ナタリー PowerPush - K
「音楽人生の旅」の現在地点
聴いてる人を飽きさせない流れを作ることが大切
──さらに国内のソングライターのみならず、ブライアン・マックナイトという世界的アーティストも楽曲提供しています(12曲目「2gether again」)。
昔からすごく好きなアーティストで。僕が音楽を始めたいと思った頃、ちょうど韓国でブライアン・マックナイトや彼が手がけたBoyz II Men、マライア・キャリーの曲が流行っていた時期だったので強い影響を受けてるし、1stシングルでカバーしたくらい好きなんです(2005年発売「over...」のカップリング「ONE LAST CRY」)。たまたま知り合いの紹介で彼と会う機会があって、一緒にランチをしたときに「僕に曲を書いてくれませんか」とお願いしてみたらトントン拍子に進んでいって。最初に届いたデモではすごくシンプルなアレンジだったので、彼のカラーを大切にしつつ自分の曲にしないといけないなと……歌詞も3回くらい直したのかな。かなり綿密にやり取りを進めて、結局完成までに1年以上かかりました。
──それにしても本当にいろんなタイプの曲が並んでいるのに、最後までスムーズに聴けるアルバムですね。正直このままの曲順でライブをやってみても面白いのかなと思いました。
うれしいですね。以前出したベストアルバム「K-BEST」は2枚組で曲数も多かったから、「これがもしライブだったらどうなるんだろう」ってことでセットリストを2日分決めるつもりで曲順を考えたんです。今回の場合は「On My Journey」を1曲目、「Note」を最後に歌うセットリストですよね。僕、昔は考えたことはなかったんですけど、特にアーティストになってから「リスナーの皆さんってどういう気持ちでこの作品を聴くんだろう? ここでCDを止めたくなるのかな?」と考えるようになって。聴く人それぞれ環境は違うだろうけど、要は聴いてる人を飽きさせない流れを作ることが大切だと思うんです。スムーズに聴いてもらえたってことは、きっとこの曲順は間違ってなかったんだと思います。
乃木坂46高山&深川とビデオ撮影
──そういえば「誓い ~Waiting For Love~」のビデオクリップには、KさんがMCを担当するYouTubeの番組「ソニレコ!暇つぶしTV」で共演している乃木坂46の高山一実さんと深川麻衣さんが出演していますね。Kさんは監督も務めたそうですが。
撮影当日は悪天候で大変でしたよ。まあ僕は撮る側だったんでそんなに大変じゃなかったんですけど、撮られる側の2人は大変だったんじゃないかな?(笑) このビデオではカズ(高山)と麻衣さま(深川)それぞれが恋人とデートをしてる体で撮影したんですけど、いやいや、2人ともうまいなあと思いました。スタジオでは観たことない表情を見せるし(笑)、本気を出してるなって。実は僕自身そんなにムービーを撮る経験がなかったから若干不安もあったんですけど、2人ががんばってくれた結果いいものができたんじゃないかなと思います。あと、撮ってる側としてはやっぱり照れますね。撮ってる僕が恋人役なわけですし、急に彼女たちと恋愛モードになるわけですから(笑)。
──カメラを通じて疑似デートをしてるわけですもんね。
そうですよね。カメラを手に彼女たちにいろいろ話しかけながら撮影したんですけど、やっぱり照れるわけですよ。でも2人は女優として最後までしっかりやり切ってくれて、本当に偉いなあと思いました。
──聞くところによると、高山さんとの撮影のときだけ霧がひどかったそうですが。
いやあ、やっぱりカズはそういう運を持ってるな、すごい奴だなって思いましたね(笑)。朝から午後にかけてカズと撮影したんですけど、そのときは本当に天気が悪くて。でも午後から麻衣さまと合流した頃からピーカンだったんですよ(笑)。なので麻衣さまのパートは順調に進んで……でもカズのパートでもいい絵はたくさん撮れたんですけどね。本人的には悔しいだろうなって思うんです。番組でもそうなんですけど、最終的にオイシイところを全部持っていくのはカズなんですよ。今回もある意味強運ぶりを発揮したという意味では、改めてカズってすごいなって思いましたね。
──Kさん自身が撮影したということは、Kさんはビデオの中には登場しない?
はい。最初から最後まで一切登場しないので、僕はもう楽しくて楽しくて(笑)。ちょっと新しい感覚でしたね。
──言ってみれば、自分以外の人に曲のイメージを委ねるわけですもんね。
そうですね。でも僕の顔は映らないかもしれないけど、自分の影が入るようには撮影したので……「もし自分に恋人がいて彼女を撮るんだったら、きっとこういう撮り方をするだろうな」っていうことは意識しましたね。
10周年は「恩返しをする年」に
──気付けばKさんは来年でデビュー10周年なんですよね。
そうなりますよね。どうしましょう?(笑) まあでも、やりたいこといっぱいあるんですけど、とにかく恩返しをする年なんじゃないかなと思いますね。10年間好きな音楽をね……まあそのうち2年間は留守だったんですけど(笑)、音楽ができる環境を作ってくれた周りの人に感謝すべきなんだろうなって。いろんなアーティストの10周年を見て思うんですけど、やっぱり10周年の節目ってすごく大きな意味があると思うんですよ。きっと自分にとってもそういう1年になるんだろうなって、今から考えてます。
──節目であると同時に、これからを見据える上でもすごく重要な1年にもなりそうですしね。まさにこのアルバムのタイトル通り、10周年は音楽人生という旅の途中……通過点だと思いますし。
そうですね。まだまだ先は長いと思いますし、この先どんな出会いがあるのか楽しみにしながらがんばっていきたいと思います。
収録曲
- On My Journey
- 誓い ~Waiting For Love~
- イケナイDRIVE
- Shout Of Delight
- dear...
- ターミナル
- You Make My Day
- Seeds Of Love
- 反省ゼロ
- Happy Birthday
- Christmas Time Again
- 2gether again
- Believe In Magic
- Note
K(ケイ)
1983年11月16日生まれ、韓国・ソウル出身の男性シンガーソングライター。地元ソウルの教会で続けていたピアノライブが話題となり、2005年3月にシングル「over...」で日本デビューを果たす。同年リリースしたシングル「Only Human」はテレビドラマ「1リットルの涙」の主題歌に採用され、スマッシュヒットを記録。2010年11月30日には自身初となる日本武道館での単独ライブが実現した。同年12月に初のベストアルバム「K-BEST」をリリースし、その後兵役のため2年間の活動休止に入る。2012年10月に兵役を終え、音楽活動を再開。2013年に復帰作となるミニアルバム「641」を発表した。2014年6月4日、フルアルバムとしては約5年ぶりとなる新作「On My Journey」をリリースする。