてのの子さんは、特にテクニックがあるわけではないですよね。

ないけど、私は割との子さんのギターを買ってるというか(笑)、結構好きなんですよね。実は歌よりもギターのほうが感情をきちんと勢いに乗せれる感じが私はするんです、の子さん。

の子さんのことはすごく尊敬しています

──みさこさんから見て、ほかのメンバー3人ってどういう印象ですか?

そうですね。の子さんはやっぱり、体張ってるなあと。

──あはは(笑)。

刹那の気迫がものすごくあるし、やっぱりそういう部分はすごく尊敬できます。でも、人としてそれはないだろって思うところも(笑)。ちょっと感情に左右されすぎるところもあるし、マナーもわきまえてほしいし、欠点も挙げたらきりがない(笑)。別に普通になれといってるわけではないんですけど、ついていけないとこは多々あります。

──なるほど。monoさんのことは?

インタビュー写真

庶民的で一番普通の人なんですけど、その普通の人っぷりにかなり助けられてるというか。mono君が一番かまってちゃんを支えてる感じがあります。みんなテンポがバラバラだから、それをどうにかしてくれてるのがmono君かもしれない。

──ちばぎんさんはどういう存在ですか?

mono君がみんなに気を遣ってる分、mono君のメンタル面を支えてくれる癒しの場がちばぎん。

──そうなんですか(笑)。

それぞれの趣味でいうと、アングラをかじってるのがの子さん、ゲーム音楽が好きなのがmono君、アニソンが好きなのがちばぎん。私はちょうど3人の趣味にちょっとずつかぶってる感じです。

──ちなみにみさこさん自身は、バンドの中での自分の役割は何だと感じてるんですか?

なんだろうなあ……。あの3人だけだとちょっと陰を帯び過ぎてる感じがするので、それを和らげたいというか(笑)。楽曲はポップですけど、人としてのポップ要素は欠けてるバンドなので。

ミニアルバム「友だちを殺してまで。」 / 2010年3月10日発売 / 1575円(税込) / PERFECT MUSIC / XQFL-1014

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CD収録曲
  1. ロックンロールは鳴り止まないっ
  2. ぺんてる
  3. 死にたい季節
  4. 23才の夏休み
  5. 学校に行きたくない
  6. ゆーれいみマン
  7. ちりとり
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)

アーティスト写真

の子(Vo,G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」をリリース。