2016年春に放送されたテレビアニメ「マクロス」シリーズの最新章「マクロスΔ」において、劇中に登場する“銀河系最強の戦術音楽ユニット”ワルキューレのメンバー、美雲・ギンヌメールの歌唱パートを担当し、15歳とは思えないパワフルな歌声でアニメファンの度肝を抜いたJUNNA。アニメ放送前に配信されたワルキューレ初の楽曲「いけないボーダーライン」のレコーディング時にはまだ14歳だったという彼女は、飯島真理(リン・ミンメイ)、中島愛(ランカ・リー)、May'n(シェリル・ノーム)ら多数のスターを生んだ「マクロス」シリーズの“史上最年少歌姫”として注目を集めた。
満を持してのソロデビュー作「Vai! Ya! Vai!」には、コモリタミノル、岩里祐穂、多保孝一といった強力な作家陣が参加。往年の歌謡曲を彷彿とさせるディープかつ遊び心のある歌詞を、ハードなロックサウンドを主体としたアレンジで歌い上げる、新たな“歌謡ロック”が誕生した。音楽ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、美雲・ギンヌメールの殻を破ったJUNNAの素顔に迫った。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 草場雄介
小学生JUNNA、歌手を目指す
──JUNNAさんは歴史ある「マクロス」シリーズの“最年少歌姫”ということでデビューから大きな注目を集めました。急展開で物事が進むことに戸惑いはありませんでしたか?
去年の4月に「マクロスΔ」が始まってから今までがあっと言う間すぎて「ああ、もう1年経ったんだ」みたいな。1年の中でさまざまなことが起こりすぎて……ホントにあっと言う間で、いろんな経験ができた1年だったなと思います。
──学業との両立は相当大変だと思うんですけど、大変な部分も含めて、そういう人生はご自身で望んでいたことですか?
はい。歌うのがとにかく好きで、小学生の頃から歌のレッスンに通ったりしていたので、ずっと歌を歌っていられることが今はすごく楽しいんです。だから、目まぐるしかったけどホントに楽しい1年でした。
──これまでは「マクロスΔ」に登場するワルキューレというユニットの一員で、あくまで作品ありきの世界観だったので、これからのソロ活動はJUNNAさんのパーソナルな部分が見えてくるんじゃないかと思います。
そうですね。ワルキューレでは美雲(・ギンヌメール。ワルキューレのエースボーカルで、アニメ「マクロスΔ」では経歴などが明かされないミステリアスな少女として描かれていた)として歌っていたので。
──ソロデビュー作「Vai! Ya! Vai!」は、声も曲調も16歳という年齢を感じさせない大人びた内容ですけど、JUNNAさんのTwitterやInstagramを見ていると、いたって普通の高校生の女の子なんですよね。「いったいどんな人なんだ?」と多くの人が感じているんじゃないかと。
ふふふ(笑)。はい。
──今回はそのあたりも紐解いていきたいと思います。子供の頃、歌に興味をもったのは大きなきっかけがあったんですか?
いえ、ただ歌が好きだっただけで。小学4年生の頃に興味本位でレッスンに通い始めて……。
──レッスンには自分から通いたいと言い出したんですか?
最初は歌が好きと言ってもカラオケによく行く程度だったんですけど、「近くに新しくレッスン場ができるみたいよ」ってお母さんが教えてくれました。まだ小学生だったから深く考えずに「あっ、行きたい!」って。
──お母さんもJUNNAさんが歌手になることを初めから応援してくれてたんですね。「親の反対を押し切って」とかではなく。
はい。そこからレッスンを始めて、6年生のときに初めてステージに立って歌ったんです。そのときに「人前で歌うのってこんなに楽しいんだ」と思って、歌手を目指すようになりました。
普通に普通の女の子から“マクロス史上最年少歌姫”へ
──歌に興味を持ち始めた頃に憧れていた歌手は?
Superflyさんとか、いきものがかりさんとか。
──小4でSuperflyはなかなかシブいですね。どんな子供でしたか?
えー、どうなんだろう。自分じゃよくわかんないけど、普通に……普通でした。
──普通に普通(笑)。すごくおとなしいわけでも、すごく活発なわけでもなく。
そうですね。普通です。
──小6で本格的に歌手を志して、「マクロスΔ」でのデビューが中学3年生のときだから、紆余曲折みたいなお話もないですよね。オーディションはどんな感じだったんですか?
私が受けたのは、レコード会社と事務所が開催していたオーディションで、そのときはダメだったんです。でもそのあと、FlyingDogさんが見つけて声をかけてくださって。
──「アニメの登場人物として歌を歌ってください」という依頼ですよね。どう思いましたか?
私はアニメをあまり観ていなかったので、「アニメの中に歌が出てくる」と言われてもピンと来なかったんです。私が知ってるアニメというと「ちびまる子ちゃん」とか「サザエさん」ぐらいだったので、どういうふうに歌が出てくるのかもわかんなかったし、いわゆるアニソンの世界がどういうものなのかも知らずに始めた感じです。
──ワルキューレの第1弾楽曲「いけないボーダーライン」が配信されたのは2015年の大晦日でした。レコーディング時はまだ14歳だったとのことですが、プロの現場で歌を録ってみたお気持ちはいかがでしたか?
最初は緊張する部分もあったんですけど、数を重ねるごとに、自分の歌をちゃんと見せると言うか、しっかり自分なりの表現をするのは楽しい作業なんだなって思えてきました。
──プロとしての高い要求に心折れるようなこともなく?
ハモリは難しくて大変でした。心折れるまではいかないですけど、「あああ……」って(笑)。
ワンオクの衝撃
──当時「こういうところがいい」と褒められた部分は?
特に言われなかったですけど、歌い終わったら「いいねえ」みたいな(笑)。でも言われる系統の曲は決まっていて、「いけボ」とか「破滅の純情」とか、今回だと表題曲の「Vai! Ya! Vai!」とか。強めでサビがガン!とくる曲ではよく「いいねえ」と言われます。
──そうですね。やはりJUNNAさんの歌声はそのあたりの曲で顕著な、重くてガツンとくる、年齢を感じさせない大人びた声が特長なのかなと思います。この歌唱法はどうやって身に付けたんでしょう。小4の頃からこんな声だったわけではないですよね。
はい(笑)。いつ身に付いたのか自分でも覚えてなくて……もちろん最初はそんなに歌えなかったし、昔の歌を聴くと自分でも「うわあ、ヘタクソだなあ」と思います。たぶん、ステージに立つごとに変わってきたのもあるし、聴く音楽もどんどん変わってきて、歌を聴いているとそういう声になるというか、「こういう声で歌いたい」と似せているうちに身に付いたんだと思います。
──リスナー傾向として、明るく軽い歌ではなく、重くて情念のこもったような歌が好きになったと。例えば先ほどあげてもらったSuperflyといきものがかりだったら、Superflyは確かに今とつながる部分を感じますね。その「こういう声で歌いたい」と思ったアーティストは?
ONE OK ROCKとか。あとお母さんが昔の歌謡曲をよく聴いていて、そういうのもだんだん聴くようになっていきました。
──なるほど。女の子がワンオクを聴いて、単純に「好き」じゃなくて「こういうふうに歌いたい」と思うのは珍しいかもしれませんね。
ONE OK ROCKのことはあまり知らなかったですけど、たまたまカラオケでMVが流れていたのを観たんですよ。それを観て「わ、この人たちすごい!」って。そこからどんどんロックが好きになっていきました。
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いきなりZepp&横アリへ
- JUNNA「Vai! Ya! Vai!」
- 2017年6月21日発売 / FlyingDog
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[CD]
2592円 / VTCL-60450
- 収録曲
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- Vai! Ya! Vai!
[作詞:西直紀 / 作曲・編曲:コモリタミノル] - JINXXX
[作詞・作曲・編曲:コモリタミノル] - Catch Me
[作詞:JUNNA、西直紀 / 作曲:SiZK&Stephen McNair / 編曲:SiZK] - 火遊び
[作詞:岩里祐穂 / 作曲・編曲:コモリタミノル / ストリングス編曲:倉内達矢] - 大人は判ってくれない
[作詞:尾上文 / 作曲・編曲:原田アツシ] - Shooting Star
[作詞:瓜生明希葉 / 作曲:多保孝一 / 編曲:中村タイチ]
7~12に各曲のカラオケバージョン収録。
- Vai! Ya! Vai!
公演情報
- JUNNA 1st ミニアルバム「Vai! Ya! Vai!」発売記念イベント「きてくれないとヴァイ!ヤ!ヴァ~イ!」
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2017年6月24日(土)東京都 ゲートシティ大崎 B1アトリウム
START 14:00
内容:ミニライブ / ハイタッチ会2017年7月9日(土)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
START 18:00
内容:ミニライブ / ハイタッチ会
- 1stワンマンツアー「JUNNA ROCK YOU TOUR 2017 ~Vai! Ya! Vai!~」
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- 2017年8月18日(金)東京都 赤坂BLITZ
- 2017年8月19日(土)東京都 赤坂BLITZ
- 2017年9月2日(土)大阪府 BIGCAT
- 2017年9月3日(日)大阪府 BIGCAT
- 2017年9月9日(土)愛知県 DIAMOND HALL
- 2017年9月10日(日)愛知県 DIAMOND HALL
- Anisong World Matsuri at Anime Expo 2017 Anisong World Matsuri ~Japan Kawaii Live~
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2017年6月30日(金)アメリカ Microsoft Theater
※JUNNA &鈴木みのり from ワルキューレとして出演。
- BILIBILI MACRO LINK -STAR PHASE × Anisong World Matsuri
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2017年7月22日(土)上海 メルセデスベンツアリーナ
※JUNNA &鈴木みのり from ワルキューレとして出演。
- 夢見るノンフィクション
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- 2017年7月27日(木)東京都 TSUTAYA O-WEST
JUNNA / Anly / オープニングアクト:過能未優 - 2017年7月28日(金)東京都 TSUTAYA O-WEST
JUNNA / Shiggy Jr. / オープニングアクト:過能未優
- 2017年7月27日(木)東京都 TSUTAYA O-WEST
- ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017
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- 2017年8月6日(日)茨城県 国営ひたち海浜公園
※ワルキューレとして出演。
- JUNNA(ジュンナ)
- 2000年11月2日、愛知県生まれのシンガー。テレビアニメ「マクロスΔ」で劇中に登場する“銀河系最強の戦術音楽ユニット”ワルキューレのメンバー、美雲・ギンヌメールの歌を担当し、2015年大晦日に配信シングル「いけないボーダーライン」でワルキューレとしてデビューを果たす。以降、2016年4~9月のアニメ放送に合わせてワルキューレでの活動が活性化し、2枚のシングルと3枚のアルバムを発表した。2016年夏には東名阪のZepp会場を回るライブツアー「SANKYO presents『マクロスΔ』戦術音楽ユニット ワルキューレ 1st LIVE in Zepp Walkure Attack!」を、2017年1月には神奈川・横浜アリーナでの2DAYSライブ「ワルキューレがとまらない」を成功させた。2017年6月に1stミニアルバム「Vai! Ya! Vai!」でソロデビュー。8月から9月にかけて1stワンマンツアー「JUNNA ROCK YOU TOUR 2017 ~Vai! Ya! Vai!~」を行う。