ナタリー PowerPush - JUJU
JUJUが問いかける14曲の愛の形 2ndフルアルバム「What’s Love?」完成
「友達に対する感謝の気持ちを歌にしなさい」
――そんな「What’s Love?」で始まる今回のアルバムなんですが、男女の愛はもちろん、友情という“愛”も含まれていて。JUJUさん作詞の「君がいるから-My Best Friends」は友人への歌ですが、これはどういう経緯で生まれたんですか?
もともとコンペで上がってきた曲をいくつか聴いている中で、「うわー、これいい曲だな」という印象があって。絶対何かでカタチにしたいと思ってたんです。で、アルバムに入れようってなったときに、担当ディレクターに「お前はいつも友達にお世話になってるんだから、友達に対する感謝の気持ちを歌にしなさい」と言われて。「……うん、そっか」って思って作りました(笑)。
――特定の誰かにあてて書いてるんですか?
そうですね。友達っていつも、イチ言えば150くらい分かってくれるじゃないですか? 会うと自然に前向きになれたり、何かあってもそこに行けば心の平和を取り戻せる場所でいてくれてるっていうのはすごくありがたいなと思うので。
――あと、今回はバラエティ豊かなテイストの曲がある中で、さまざまな歌い方をされいますよね。でも、そのどれもがちゃんとJUJUさん節になっている。
トラックによって感じるものが違ったり、トラックの周波数というものがあったりするし。私はただの歌が好きな人なので、特にこれはこう変えようとかっていう企みがあったわけじゃないんですけど。
――なるほど。
レコーディングの前日に構想を練ったりするときに、たぶんこれはこういう風情で歌うといいんだろうなっていうのを考えたりとか。
――トラックから発想するもので、自然とそういう歌声になっていくということですか?
そんな感じですね。
――だからでしょうか、どれも聴いてて本当に気持ちがいいです。
ありがとうございます。
――あと、MONGOL800のキヨサクさんと「愛しい(かなしい)」という曲でコラボされてるんですが、これはどういう流れで?
キヨサクくんは、もともとただの飲み仲間なんですよ。彼が東京に来ると必ずお酒飲みに行ったり、一緒にマッサージに行ったりとかして。
――マッサージ?(笑)
そうなんです(笑)。あとカラオケに行って、『ロンリー・チャップリン』とか一緒に歌って、今度一緒に何かやれたらいいよねっていう話をずっとしてて。で、キヨサクくんが「JUJUに歌ってほしいのこれなんだよねー」って持ってきてくれたのがこの曲だったんです。
――最初に聴いたときはどうでした?
すごいいい曲だなって。切ないんだけど前向きになれる、美しい曲だなって思いまいた。たぶんこれが名曲だって思うのは、キヨサクくんの弾くギターが朴訥な感じだったから。だから変に海外のアレンジャーに頼んでアレンジを……というよりは、このままでいこうって。
――2人の歌声がすごくシンクロしてると思いました。
最初は、彼は歌う予定じゃなかったんです。でも、「いいじゃん、弾いて歌っちゃおうよ!」ってノセて(笑)。おやすみソングみたいな曲ができたかなと思いますね。
セレクテッド by JUJU
――では改めてこの1枚を振り返って、どんな作品になったと思いますか?
……(ちょっと考えて)“俺コンピ”!
――名言出ましたね!
コンピレーションみたいな作品をずっと作ってみたかったんです。今回はそれが叶って。“愛って何だろう?”というコンセプトのもとに、さまざまな愛の曲を14曲コンパイルしてみましたという感じですね。セレクテッド by JUJU。歌うのも自分だけど(笑)。
――自分太鼓判、みたいな。
はい。出し惜しみも嘘も一切なしですね。初めて自分の中で、「やり残したことないわー」っていうアルバムができたんですよね。売れなくてもいいやって思うくらい、自分では大満足な1枚になったなって。
――いろいろなアーティストのコンピではないけど、本当にコンピ盤と言われても納得する内容ですよね。
全部私だけど、ジャンルも幅広いし、いろんな種類の作家さんにも参加してもらってるし。バラードあり、ロックっぽいのあり、フォークあり、ジャズあり、ヒップホップ、ラップあり、涙あり笑いあり……で。
――いやぁ、本当に面白いです。
一番アタマに「What’s Love?」っていうテーマがあって、そこからの“愛”を考え始める曲が13曲続く。自分の中で当てはまる愛の答えが13曲の中に一つでもあればいいなって。“一緒に愛って何だか考えませんか?”っていう感じですね。
――1曲目で問題提起をして、リスナーが答え探しの旅に出かける……と。
そう。でも歌ってる本人が答え見つかってないんですけどね(笑)。でも、思い出とか現在起こっていることとかと照らし合わせてみるのもいいかもしれない。大事な人をもう一度考え直したりとか、その人のことを思い直したりっていうきっかけになれば。友達にしても男女にしても、それこそペットのことでも。
JUJU(じゅじゅ)
ニューヨーク在住の女性シンガーソングライター。10代の頃からジャズ・シンガーになることを志し、18歳で単身渡米。ジャズの本場ニューヨークでセッションを重ね、シンガーとしての実績を積む。本格的なデビュー前に、窪塚洋介主演映画「凶気の桜」に主題歌を提供したほか、著名ジャズ・ミュージシャンの作品に参加するなど、その活動は多岐にわたる。2004年8月にシングル「光の中へ」で満を持してメジャーデビュー。2005年から日本でのライブ活動もスタートさせる。2006年にリリースしたシングル「奇跡を望むなら...」は、異例のロングヒットを記録。そのハスキーで甘い歌声は、男性だけでなく多くの女性からも高く支持されている。