ナタリー PowerPush - 神聖かまってちゃん / ちばぎん(B)
メンバー全員自宅訪問! 異例の個別インタビューでバンドの本質に迫る
自分がバンドのまとめ役です
──バンド内での自分の役割についてはどういう風に感じてますか?
まあ、まとめ役ですね。うちのバンドは本当に何も考えてないか、突き抜けた考えのやつしかいないので、それを全体見て「ちょっとこうしたらいいんじゃないか」みたいなことを言うのはだいたい僕です。家族で言えばお父さん役というか(笑)。かまってちゃんに関して言えば、ベースプレイヤーとしてというよりはそれ以外のところで存在意義を感じてるっていうのは正直ありますね。バンドの方向性とかについて話すときはだいたい僕との子の2人が中心で意見を言ってますし。
──ライブでもちばぎんさんが一番お客さんに気を遣っている感じはありますよね。
そうですね。自分で言うのもなんですけど、僕が「次の曲やろうよ」って言わないといつまでも始まらないんで(笑)。
──ちばぎんさんから見た他のメンバーの印象はどうでしょう? まずはの子さん。
の子はですね、本当にあらゆる面で子供なので、振り回されてもう嫌だって思うときも多々あるんですけど、曲とかPVとかがやっぱりすごいので、「この作品を持って来られたらしょうがないな」って思えるというか。の子はステージ映えもするし、ライブもいいときはいいし。やっぱりこのバンド続けて良かったなって感じるのは、の子のおかげですかね。
──苦労したエピソードはありますか?
それはもう! 毎回のようにあります。それは本当にあります(笑)。1日の中での浮き沈みも激しいし。例えばこの前の名古屋のライブは、の子がMCで一言もしゃべらない。で、後々聞いたら「メンバーを困らせてやろうと思った」って。なんなんだそれはと(笑)。困らせることによって何のメリットがあるんだと。
──わはは!(笑)
もう本当に普通にやってくれっていう感じですね。
──monoさんに関してはどうでしょう?
mono君はなんかバンドのお母さん的な、細かいことは考えてないけど、いてくれると安心するみたいな、そういう感じです(笑)。
──みさこさんは?
みさこさんはいつでもニコニコ。バンドの重たいミーティングの最中でも「今それを言うか!」という発言も多々あって。でもやっぱりそれが時には頼もしいというか。スタジオでもステージの上でも一緒ですね。
──ちばぎんさん的には、かまってちゃんをどういう方向に進めていきたいと思ってるんですか?
僕の希望としては業界に染まらず、このままできることをやっていけばいいかなとは思うんですけど。1曲1曲終わるたびにMCを挟んでグダグダやるっていうライブも、見る人にもよるとは思いますけど味っちゃ味かなとも思うので。配信に関しても、今の僕らを築き上げてきてくれたものだから、そっちもライブの合間を縫ってやっていけたらなと思ってます。
──バンドに入った当時から今のように人気が出るというのは予想していましたか?
全然、ぜんっぜん! そんなもうまさかですよ。とにかく信じられない。なぜこんなことになってしまったのかっていう、本当に(笑)。それだけですね。
1カ月後には解散してるんじゃないかっていう気もする
──それでは最後に、ちばぎんさんが今一番気になってることって何ですか?
いや、それはもう「この先どうなっていくのか」ってことですよ。
──それはバンドの話? それとも自分の人生の話?
どっちもですね(笑)。どっちも全然先が見えないので、時に希望に満ちた気持ちになり、時に不安に満ちた気持ちになりっていう毎日を過ごしてます。
──じゃあ将来設計みたいなものはない?
いや、もうこのバンドにいたらそんなものは作れないですね。それは無理ですよ!
──わはは!(笑)
安定して売れてラルクやミスチルみたいになれる気もしないですし、こんなにいろんな人に迷惑かけてるのに1カ月後には解散してるんじゃないかっていう気もするし……。
──でも今はこのバンドでやっていこうと決めてがんばってるわけですよね。
うーん、でも僕は基本自己主張もそんなにないし、正直本当に人前に出るのが苦手で。緊張するんですよね。そんな人間なんで、縁の下の力持ちじゃないですけど、ステージでもそうですけどあんまり目立たないところでうまくバンドをまとめていけたらいいな、と思います。それくらいな感じです。
神聖かまってちゃん(しんせいかまってちゃん)
の子(Vo,G)、mono(Key)、ちばぎん(B)、みさこ(Dr)の千葉県在住メンバーからなるロックバンド。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ビデオクリップの公開といったインターネットでの動画配信で注目を集める。2009年には1600組の応募バンドの中から選ばれ、一般公募枠で「SUMMER SONIC 09」に出演。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やし続けている。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」をリリース。