KALMA「TEEN TEEN TEEN」インタビュー|10代のエネルギーと勢いを北海道から発信 メジャーデビュー作に詰め込んだ熱い思い

「夢を持てているお前がうらやましい」

──皆さんは、なんでバンドに惹かれるんだと思いますか?

KALMA

畑山 ラッパーも好きだし、シンガーソングライターの方の曲も好きなんです。でも、やっぱりバンドの音楽が一番なんですよね。みんなで一緒に楽器を弾いて、日によって違うライブをやって……そこには、バンドならではのものがあるような気がする。なんでバンドが好きなのかは具体的にはわからないですけど、自分がバンドをやっていてバンドが大好きで……だからバンドがいいんです(笑)。

斉藤 自分たちがバンドをやっていて楽しい。そこに尽きるような気もするよね。振り返ってみても、高校時代はバンドをやっていることが何より楽しかったし。俺らがバンドを始めてから、同級生もバンド系の音楽を聴き始めたり、俺たちの曲を聴いてくれる人たちもいたし。

畑山 そうだね。学園祭でも、最初は同じ学年には俺らしかバンドはいなかったんですけど、3年になる頃には女の子4人組のバンドとかも出るようになって。もしかしたら、それは俺らの影響なのかなと思っているんです。俺らが楽しそうにバンドをやっていたのかなと。放課後に制服のままスタジオに行って、ライブも制服で行ったりしていたし。学校を休んで東京にライブしに行ったり。

──そういう光景が、周りの同世代たちには魅力的に見えていたのかもしれないですね。

畑山 その反面、俺は将来を決めるのが遅くなったんですけどね。周りが大学や就職を決めていく中で、俺だけは決まっていなくて、学校もバンド活動で休んでしまうから将来に対する不安もあったんです。でも、そういう不安をクラスメイトに話したとき、そいつらが「俺たちからしたら、東京でライブやって夢を持てているお前がうらやましいよ」と言ってくれたことがあって。それはすごくうれしかったですね。そのときの気持ちは、前作の「デイズ」という曲なんかにすごく出ていると思うんですけど。

「もう決めたんだ!」「運命なんて信じないんだ!」

──確かに前作の「DAYS E.P.」は皆さんが高校を卒業して、外に出ていくタイミングのアンニュイな気分が絶妙に表現された作品でした。でも、メジャーデビュー作となる新作「TEEN TEEN TEEN」の1曲目の「これでいいんだ」はすごく肯定的な曲ですよね。この全肯定感が生まれてきた変化がすごく興味深いです。

畑山悠月(Vo, G)

畑山 「これでいいんだ」は、もうタイトル通りなんですよね。それこそ「デイズ」もそうですし、「僕たちの唄」なんかもそうですけど、これまでの俺らの曲は問いかける曲だったと思うんです。決意はあるけど、語尾に「?」が付くような感じというか……自信を持って歌っていたけど、ちょっと不安があった気がするんです。でも、どんどん感覚が変わってきたんです。

──それはメジャーデビューが決定したことも影響していますか?

畑山 いや、メジャーデビューがどうこうというよりは、自分の気持ちがわかってきたというほうがしっくりきます。自分らしくいるためにはどうすればいいかわかってきたという感じで。「デイズ」でも「自分らしくいよう」ということは歌っていたんですよ。でも、今ほど自信はなくて、自分自身に言い聞かせるようにして歌っていたんです。でも、「これでいいんだ」を書いたときは不安がなかった。「自分らしくいることはできるかな?」じゃくて、「自分らしくいよう!」と思えていたし、それが正解なんだってわかった。だから歌詞でも言い切っているんですよね。「もう決めたんだ!」「運命なんて信じないんだ!」と。

──なるほど。

左から畑山悠月(Vo, G)、斉藤陸斗(B)。

畑山 それは、お客さんが全国的に増えてきたり、ライブに呼ばれることが増えてきているからこそ思えたのかもしれないです。周りの人たちがいたからこそ、「これでいいんだ」と思えたんだと思う。

──あと、今作には皆さんの地元の景色や、身近な人たちとの関係が歌われている曲が多いような気がしました。

畑山 そうかもしれないです。「雪のまち」もそうだし、「コーラ」もそうだし、あと「素晴らしい毎日」の歌詞で「虹色の公園 アイツの家」と歌っていますけど、「虹色の公園」は「DAYS E.P.」のジャケットでも使っている公園で、「アイツの家」というのは、陸斗の家のことなんです。知ってた?(笑)

斉藤 知らなかった。

金田 俺、「素晴らしい毎日」の歌詞の「『明日こそうまくいくよ』ってイヤホンから聴こえた あのバンドの新譜に ひとりでニヤけてしまった」っていう部分の“あのバンド”がどのバンドなのか気になってた。

金田竜也(Dr)

畑山 そこはね、ミスチル。「明日こそうまくいくよ」と直接歌っているわけではないんだけど、ミスチルが同じようなことを歌っていたんだよね。最初は「ミスチルの新譜」と書いていたくらいなんだけど(笑)。

──「素晴らしい毎日」はそれくらい具体的に思い描ける風景があるんですね。

畑山 そうですね。「素晴らしい毎日」は「これでいいんだ」よりも、俺ら自身のことを想像してもらいやすいんじゃないかなと思うし、聴いている人たち自身にも当てはまるところがあるんじゃないかと思います。

──この曲は「素晴らしい毎日を 今日も生きていきます こんな平凡な日々が ずっと 続きますように」と歌われますけど、これまで「イノセント・デイズ」や「DAYS E.P.」といったタイトルの作品を出してきたことと地続きの思いを感じさせます。「日々」に対する思いというか。

畑山 まさしく、「イノセント・デイズ」「DAYS」と出してきたこともあって、「日々」というワードはどうしても歌詞に入れたかったんですよね。「日々」という言葉って、昨日でもあるし、今日でもあるし、明日でもあるし、1年後でもあるし、2年後でもあるし……誰にでもイメージを膨らませることができると思うんです。もし自分が聴いている曲で「日々」というワードが出てきたら、ハッとする。だから、この言葉が好きなんです。

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