ナタリー PowerPush - JUJU

“本性”と“生き様”刻んだ 5thアルバム「DOOR」

桑田佳祐から「がらっぱち」認定

──その「本性を見せる」というのは、今のタイミングだから……というのもあるのでしょうか?

デビュー10周年だから本性見せますじゃなく、ずっと見せてきたつもりではあるんですけど(笑)、まだまだ私の中身を知らない人はたくさんいると思うので。それに、JUJUのバラードが好きって言ってくださる声はすごくうれしいけど、そればかり歌ってたらきっとみんな飽きちゃうと思うし。もちろんこれからもバラードを歌っていくことは変わらないし、変えちゃいけないことだと思うんですけど、だからこそ今まで見せてなかった本性をちょっと見せて「こんなですけどいいですか?」みたいな(笑)。10年目にしてもう1枚新しく名刺を作り直したような感覚なんです。

──素のJUJUさんがどういう人かは、直接お話したり、ライブのMCなどを見ればすぐわかるんですけどね(笑)。

はい。ライブを観たり、ラジオを聴いたらだいたいわかる(笑)。でもよく言われるんですよ。「寡黙そう」とか「大人っぽい」とか。

──写真だけだと、神秘的なイメージを持つ人も多いでしょうね。

神秘のかけらもないですよ!(笑) でも見抜く人はすぐ見抜いてて、桑田佳祐さんは、そこまでお話したことないのに私のBLUE NOTEのライブを観て「あの人はがらっぱちだな」っておっしゃったそうです。正解!って思って(笑)。

第二の故郷ニューヨークに対する感謝

JUJU

──JUJUさんのルーツを感じられるという意味では、R&Bテイストの「hero #51」が印象的でした。第二の故郷であるニューヨークの空気感がそのままパッケージされたような曲ですね。

やっぱりニューヨークがなかったら今日の私はないし、ニューヨークにいた私とソニーをつないでくれた人がいたからこうして10年続いたっていうのもあるので……。その人とニューヨークに対する感謝の曲をどうしても入れたかったんですよね。まわりのスタッフも同じく感謝の気持ちがあったみたいで、10周年だからこそニューヨークにもう1回ちゃんと目を向けようっていう話をずっとしていたんです。

──まさに原点の風景ですね。

はい。今も心はまだあの街角にあるなっていう気もしています。

──私は行ったことがないんですけど、音を聴いているだけでニューヨークの街並みが浮かびました。

途中のクラクションの音は本当にニューヨークの音ですから。前に素材として録っておいたものを使ったんです。現地のスタジオの窓からスタッフが手を伸ばして録った街の音も入ってるんですよ。

──あともう1曲伺いたいのは、スガシカオさん作詞、亀田誠治さん作曲・プロデュースの「星月夜」。ファンタジックかつハートウォーミングなアップチューンで、今までのJUJUさんにはなかった楽曲なのかなと。

確かに。これはJ-WAVEのウィンターキャンペーンソングとして、コンセプトを考えるところから亀田さんと作った曲なんです。スガさんとは以前から「(曲を)書かせてよ」「書いてくださいよ、先輩」みたいなやり取りを会うたびにしていたものの、叶ってなくて。ある日、亀田さんから「スガくん書いてくれるって」って連絡が来たときは「やったー!」って思って、完成したものを見たら「超スガさんっぽいなー」って思いました。

──具体的にはどの辺が?

「ダッフルのポケット」「マフラーにくるまって」「ハイウェイがビュンと伸びて」とか。「私、ダッフル持っていないぞ?」ってちょっと思ったのは置いといて(笑)、都会的な冬の夜を描いた曲ということで、そのキラキラ感やアガる感じがすごくいいなって。あとこの曲は私の中で外苑あたりから渋谷までずっと国道246号を歩いてるイメージなんです。「エントツ」は代官山あたりのゴミ焼却所のやつ。勝手にそんな細かい設定もしながら聴いてます(笑)。

自分の歌は大人に聴いてほしい

──ここからは、真骨頂であるバラードについてもお聞きします。止めなければいけない思いを描いた「くちづけ」、松尾潔さん作詞で失恋から立ち上がろうとする気持ちをつづった「ねえ」など、大人の恋の曲がとても多いですね。

まあ私自身が大人ですし、大人びた子供にも聴いてほしいですけど、自分の歌はやっぱり大人に聴いてほしい。大人にしかわからない思いを歌っていきたいって気持ちも強いから、恋愛模様も一筋縄じゃいかない歌詞が多いんでしょうね。年齢を重ねると、ちょっと特殊な恋愛に陥りがちになったり、恋愛のパターンもいろいろでしょうから。

──個人的には「くちづけ」は不倫の歌に聞こえました。

さあ、どうでしょうねえ?(笑) それは聴く人の置かれてる状況次第かも。不倫じゃなくても、ままならない思いはままならない思いですから。例えば「Distance」もそういう声をいただくことが多いのですが、2番の歌詞の「ありがとうって言わないで 会えなくなってしまう気がして」とか、憧れてた先輩に告白して「ありがとう」って断られた学生さんのシチュエーションにもハマるわけですよ。だから聴く人の年代と状況で全然違う曲になるのかなって思います。

──「ねえ」は、JUJUさんのライブのバンマスも務めたことのあるPOCHIさん作曲。このコラボはどういう経緯で?

POCHIくんは何年も前から「私に曲を書きたい」って言ってくれてて、私も「いつでもどうぞ」って言ってたんです。でもだんだんアレンジの仕事が増えてきて、去年はEXILEの曲(「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため」の編曲を担当)でレコード大賞を取ったり、忙しそうだったんです。でも今回ついに書いてきてくれて。こんなきれいなバラードまで書けるようになったんだなあと思うと感慨深いです。

──お若い方なんですか?

えーっと、30代前半じゃないですかね? だから私は、そんな昔から知ってるPOCHIくんの曲に松尾さんの詞が付くっていうのがちょっとありえなくて(笑)。そろそろPOCHI先生って呼ぼうかなと思ってます(笑)。

ニューアルバム「DOOR」2014年3月5日発売 / Sony Music Associated Records
ニューアルバム「DOOR」
初回限定盤 [CD+DVD] 3990円 / AICL-2650~1
通常盤 [CD] 3150円 / AICL-2652
CD収録曲
  1. ただいま
  2. Door
  3. くちづけ
  4. 春雪
  5. 星月夜
  6. Hot Stuff
  7. Heart Beat
  8. sign
  9. Distance
  10. Who's Gonna Say It's Not
  11. hero #51
  12. ねえ
  13. ありがとう -Beginning of Everything ver.-
  14. 守ってあげたい
  15. Dreamer
初回限定盤DVD収録内容
JUJU JAZZ TOUR 2013 ライブ映像
  1. It's A Jazz Thing!!
  2. We Are In Love
  3. Take Five
  4. My Foolish Heart
  5. Misty
  6. Give Him The Ooh-la-la
  7. Sway
  8. In A Sentimental Mood
  9. When You Wish Upon A Star
  10. Summertime
  11. It Don't Mean A Thing
ニューシングル「Door / Hot Stuff」2014年2月19日発売 / Sony Music Associated Records
ニューシングル「Door / Hot Stuff」
初回限定盤 [CD+DVD] 1700円 / AICL-2636~7
通常盤 [CD] 1223円 / AICL-2638
CD収録曲
  1. Door
  2. Hot Stuff
  3. Viva La Vida
  4. Door -Instrumental-
  5. Hot Stuff -Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
JUJU PREMIUM CLASSIC CONCERT 2013 ライブ映像
  • この夜を止めてよ
  • YOU
  • Distance
  • ありがとう
JUJU(じゅじゅ)

18歳で単身渡米。ニューヨークでシンガーとしての実績を積んだのち、2004年8月にシングル「光の中へ」でメジャーデビュー。2005年から日本でのライブ活動をスタートさせる。2006年にリリースしたシングル「奇跡を望むなら...」はロングヒットを記録。2010年3月発表の3rdアルバム「JUJU」は第52回日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞し、同年9月にリリースしたカバーアルバム「Request」はオリコン2週連続1位を獲得する。2012年11月には2枚同時に初のベストアルバム「BEST STORY ~Love stories~」「BEST STORY ~Life stories~」をリリース。2011年、2013年にはジャズアルバムを発表した。2014年3月に約2年8カ月ぶりのオリジナルアルバム「DOOR」をリリース。JUJUとしての活動10周年を迎える同年4月より、全国ホールツアーを開催する。