ナタリー PowerPush - カフカ×高山都×森川裕之(organic stereo)
座談会で紐解く「進化」と「再生」
4ピースバンド、カフカがニューアルバム「Rebirth」を完成させた。
昨年から4人編成となった彼らが、今作の制作にあたって掲げたテーマは「再生」。ギターロックをベースにしながらもエレクトロポップの要素を大胆に導入し、新たな音世界に挑んだ作品となった。
今回、ナタリーではメンバー4人と、TOKYO FM「RADIO DRAGON」のパーソナリティとして活躍しバンドと親交のある高山都、ミックスを担当した森川裕之(organic stereo)による6人の座談会を実施。バンドが向かった新境地について、多角的に語り合ってもらった。
取材・文 / 柴那典 撮影 / 福本和洋
なんて透明度の高い音を出すバンドなんだろう
──こういう形で語り合っていただくのは初めてだと思いますので、まずカフカと高山都さんが知り合ったきっかけから教えてもらえますでしょうか。
高山都 「RADIO DRAGON」というラジオ番組が始まってもうすぐ4年経つんですけど、始まった頃から曲をかけたり、番組で作ったコンピレーションアルバム「36.5℃」に曲を収録させてもらったりしていて。そこがきっかけですね。私、昔からすごくカフカのことが好きなんです。なんて透明度の高い音を出すバンドなんだろうって思って。
──最初は一方的に好きだった?
高山 はい。カフカには透明感だけじゃなくてソリッドな感じもあって、それですごく好きだったんです。で、2年くらい前に「Snow white is dead」という曲でPVに出演させていただきまして。そのときに現場でご一緒したり、それからもラジオで私が担当している曜日にゲストに来ていただくようになったり。そんな感じでずっと応援してきました。
──森川さんがカフカと知り合ったのは?
森川裕之 直接お会いしたのは今回の新作の制作作業に入ってからでしたね。それまでのカフカにはギターバンドという印象があったし、その状態しか知らないままお話を伺ったので。だから、新作のイメージを聴いて驚きました。そこから一緒にやっていった感じです。
4人になって殻を破れる気がした
──今回のアルバムではギターロックの範疇に収まらない、意欲的な音楽性の変化が生まれているわけですけれども。その出発点はどういうところにあったんでしょうか。
カネココウタ(Vo, G) 自分はもともとエレクトロの音楽が好きだし、森川さんのやっているorganic stereoも好きで。でも、以前は自分の中でカフカでやる音楽とそうじゃない音楽を決めてしまっていたから、いいひらめきがあっても「これは(カフカでは)できない」と勝手に思ってしまっていたんです。それがイヤだったんで、メンバーにも「エレクトロをやってみたい」という提案をかなり前からしていて。それでもまだ自分の中で決心がつかない部分や悩んでいた部分があったんですけど、去年の4月にギターの(ミウラ)ウチュウが入って「カフカってもっとすごいことができるんじゃないか」と思った。そこで殻を破れる気がしたんですね。で、「今しかない」と思って制作を始めました。
──まず最初のターニングポイントとして、4人になったということがあった。
カネコ そうですね。
──4ピースになった後、昨年には「呼吸 -inhale-」「呼吸 -exhale-」という2枚のミニアルバムをリリースしていますよね。高山さんはそこからのバンドの変化をどう感じました?
高山 前回のミニアルバムをリリースしたときも番組にゲストに来てもらって、4人になって可能性が広がったという話は聞いていたんですけど、このアルバムを聴いて「こんなに変わったんだ!」って驚きました。またカフカの新しい章が始まるんだなって。タイトルも「Rebirth」だからピッタリだなって思いましたね。リスナー側の期待として、バンドに何か変化が欲しいなとは思っていたんです。でもその変化がビックリするくらい、予想以上に素晴らしくて。その感動が大きかったんで、新作が届いてからずっとループして聴いてます。繰り返し聴くのが心地いいんですよ。
人はいつでも、気付いたときに生まれ変われる
──今回のアルバムで「Rebirth」、再生をテーマにしたというのはなぜなんでしょう?
カネコ 今回のアルバムでリスナーに対して一番言いたいことは「人はいつでも、気付いたときに生まれ変われる」ということなんです。それは大きなことじゃないんですよね。すごく些細なこと、例えば道を歩いていて花が咲いていることに気付いたり、空がキレイだと思ったりしたら、それに気付く前の自分と気付いたあとの自分には少しの違いが生まれる。その積み重ねで人が生まれ変わっていくっていうことを伝えたかったんです。例えば人との出会いも、そういう小さな再生につながっていると思うし。
──バンドにとってもそういう経験があった?
カネコ そうですね。さっき言ったように、ギターロックではない別のやりたいことができて悩んでいた時期があって。でも、ウチュウが入って吹っ切れて、「なんでもできるな」って思った。それも些細なことがきっかけで、家でぼーっとしていたときにふと気付いたんだけど、鳥肌が立つくらい自信が生まれたんです。根拠はないんですけど、そういう気持ちってみんなにあるはずだと思ったんですよね。
──ウチュウさんは自分が触媒になって化学反応を生み出す役割を果たした実感はありますか?
ミウラウチュウ(G) 僕は入って1年しか経ってないので、ビックリしてるんですよね。俺のおかげなの、これ?って(笑)。でも自分自身としても生まれ変われた1年だったと思います。
収録曲
- 2036 -introduction-
- Inside of Snowdome
- addicted to xxx
- Identity
- 還る空
- 彼女は海で
- 水瓶とラクダ
- Night is fade to blue -interlude-
- 電気羊は夢を見ない
- ai
- dramatic irony
- annular torus
- Rebirth
ライブ情報
東名阪ワンマン「Rebirth」Release Tour「2036年宇宙の旅」
- 2014年4月19日(土)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
- 2014年4月20日(日)愛知県 ell. SIZE
- 2014年4月26日(土)東京都 UNIT
イープラスにて先行受付中(2月5日~14日)
※東京・渋谷スクランブル交差点イープラスビジョンにて、2月5日から14日までワンマン公演の先行スポット放映!
「Rebirth」Release Tour「2036年宇宙の旅」~出発編~
2014年2月15日(土)東京都 TSUTAYA O-Crest
<出演者>
カフカ / ヒトリエ / Halo at 四畳半
カフカ
2008年東京にて結成。現在はカネココウタ(Vo, G)、ヨシミナオヤ(B)、フジイダイシ(Dr)、ミウラウチュウ(G)の4人編成で活動中。2008年に1stアルバム「Memento.」、2010年に2ndアルバム「cinema」、2011年に3rdアルバム「fantasy」をリリースし、“どこにも存在しない世界の物語”をテーマにした3部作を完成させる。2013年にミウラが加入し「呼吸 -inhale-」「呼吸 -exhale-」という対になる2枚のミニアルバムを発表する。2014年2月に4thアルバム「Rebirth」をリリース。同作はこれまで提示してきたギターロックにエレクトロサウンドを大胆に導入した意欲作で、ミックスは森川裕之(organic stereo)、マスタリングは益子樹(ROVO、DUB SQUAD、ASLN)が手がけている。
高山都(たかやまみやこ)
大阪府出身のモデル、女優。スカウトをきっかけにモデル活動をスタートさせ、数々のテレビドラマやCM、映画にも出演する。2010年からはTOKYO FM「RADIO DRAGON」のレギュラーパーソナリティとしても活躍中。
organic stereo(おーがにっくすてれお)
森川裕之によるソロプロジェクト。小学校6年間でマリンバを習い、中学生からギターと作曲を始める。2008年に1stアルバム「The Stories Linger in My Mind」、2012年に2ndアルバム「Let Go」をリリース。そのほか「ブラタモリ」「世界の車窓から」といったテレビ番組のBGMを担当したり、映画やCMへ楽曲提供したりと幅広い活動を行っている。またスリーピースバンド・euphoriaのメンバーでもあり、The Album Leafなどの海外アーティストと競演している。