6月25日に公開される、オンラインライブシリーズ「JOHNNIE WALKER PRESENTS "The LIVE-HOUSE"」の第2弾にSTUTSが出演する。
「JOHNNIE WALKER PRESENTS "The LIVE-HOUSE"」はキリンビールがスコッチウイスキーブランド・ジョニーウォーカーのプロモーションとして行う配信ライブ。“KEEP WALKING 迷ったら、ときめく方へ。”というテーマのもと、さまざまなアーティストのパフォーマンスやトークが届けられる。
6月18日に公開された大比良瑞希のライブに続く第2弾となる今回は、STUTSがTAIHEI(Key / Suchmos)、Daichi Yamamotoとともに出演し、この日限りの特別な編成で魅力的なライブを繰り広げる。「JOHNNIE WALKER PRESENTS "The LIVE-HOUSE"」第2弾の配信に合わせて展開するこの特集では、STUTSのインタビューを掲載。ライブの手応えや、“KEEP WALKING 迷ったら、ときめく方へ。”というテーマにまつわる自身のターニングポイントについて話を聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 草場雄介
いろんな人がときめく方へ進んでほしい
──「JOHNNIE WALKER PRESENTS "The LIVE-HOUSE"」でのライブはいかがでした?
普段のライブとは少し違いましたね。自分とTAIHEIくん、Daichi(Yamamoto)くんの3人で演奏するのは初めてで、新曲もあったので、「どうなるかな?」とドキドキしていたんですけど、リラックスした空気感でやれたと思います。無事終わってよかった(笑)。セットリストも「TAIHEIくん、Daichiくんと一緒にやるんだったら、どういう曲がいいかな」と考えて決めました。楽しかったし、またこの3人でできる機会があればいいですね。
──TAIHEIさん、Daichiさんとはこれまでも楽曲やライブでコラボを重ねてきましたよね。
はい。「Contrast」というミニアルバムを出したあとの東名阪ツアーがバンドセットのライブで、そのときにTAIHEIくんに鍵盤を弾いてもらって。それが初共演だったんですけど、音楽的な守備範囲が広いし、何よりも鍵盤の音が素敵で。Daichiくんは知り合って4年くらい経ちますが、最高なアーティストです。
──普段、ミュージシャンやラッパーとセッションすることはあるんですか?
はい、ありますね。バンドメンバーとスタジオに入っているとき、休憩時間にセッションが始まったり。ラッパーの方が自宅スタジオに来て、遊びながらセッションすることもあって。そのときに得た感覚が曲につながることもありますね。
──「JOHNNIE WALKER PRESENTS "The LIVE-HOUSE"」のテーマは、“KEEP WALKING 迷ったら、ときめく方へ。”です。STUTSさんもこれまでの人生の中で、迷った時期があったと思うのですが。
一番は就職した会社を辞めたことですね。もともと「どんな状況でも音楽は続けていこう」と思っていたし、仕事を選ぶときも、音楽をやる時間が確保できることを第一の条件にしていたんです。コンピューターのエンジニアの仕事をやりたかったんですが、最初に入った会社がそういう部署ではなくて、転職しようと思っていたんですよ。そのときに、1stアルバム(2016年4月発表の「Pushin'」)を出したんです。
──STUTSさんは学生時代からトラックメイカーとして活動していて、2013年にはニューヨークの路上でMPCによるパフォーマンスを行い、就職後も制作を継続していますが、その最初の集大成がアルバム「Pushin'」だったと。
ニューヨークはただの卒業旅行ですけどね(笑)。「Pushin'」は2011年から2016年まで作り続けてきた曲をまとめた、それまでのベスト盤のようなアルバムです。曲を作ってると深夜になることもあるのですが、出社時間が早かったので大変でした(笑)。ただ、あのアルバムをたくさんの人に聴いてもらえたことで、「もしかしたら、音楽だけで生活できるんじゃないか」と思って。高校の頃から「音楽に挑戦できるチャンスがあったらいいな」と思っていたし、思い切ってやってみることにしたんです。3カ月くらい、ものすごく悩みましたけどね。
──まさに“ときめく方へ”進んだと。
はい。それは常に意識しているし、いろんな人がそうであったらいいなと思ってます。
すごく幸せな状況で音楽を続けている
──アーティストとしての活動が本格的に始まってから、制作に対するスタンスに変化はありましたか?
会社を辞めたばかりの頃は「いろんな曲を作らなきゃ」という気持ちがありましたけど、ずっと自分が作りたいものを作らせてもらってますね。曲を作るときの感覚もずっと変わらないし、恵まれた環境だなと思ってます。自分のオリジナル曲ではなく、CMの楽曲などを制作させてもらうときも、自分なりに楽しさを見つけていて。そもそも、曲を作ること自体が楽しいですからね(笑)。もちろん作品を生み出すときの苦しさはあるけど、大きい視点で見ると、周りの方々にも恵まれてすごく幸せな状況で音楽を続けています。
──音楽活動を始めてからも、そういったターニングポイントはありましたか?
うーん……やっぱり、会社を辞めたとき以上の決断はなかったかも(笑)。中3、高1くらいから曲を作り始めたんですけど、プロになるかならないかにかかわらず、ずっと音楽を続けたいというのは決めていたし、そこに関して迷ったことはないので。当時は「音楽で生活するなんて無理だろうな」と思いながらも、進路を決めるときは音楽のことを常に意識していたんですよ。東京の大学を選んだのも、「東京に行けば音楽活動しやすいかも」という理由で。最初は医学部を目指していたんですが、「医者になると音楽をやるのは難しいだろうな」と思って、別の学部にしたり。振り返ってみると、ずっとそんな感じだったんですよね。
──最近では、さまざまなラッパーが参加している「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌「Presence」が大反響ですね。こちらは各話ごとにバージョンが変わり、放送当日まで誰が参加しているかわからないという点でも大きな話題を呼んでいます。
素晴らしい作品の主題歌を担当させてもらえて光栄でしたし、無事に発表できてよかったです。自分のこれまでのスタイルを生かしながら、参加してくれたラッパーの皆さん、俳優の皆さんにとってもいい形にしたくて。いろいろ悩みながら作ったので、たくさんの方々に聴いてもらえてうれしいですね。
──エンタメのド真ん中で活躍している俳優の方々と、Daichi Yamamotoさん、KID FRESINOさんといった、ストリート発祥のヒップホップシーンから頭角を現したラッパーが共演しているのも、このプロジェクトの意義ですよね。「Presence」を聴いて、日本のヒップホップに興味を持つ人は必ず増えていると思います。
そういう意識は以前からあって。ヒップホップを聴き始めたのは小6とか中1の頃なんですが、周りにはヒップホップを聴いている人がまったくいなかったので、MDに何曲も入れて、布教活動のように配っていたんです(笑)。それに近い感覚が今もありますね。そのために音楽活動をしているわけではないですが、自分の曲をきっかけにヒップホップに興味を持ってもらえるようになったらそれはうれしいことだなと。
自分のいる場所を限定したくない
──最後に、この先のビジョンについてお聞きします。これからも音楽家として“KEEP WALKING”していくと思いますが、どういう場所に向かって進んで行きたいですか?
特に考えてないかもしれません。もともと「自分のいる場所を限定したくない」という気持ちが強いし、日本に限らず、いろいろなところで活動したくて。それはただ海外に拠点を移すということではなく、たくさんの国で自分の音楽を聴いてもらえたら楽しいだろうなと。基本的には今のスタンスが一番だと思っているので、このまま活動のフィールドを広げていきたいです。
──STUTSさんは音楽が好きという気持ちを抱きながら、さまざまなフィールドで自由に創作を続けていて、本当に理想的だなと思います。
ありがとうございます。「好きだからやってる」というのが自分にとっては大事だと思うんですよね。どちらかと言えば僕は「音楽で生活するためにがんばる」というよりは「好きなことを続けていれば、いいことがあるかもしれないな」というスタンスで活動してきました。もし就職したときにエンジニアの仕事ができていたら、そのまま続けたかもしれないし(笑)。
──ちなみに今回の配信ライブはウイスキーブランド・ジョニーウォーカーが企画するものですが、STUTSさんは普段ウイスキーは飲みますか?
はい、よく飲みます。家でお酒を飲むときはウイスキーが多くて、ハイボールもロックも好きです。スコッチ系が好きなのでジョニーウォーカーの企画に参加させてもらえてうれしいです。美味しいハイボールの作り方も教えていただけたので、最近買った炭酸水メーカーと一緒に楽しみたいと思います。
※記事初出時より本文を一部変更しました。
- JOHNNIE WALKER PRESENTS "The LIVE-HOUSE"
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- 配信日時:2021年6月25日(金)20:00~
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<出演アーティスト>
STUTS / Daichi Yamamoto / TAIHEI(Suchmos)
ジョニーウォーカーとは
ジョニーウォーカーの創業者であるジョン・ウォーカーは、1820年に自身が営む小さな雑貨店で取り扱っていたスパイスや紅茶のブレンドにインスピレーションを得て、ウイスキーのブレンドを始める。ウイスキーの品質が必ずしも一定ではなかった時代に、高品質での安定供給を可能にし、さまざまな原酒をブレンドすることによりウイスキーに奥深く豊かな味わいをもたらした。以来200年にもわたり「ジョニーウォーカー」はブレンディング技術にこだわり続け、その味わいは世界No.1のスコッチウイスキーブランドとして愛されている。
2021年6月28日更新