YouTuberジュキヤ率いるジュキぱっぱがメジャーデビュー、共同制作者・ノンラビ達也と語るデビューの方法

“街頭インタビュー動画”などで知られるYouTuber・ジュキヤのサブチャンネル「ジュキぱっぱ」のメンバーが、11月16日に配信シングル「奇想天外ぽんぽこぽん!!」でポニーキャニオンよりメジャーデビューを果たす。

メインチャンネルで250万人以上、サブチャンネルで148万人以上の登録者数を誇るジュキヤ。YouTubeにはジュキヤの友人やゲストを招いた企画動画が投稿されており、今回のシングルにはジュキヤのほか中町JP、こなん、わきを、MARIMO。、ゆうやが歌唱に参加している。彼らのメジャーデビューを記念して、音楽ナタリーではジュキヤと中町JP、さらにジュキヤの音楽活動を支える共同製作者の達也(Non Stop Rabbit)の3人にインタビュー。これまで音楽活動をしてこなかったYouTuberたちが“ノリと勢い”を武器にメジャーデビューを果たすまでの経緯を聞いた。

取材・文 / 森山ド・ロ撮影 / 前田立

音楽かじってる奴が近くにおるやん

──ジュキぱっぱの楽曲制作を担当している達也さんは、ジュキヤさんとどういう関係なんでしょうか?

達也 昔からの友達ですね。まだジュキヤが愛知県に住んでいた頃にイベントで一緒になったことがあって、そのとき「泊めてほしい」と言って勝手に家に来てそのまま住み着いたのがジュキヤですね。ぶっ飛んでますが、それが出会いです。

ジュキヤ そうやったっけ?

達也 僕のほうが年上なのに、ジュキヤは最初からタメ口で「今日泊めてよ」と言ってきたんですよ。普通だったら「なんだ? この失礼な人間は」と思うのかもしれませんが、僕はけっこう人見知りをするタイプで基本的に自分から話しかけられないタイプなので、こういうふうにグイグイ来られるのが逆に新鮮で。人見知り同士だったら仲よくなるのに時間がかかるんですけど、ジュキヤの場合は最初からズケズケ入ってきたのですぐ打ち解けられたんだと思います。それに家に泊めてから半年ほど一緒に住んでいたので、仲よくもなりますよね(笑)。

左から中町JP、ジュキヤ、達也(Non Stop Rabbit)。

左から中町JP、ジュキヤ、達也(Non Stop Rabbit)。

──ジュキヤさんと達也さんはメジャーデビュー前からコラボしていましたよね。そもそもジュキヤさんはなぜ音楽を作ってみたいと思ったんですか?

ジュキヤ 自分の動画のオープニング曲が欲しいなと思ったのが最初です。でも音楽なんて作れないからどうしようってなったとき、「音楽かじってる奴が近くにおるやん」と思って。

達也 「かじってる」って(笑)。こっちはすでにメジャーデビューしてるっての!

ジュキヤ 最初は本当に30秒くらいの短い曲で、それをきっかけにちょっと長い曲を作ってみようとか、どうせならTikTokでバズらせようと思い始めて。ちなみにメジャーデビュー曲もTikTokでバズらせようというコンセプトの曲ですね。

ジュキヤ

ジュキヤ

──今日の取材に参加されている中町JPさんも今回のメジャーデビューシングルには欠かせない存在ですよね。この2人の関係に中町さんはどのように入ってきたんでしょうか?

達也 僕の家に住み着いているとき、ジュキヤは一緒に遊びたい人を誰でも連れてきてたんですよ。それで歌のレコーディングをするときに連れてきたのがJPで。僕は「話題のJPだ!」って驚きましたね。

中町JP 「話題の」と思ってたんですね。

達也 一気に動画が伸びているタイミングだったからね。

ジュキヤ 鼻もグーンと伸びてる時期。

中町JP 鼻は伸びてねえよ!

中町JP

中町JP

ノリでメジャーデビュー

──最初は動画のために音楽を始めた皆さんが、メジャーレーベルから楽曲をリリースすることになったのはなぜなんですか?

達也 そもそもはジュキヤが作文のような歌詞を送ってきたのが始まりですね。

ジュキヤ 日常的に歌詞が思い浮かんじゃうんですよね。そういうタイプなんで。

達也 嘘つくなよ!

ジュキヤ いいワードが思い付いたらメモして、達也に送るようにしています。肉付けすればすぐ歌になるようなストックはまだたくさんありますね。

達也 メモはあるかもしれないけど、本当に1mmも肉が付いてないですよ。僕が“肉付け担当”ですから。

達也(Non Stop Rabbit)

達也(Non Stop Rabbit)

ジュキヤ そうやって曲を作っているときに、これでメジャーデビューしたら面白いんじゃね?みたいな話になって。

達也 ラフな感じで曲を作ってYouTubeで発表している彼らが、突然メジャーデビューしたら確かに面白いなと思いまして。試しに僕がお世話になっているポニーキャニオンに提案してみたらまさかのOKをもらって(笑)。完全にノリでメジャーデビューすることが決まりました。

──YouTubeにはメジャーデビュー曲「奇想天外ぽんぽこぽん!!」の制作背景を追った動画が公開されています。もともと「2000件の死ね」という題名で曲を作っていたんですよね?

ジュキヤ 純平(中町JP)のところにDMで2000件くらい「死ね」っていうメッセージが届いているのがめちゃくちゃおもろくて。しかも「2000件の死ね」がすごくタイトルっぽくて、それだけでどんなことを言ったらいいかだいたい浮かんだんですよね。

達也 そういうDM、今も来てるの?

中町JP 収まりました。今は100件くらい。

ジュキヤ 100件でも十分ヤバいだろ。

──動画内では「2000件の死ね」として曲が作られていく様子が描かれていますが、実際にリリースされる楽曲のタイトルは「奇想天外ぽんぽこぽん!!」です。歌詞やメロディはそのままにタイトルのみ変更したのはメジャーを意識してのことだったんですか?

ジュキヤ さすがに「死ね」というワードが入ってると損する場面が多そうなので、ジャケット写真を撮る日に「どうする?」という話になり、すぐ変えました。「奇想天外ぽんぽこぽん!!」に意味はなくて単純に語呂がよくて、サブスクで流れてきたときにこんなタイトルの曲があったら意味わからなくて面白いかなって。タイトルを見たら一度は再生してみたくない?

達也 ちょっとわかる。

──タイトルは変更になりましたが、曲中で歌われているのは原曲と変わらずジュキヤさんから見た中町さんのアンチとの距離感ですよね。中町さんはご自身が曲のテーマになることに対してどう思っているんですか?

中町JP 「またやられたか」みたいな感覚に尽きますね。ジュキヤが勝手に僕のことをオモチャにするのは日常茶飯事なので。気付いたら曲になっていて、いきなり「はい、歌って」ということになって驚きました。メジャーデビューの話も、僕はまったく関知していなかったので、気付いたら勝手にメジャーデビューさせられたというか……。

左からジュキヤ、中町JP。

左からジュキヤ、中町JP。

──「またやられたか」と思いながらも、中町さんがジュキヤさんの思い付きについていくのはなぜなんでしょうか?

中町JP いろいろあるけど楽しいから、友達と遊んでる感覚ですね。こいつのやりたいことに付き合ってあげてるというか。それも自分の生活に余裕があるからで、もし自分のYouTubeチャンネルがBANされたらジュキヤと遊んでる暇もなくなるだろうな。だってジュキヤのチャンネルにいくら出ても、俺らにギャラが払われるわけじゃないし。メジャーデビューもあくまでジュキヤのプロジェクトであって、ほかのメンバーにどういうメリットがあるかはまだ全然わかってない(笑)。