ナタリー PowerPush - JUJU

JUJUが問いかける14曲の愛の形 2ndフルアルバム「What’s Love?」完成

ただ歌が好きで歌いたいだけ

――現在、月イチで開催中のカバーライブ「JUJU苑」についても聴きたいんですが、ご自身でもすごく楽しんでやられてます?

超楽しいですね。もともとは思い付きで始めたものなんですけど。デビューの頃からずっとシングルのカップリングにカバー曲を入れてたんですが、普通にそれをカバーアルバムとしてまとめてもつまらないし。で、その代わりに、毎月12曲を12カ月連続でライブでやるってどう?っていう案があって「面白い! それやろう!」てことで。

――確かに誰も思いつかなかったアイディアですよね。

そうですね。あと、JUJU苑をずっとやり続けてきたから、今回のコンピ盤みたいなアルバムを出してもいいんだろうなって思えるようになったんです。

――具体的に言うと?

毎月12曲を選ぶときに、こっちが提示したテーマでリクエストを受け付けて、そこから選曲していくんですけど、本当に幅が広いんですよ。ジャズからユーミンからミスチルから……って、本当に振れ幅いっぱいで。それを毎月やっているんですが、リピーターもすごく多くて。ファンの人たちもみんな、「この人は本当にただ歌が好きな人。カラオケ好きだし、音楽が好きな人なんだな」っていうのをわかってくれる人が多くなったと思うんですよね。

――なるほど。

同時に、リリースするシングルも毎回ジャンルがバラバラだったから、ビックリする人も多かったと思うんですよ。でも私はただ「歌が好きで歌いたい」っていうだけなので、良い意味でみんなの期待を裏切り続けてきただろうし、それでも私を許してくれる人が増えた気がする。そういう流れも感じてたから、今回の“俺コンピ”っていうのもたぶん大丈夫なんじゃないかなっていう。

――自信に繋がったんですね。

はい、だいぶ理解者も増えてきた気がします。

自分の曲はヘッドフォンで聴いてほしい

――最後に今後のJUJUさんの音楽性や、目指すところは?

ジャンルとしてはぜんぜんないんですけど、疲れたときに聴きたい人ナンバー1になりたいっていうのは最近よく思っていて。「疲れたなー、JUJUでも聴くかな」みたいな(笑)。

――そう思った理由はあるんですか?

「奇跡を望むなら…」以降、書き込みや手紙とかで、「あなたの声に癒されてます」っていう反応がすごく多くて。私自身のキャラは癒し系でも何でもないんですけど(笑)、そうやって自分の歌で癒される人がいるんだと思うとすごく嬉しかった。それに、そうやって私の歌を聴いて、「ありがとう」って言ってくれる人が増えたっていうのは自分にとって衝撃だったんですよね。

――はい。

だからやっぱり、歌う意味っていうのは、聴いてくれる人がいたり待っててくれる人がいて初めて意味をなすことかもしれないっていうのを思って。その道を極められたらなぁという結論に行きついたんです。あと、基本的に私は、自分の曲をヘッドフォンで聴いてほしいと思ってるんです。

――耳元で?

そう、大音量でかける曲じゃないかなとも思うし。耳元で聴いたときに、「あー癒された」って言ってもらえる歌手になるのが夢ですね。

――JUJUさんの曲や歌って、確かにそういうパワーがある気がします。

私にとって、歌というのは完全にストーリーテリングなものなので。小説を読んだり映画を観るのも一人じゃないですか? そういう感覚であるといいなぁと。(耳元に手を当てて)ここで聴いて、何かと向き合う時間にしてくれるとすごく嬉しい。聴いてくれる人が近くに感じられる存在でありたいなと思います。

2ndアルバム『What's Love?』 / 2009年3月4日発売 / 3059円(税込)AICL-1996 / Sony Music Associated Records

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JUJU(じゅじゅ)

ニューヨーク在住の女性シンガーソングライター。10代の頃からジャズ・シンガーになることを志し、18歳で単身渡米。ジャズの本場ニューヨークでセッションを重ね、シンガーとしての実績を積む。本格的なデビュー前に、窪塚洋介主演映画「凶気の桜」に主題歌を提供したほか、著名ジャズ・ミュージシャンの作品に参加するなど、その活動は多岐にわたる。2004年8月にシングル「光の中へ」で満を持してメジャーデビュー。2005年から日本でのライブ活動もスタートさせる。2006年にリリースしたシングル「奇跡を望むなら...」は、異例のロングヒットを記録。そのハスキーで甘い歌声は、男性だけでなく多くの女性からも高く支持されている。