ナタリー PowerPush - JUJU
ヒットシングル多数収録 待望4thアルバム「YOU」
初のセルフタイトルとなった3rdアルバム「JUJU」から約1年4カ月。ドラマや映画の主題歌など、タイアップ曲も数多く収録した充実の4thアルバム「YOU」がついに完成した。
自己表現がメインだった過去3作を経て、今回は“大切なあなた(YOU)”の存在を強く感じさせる仕上がりに。今回のインタビューでは、アルバムの制作秘話に加え、自身の恋愛観や家族への思いについても語ってもらった。
取材・文/川倉由起子
リスナーが一緒に歌いたいアルバムになれば
──JUJUさんのアルバムは、1stが人生、2ndが愛、3rdが女性と、それぞれにコンセプトがあったと思いますが、今回はYOU=“あなた”ということで。
そうなんです。今までの3作は自己紹介というか、私がどれだけ音楽が好きで、どんな音楽を好きかを知ってもらいたいっていう気持ちで作ったところがあって。そうやって作った前作の「JUJU」を振り返ると、当時の自分ができることの100%が出せたアルバムだったなって思うんです。なので、「JUJU」が完成した時点で「私、こんな人です!」っていうのがひと区切りした気がするんですね。
──なるほど。
で、私はいつも自分が歌いながら「聴いた人が自分で歌ってる気持ちになってくれたらうれしいな」って思ってるんですよね。だから今回もリスナーの方が一緒に歌いたいアルバムになればいいなって。実はしばらくの間、アルバムについて具体的には考えてなかったんです。でドラマや映画の主題歌に使っていただいたりしながらシングル曲が溜まっていく中で、そろそろアルバムを作らないとってなって。それで必然的にタイトルとコンセプトが「YOU」に決まりました。
──それは自分を伝える作業がひと区切りして、次のステップに行けたということ?
そうですね。ようやくここにきて「あ、聴いてくださる方がいらっしゃるんだ」って自分の中で自信が付いてきたというか。
──ようやく、ですか?
自信という意味ではそうですね。それを実感する機会もいろいろありましたし。とはいえ、この歳になると個人的にもいろいろな特別な“あなた”っていう存在がいたりもして。そういう思い出ともそろそろ向き合えたりするのかな……と思いながら歌いました。
──じゃあ今回のYOUは、聴いてくれる人のことでもありつつ、JUJUさんを通り過ぎていったいろんな男性のことでもあり……?
そうですね。通り過ぎたのは向こうか私かはさておいて、ですが(笑)。
「ウチの子、どないにしてくれんねん!?」
──今回収録された全13曲は、ほぼバラバラと言ってもいいくらい多彩な作家さんが参加されてますね。
楽曲に関しては、その都度いろんなお題のもとに募集していて。いただいたものをどんどん聴いて、この曲いいな、これはアルバムに入れたいな……みたいな作品があると、アルバムの制作時期じゃなくても取っておいたりするんです。で、今回はただただ素敵な曲に出会いたいっていう気持ちで、ピンときた曲たちをみんなで選んでいきました。今回は私と作家さんたちとの“私とあなた”の関係も大事にしたくて、自分じゃない方の曲も自然と多くなったのかな。
──今回初めて組まれる作家さんも多いですよね?
「つよがり」の高木洋一郎さん、「If」の間智子さん、「願い」の岩城由美さん、木村篤志さんもそうだし。ほとんどがそうかも。
──作家の皆さんとは、直接会って打ち合わせをするんですか?
それが、ほとんど会わないんですよ。作家さんとは。でも岩城由美さんはスタジオに来てくださって。そのときは歌を録りながらどんどん歌詞を書いていくっていうやり方でしたね。一応の骨子はありつつ、映画の主題歌でもあったから、作業途中でも「ここをもうちょっと……」っていうこともあったりして。でも、作家さんが来てくださるレコーディングって本当に珍しいんで、めちゃくちゃ緊張するんですよ。「ウチの子、どないにしてくれんねん!?」みたいに言われたらどうしようって(笑)。
──作家さんからしたら、曲は自分の子供みたいなものですからね。でも、作家さんがいると緊張するっていうのは意外かも。逆に安心するんじゃないんですね。
意外とね(笑)。もともといるのが当たり前って感じだったら違うんでしょうが、だいたい来られないことが多いので。
CD収録曲
- この夜を止めてよ
- さよならの代わりに
- つよがり
- If
- 願い
- Voice
- Love again
- Memories
- Piece Of Our Days
- Trust In You
- また明日...
- ANTIQUE
- YOU
JUJU(じゅじゅ)
18歳で単身渡米。ニューヨークでシンガーとしての実績を積んだのち、2004年8月にシングル「光の中へ」でメジャーデビュー。2005年から日本でのライブ活動をスタートさせる。2006年にリリースしたシングル「奇跡を望むなら...」は、異例のロングヒットを記録。2010年3月発表の3rdアルバム「JUJU」は第52回日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞し、同年9月にリリースしたカバーアルバム「Request」はオリコン2週連続1位を獲得する。その楽曲は多くのドラマ・映画主題歌やCMソングなどに起用され、幅広い支持を集めている。