ナタリー PowerPush - カフカ×高山都×森川裕之(organic stereo)

座談会で紐解く「進化」と「再生」

「ai」は初めてのラブソング

高山都

──ここからはメンバー4人と高山さん、森川さんに、思い入れのある曲、印象深い曲をそれぞれ挙げてもらおうと思うんですが。まず高山さん、どうでしょう?

高山 私は「addicted to xxx」ですね。この曲がずっと頭の中をループする。どの曲も好きなんだけど、1曲挙げるならこれですね。

カネコ それはうれしいですね。実はこの曲の歌詞は、「Snow white is dead」のPVに出てもらったときの都ちゃんのイメージで書いたんですよ。

高山 ウソ!?(笑)

カネコ あの曲のビデオでも、セクシーな感じを出してくれってお願いして。キレイなんだけどきわどい感じ、夜の黒い感じがある。そういう女性のイメージなんです。

森川裕之

──森川さんは?

森川 「彼女は海で」ですね。この曲は段違いに時間がかかったんです。これがさっき話した、最初に全然違うものを提示した曲なんですよ。メンバーの曲への思い入れも感じ取れたし、それをどう落としこむかが重要だと思って。すりあわせながら時間をかけて作っていきました。

──メンバーの皆さんはどうでしょう? 

フジイ 僕は「annular torus」ですね。この曲と「水瓶とラクダ」というのがけっこう古い曲で、ウチュウが入る前から作っていて。「呼吸 -inhale-」「呼吸 -exhale-」 の2作を出したときには雰囲気が合わないから入れなかったんです。1年くらい溜めてやっと出せるようになった曲なので、思い入れがありますね。

ヨシミナオヤ(B) 僕は「ai」ですね。この曲はシンプルだけど奥行きがある。メロディに関しても「こうしたほうがいい」って細かく口を出しました。

ミウラ 僕も「ai」です。この曲はギターのフレーズにすごく苦戦したんですよ。歌のメロディがすごくいいから意外なフレーズを載せたいと思ってたんですけど、なかなか出てこなくて。特にサビのフレーズは最後まで悩みました。

ヨシミ それと、この曲はカフカで初めてのラブソングなんですよね。コウタに「ラブソング、やっちゃえよ」って言って。

ヨシミナオヤ(B)

高山 でも「人はそれを愛と呼んで その言葉が嫌いだったよ」っていう歌詞はコウタくんらしいなって感じがするな。

カネコ ラブソングって普段聴かないんですよ。だから何を歌えばいいかわからなくて、その結果がこれだった。ラブソングと言っても、これは恋の歌って感じではないんですよね。愛について考えて歌ったから「ai」になった。新しい挑戦の曲ですね。

淡々と歌い続けることが誰かを救う

──カネコさんの思い入れのある曲は?

カネコ 「水瓶とラクダ」ですね。震災があった時期、けっこう落ち込んでしまって曲作りがうまくいかなくなったんです。被災地の映像を観ながら、この人たちのために何をしたらいいんだろう?と思って。いろんな人が動いているけれど、何もできない自分が口惜しかった。そんなときにできた曲だったんです。

──そこから曲のテーマが生まれた。

カネコ はい。歌詞ではラクダが淡々と歩いている風景を書いているんですけど、そういうことが大事だなって思ったんです。何かをしてあげるというより、淡々と歌い続けたいと思った。それが結果的に誰かを救うことができると。そこが僕にとって最初の「Rebirth」でした。その当時は「再生」というテーマもなかったんだけれど、そこから始まったんだと思います。だから、この曲のテーマが明確に伝わるアルバムができたときに入れようと思って、「呼吸」のときも見送っていたんです。今回ようやく入れられてうれしいです。

座談会の様子。

──なるほど。

カネコ で、この曲の最初のデモができたときに、映像作家の外山光男さんという方にメールを送ったんです。外山さんはアニメーションで独特の世界を描かれる方で、そのDVDを観て感動して。なんの面識もなかったけど「よかったら聴いてください」って曲を送ったら、「曲を聴いて絵を描きました」って、ラクダと少女の絵を送ってくれたんですよ。それがすごくうれしくて、泣きましたね。で、リリースが決まって「正式に発表することになりました」ってメールをしたら、PVを作らせてほしいって言われて、またうれしくて泣いて。今作っていただいてるんですけど、本当に感激しました。

高山 すごいね。行動すると叶うものだね。いい話だな。

目に見えて変わりたい

──アルバムのリリース後には、東名阪のツアーも決まっています。この「Rebirth」というアルバムをステージではどんなふうに見せたいと思っていますか?

カネコ 4人になったのでできることは格段に増えていて。ただ、生となるとどうしても再現性を気にしちゃうと思うんですけど、重きを置きたいのはそこじゃなくて。観た人が「Rebirth」を感じられるように、感覚としてそれが伝わるように、目に見えて変わりたいと思ってます。だから最近ピアノを買って猛練習してますね。

──高山さんはカフカのライブの魅力をどういうところに感じていますか?

高山 線が細そうなのに、ライブだとすごくガツンとくる音を出すバンドなんですよ。コウタくんの持ち味のイノセントな部分とあいまって、刹那的というか、瞬間が鳴らされているんだなって感覚がある。荒削りなところもあるけど、そういうところもチャーミングだし、音に命が宿るっていうのはこういうことなんだなって思います。

──透明感のあるサウンドを鳴らすバンドだからこそ、ライブならではの見え方がある。

高山 そうですね。このアルバムを聴いて初めてカフカを知った人にも、ライブを観てもらいたいですね。こういうふうに変わるんだよ!って。

左からヨシミナオヤ(B)、フジイダイシ(Dr)、ミウラウチュウ(G)、カネココウタ(Vo, G)、高山都、森川裕之。
ニューアルバム「Rebirth」2014年2月5日発売 / 2500円 / K's Factory Inc. / BRIDGE RECORDS&AGENCY / DQC-1225
収録曲
  1. 2036 -introduction-
  2. Inside of Snowdome
  3. addicted to xxx
  4. Identity
  5. 還る空
  6. 彼女は海で
  7. 水瓶とラクダ
  8. Night is fade to blue -interlude-
  9. 電気羊は夢を見ない
  10. ai
  11. dramatic irony
  12. annular torus
  13. Rebirth
ライブ情報
東名阪ワンマン「Rebirth」Release Tour「2036年宇宙の旅」
  • 2014年4月19日(土)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
  • 2014年4月20日(日)愛知県 ell. SIZE
  • 2014年4月26日(土)東京都 UNIT

イープラスにて先行受付中(2月5日~14日)

※東京・渋谷スクランブル交差点イープラスビジョンにて、2月5日から14日までワンマン公演の先行スポット放映!

「Rebirth」Release Tour「2036年宇宙の旅」~出発編~

2014年2月15日(土)東京都 TSUTAYA O-Crest
<出演者>
カフカ / ヒトリエ / Halo at 四畳半

カフカ
カフカ

2008年東京にて結成。現在はカネココウタ(Vo, G)、ヨシミナオヤ(B)、フジイダイシ(Dr)、ミウラウチュウ(G)の4人編成で活動中。2008年に1stアルバム「Memento.」、2010年に2ndアルバム「cinema」、2011年に3rdアルバム「fantasy」をリリースし、“どこにも存在しない世界の物語”をテーマにした3部作を完成させる。2013年にミウラが加入し「呼吸 -inhale-」「呼吸 -exhale-」という対になる2枚のミニアルバムを発表する。2014年2月に4thアルバム「Rebirth」をリリース。同作はこれまで提示してきたギターロックにエレクトロサウンドを大胆に導入した意欲作で、ミックスは森川裕之(organic stereo)、マスタリングは益子樹(ROVO、DUB SQUAD、ASLN)が手がけている。

高山都(たかやまみやこ)
高山都

大阪府出身のモデル、女優。スカウトをきっかけにモデル活動をスタートさせ、数々のテレビドラマやCM、映画にも出演する。2010年からはTOKYO FM「RADIO DRAGON」のレギュラーパーソナリティとしても活躍中。

organic stereo(おーがにっくすてれお)
organic stereo

森川裕之によるソロプロジェクト。小学校6年間でマリンバを習い、中学生からギターと作曲を始める。2008年に1stアルバム「The Stories Linger in My Mind」、2012年に2ndアルバム「Let Go」をリリース。そのほか「ブラタモリ」「世界の車窓から」といったテレビ番組のBGMを担当したり、映画やCMへ楽曲提供したりと幅広い活動を行っている。またスリーピースバンド・euphoriaのメンバーでもあり、The Album Leafなどの海外アーティストと競演している。