YouTuberジュキヤ率いるジュキぱっぱがメジャーデビュー、共同制作者・ノンラビ達也と語るデビューの方法 (2/2)

基本的に音楽のセンスはゼロ

──達也さんはジュキヤさんのソングライティングのセンスをどう感じていますか?

達也 僕は普段から曲と歌詞を一緒に書くんですけど、歌詞がうまく思い浮かばないときもあって。でもジュキヤは「奇想天外ぽんぽこぽん!!」の歌詞を1時間で書いたみたいなので、そこは素直にすごいなと思いました。僕には歌詞だけが送られてきたんですが、ジュキヤの中にはぼんやりと曲のイメージがあって、よく読むと1Aと2Aの語呂合わせもできているんですよね。なんでメロディなしで合わせられてるのか、僕にはわからなくて。なんとなく作っているにしては、歌詞がしっかりできているので僕は曲が作りやすい。

達也(Non Stop Rabbit)

達也(Non Stop Rabbit)

──ジュキヤさんのボーカルとしてのセンスは?

達也 あ、そこは本当にまったくないですね。ゼロです。

ジュキヤ いやいや、メジャーデビューするんだから少しはあるでしょ。

達也 基本的に音楽のセンスは本当にないので、そこはめっちゃ気を遣ってます。もっと具体的に言うと、歌が下手でもいいような曲の作り方をしています。下手でもある程度キャッチーなサウンドを付けてあげれば、仲間うちでワイワイやってるような盛り上がる曲は作れるんですよ。“あえて真剣に歌わせない”工夫はかなりしていますね。

──そもそもジュキヤさんと中町さんは音楽経験があるんですか?

ジュキヤ 21歳のときに、ギターを3日くらい借りて弾いただけ。すぐ止めました。

中町JP 僕は全然ないです。ヒップホップが大好きなんで、ヒップホップをめっちゃ聴くぐらいかな。

左からジュキヤ、中町JP。

左からジュキヤ、中町JP。

──「奇想天外ぽんぽこぽん!!」にはラップのパートがありますが、中町さんはそのパートを歌ってないですね。

中町JP 好きだけど、もう一生ラップは歌わないって決めてるんです。

達也 それはなぜ?

中町JP ラップが好きすぎて、一度ラップバトルに出てみたことがあるんです。地下の狭いところで素人が集まるようなラップバトルで、僕はすでにYouTubeで活動してたから、変に味方を作らないように、友達にも誰にも声をかけずに単身でそこに乗り込んで。知名度とかじゃなくて純粋にラップだけで勝負したかった。そうしたら1回戦で38歳のメガネおじさんにボコボコに負けて。それ以降、もう絶対ラップはしないと心に決めています。

ジュキヤ この話、マジで面白い。

中学生の頃から唱えている“人生トントン説”

──12月には第2弾シングルとして「人生トントン説」がリリースされます。「奇想天外ぽんぽこぽん!!」が中町さんのDMから生まれたとすれば、この「人生トントン説」はどういう経緯で生まれた楽曲なんでしょうか?

ジュキヤ この曲は僕が中学生の頃から唱えている説が由来になっています。「いいことがあったら悪いことがある。逆に悪いことあった分のいいことがある」というのをずっと言ってて、それをなんとなく歌詞にしました。

達也 ジュキヤが書いたにしては、感動する歌詞なんですよね。実際に一緒に住んでいる時期に「人生は結局トントンになる」みたいなことをたまに話していたので、この曲はジュキヤのそのままの感情が出ていると思います。ちゃんといい歌詞に仕上げてるのはさすがですね。

──「奇想天外ぽんぽこぽん!!」の歌詞は1時間で書いたと話していましたが、この曲は?

ジュキヤ これはもっと早い。寝る前に寝転がって30分くらいで書きました。普段自分が思っていることを書いているだけなので、むしろ何も考えてないくらいで。

ジュキヤ

ジュキヤ

中町JP プライベートでいつも言ってるんですよ。体調が悪いときなんか「いいことがあるはず」とかずっと言ってるんで。だから歌詞が早く書けたっていうのも納得いきますね。

──「人生トントン説」はジュキヤさんと中町さんのデュエット曲です。なぜ2人で歌うことに?

ジュキヤ 恥ずかしいんで1人で歌う選択肢はなくて、もう1人誰かに歌ってもらいたくて、それは誰でもよかったけどなんとなく純平を呼んで。

中町JP こいつの人生において「誰か呼ぶか」となったときはだいたい俺が呼ばれますから。プライベートでも動画でも全部呼ばれるので、そういう感じのノリだと思います。

中町JP

中町JP

達也 この2人のレコーディングが本当に大変で。2人しかいないのに5人で録った「奇想天外ぽんぽこぽん!!」と同じくらい時間がかかった。

──何が大変だったんですか?

達也 そもそも2人ともメロディを覚えてこない。

ジュキヤ いや、メロディが難しいだけやから。ここは伸ばして、ここは伸ばさないとか、そういうのが全然覚えられなかった。

達也 それをレコーディングでイチから教えていくのがものすごく大変で……。

──仮歌のようなデモはなかったんですか?

達也 もちろん用意してます。うちのボーカルにしっかり歌わせた完璧な仮歌を。

ジュキヤ あの仮歌でよかったよね。

達也 君たちの曲なんだから、それはダメだろ(笑)。

歌詞を送るだけでプロが曲作ってくれる

──ジュキヤさんは作曲をしている達也さんのことをどう思っているんですか?

ジュキヤ 自分の思っていたものを作ってくれる人ですね。めっちゃ助かってます。

達也 基本的には歌詞しか送られて来ないので、曲を作る前にいろいろヒアリングするんですよ。「最近聴いた曲だとどれに近いイメージ?」とか。そういう綿密なリサーチのもと、ジュキヤが考えていることを汲み取って作っているので、そりゃジュキヤの思っていたものには近いだろうね。

──達也さんはもともとそういう曲の作り方が得意なんですか?

達也 得意というわけではないですが、楽ですね。作曲の難易度で言うと、オーダーがはっきりしていてわかりやすいほうが楽なんですよ。なのでノンラビの曲を作るよりもラフに、スラスラできますね。

ジュキヤ それで言うと、僕も楽ですね。

達也 そりゃそうだろ。

ジュキヤ 歌詞を送るだけでプロが曲作ってくれるんで。めっちゃ楽。

達也 指示を入力したら絵を描いてくれるAIみたいに思ってないよね?

ジュキヤ ハハハ。

左から中町JP、ジュキヤ、達也(Non Stop Rabbit)。

左から中町JP、ジュキヤ、達也(Non Stop Rabbit)。

──ジュキヤさんは今後どんな音楽をやっていきたいんですか?

ジュキヤ やっぱ藤井風っぽいのかな。

達也 じゃあもう無理だ。そもそも君は歌がうまくないんだもん。

ジュキヤ そっか無理か。ならもっといろんな音楽をやってみたいかな。レゲエとかやっちゃおうよ。

達也 ジュキヤは自分の中で流行ってる系統を言ってくるだけなんですよ。今は藤井風やレゲエが好きだからそう言ってるだけ。少し時間が経てば全然違うことを言ってますよ(笑)。

──レーベルの先輩としてジュキヤさんやJPさんにアドバイスはありますか?

達也 アドバイスはないですね(笑)。作詞の能力はすごいと思うし、仲がいいので制作を頼まれれば曲を作るけど、それ以外に関してはノータッチでいたいし。

ジュキヤ まあ俺ら音楽のジャンルが違うもんな。

達也 そっちにはまだジャンルとかないだろ(笑)。でもこういう関係が逆にやりやすくて。ジュキヤは何もわからないから、意見がぶつかることがないんですよ。だから僕は僕の作業に集中できるし、ジュキヤはジュキヤのやりたいことに集中できる。彼に気に入ってもらえればOKなんで、僕にとってもいい息抜きになっています。

左から中町JP、ジュキヤ、達也(Non Stop Rabbit)。

左から中町JP、ジュキヤ、達也(Non Stop Rabbit)。

プロフィール

ジュキぱっぱ

“街頭インタビュー”動画などで知られるYouTuber・ジュキヤが率いるグループ。ジュキヤの友人やゲストを招いた動画が投稿されるジュキヤのサブチャンネル・ジュキぱっぱがグループ名の由来となっている。2022年11月に「奇想天外ぽんぽこぽん!!」を配信リリースし、ポニーキャニオンよりメジャーデビューを果たす。グループのメンバーは流動的で、メジャーデビュー曲の歌唱に参加したのはジュキヤ、中町JP、こなん、わきを、MARIMO。、ゆうやの6人。12月にはジュキヤと中町JPが歌唱する新曲「人生トントン説」が配信リリースされる。

Non Stop Rabbit(ノンストップラビット)

2016年11月に埼玉で結成されたロックバンド。メンバーは晴人(Vo, B)、達也(G, Cho)、太我(Dr)の3人。路上ライブをメインに始動し、徐々に活躍の場をYouTubeやTwitterに広げた。YouTubeではミュージックビデオなどを公開する音楽メインのチャンネルと、都市伝説などを紹介するバラエティメインのチャンネルを運用しており、音楽ファンのみならず若い世代の視聴者を増やしている。2020年12月にアルバム「爆誕 -BAKUTAN-」でポニーキャニオンからメジャーデビュー。2022年7月にはテレビアニメ「転生賢者の異世界ライフ」のオープニング主題歌を収録したシングル「無自覚な天才」をリリースした。