ドリカムもジュディマリもRAMONESも全部同じ

──演奏力の向上に伴って音楽的な幅が出てきたということだったら話はわかるんですが、そうじゃないのに、この作品を作ってしまったというところが謎なんですよね。

ゾン子　だからずっともうめちゃめちゃいい曲作りたいっていう一心でやってて、そこはずっと変わってないんです。作曲テクニック的な面も別にそこまで変わってないと思う。

ユリナ　うん、だから1stアルバム（「ベイビー！キミのビートルズはボク!!!」）の「オーマイゴット！マイガール！」とかこれに入っててもおかしくないし、「JAKAJAAAAAN!!!!!」だったら「1.2.3！」とかもそうだし、多分変わってないと思うんですよ。ただ環境とやり方がわかったっていうか。まあ慣れてきたっていうか。

ゾン子　あ、でもそういえばこの前テレビでドリカムが流れてて、そのときに「ドリカムになりたい！」って思ったんです。最初の頃はそんなの思ってなかったのに。誰もがいいと思えるポップスを作りたいって気持ちが強くなったのかもしれない。

ユリナ　私もいっつも「ジュディマリになりたい」って思ってるよ。

ゾン子　ジュディマリもそうだし、ドリカムでもオザケンでもいいんだけど……。

──そういう、コアな音楽ファンじゃない人にも「いいね！」って言われるような存在ということ？

ゾン子　そういうのが最強ですよね。

ユリナ　そうじゃなかったらポップな音楽やってる意味ないもんね。

ゾン子　だいたい私が好きな音楽なんて、その時代ごとにみんなベストテンに入ってるような音楽ばっかりだし。

ユリナ　ん、どういうこと？

ゾン子　THE BEATLESにしてもTHE ZOMBIESにしても、みんな売れてる人たちじゃん。今の日本でもそういうのが売れればいいなって思うんですよ。

ユリナ　別にヒットチャート用の曲があるわけじゃないからね。

ゾン子　だからドリカムもジュディマリも、RAMONESも全部同じ。マニアックだとかパンクだとかそういうことじゃなくて、全部並列に、同じように好き。

歌詞でこだわるのは語感だけ

──あと以前から思ってましたが、住所不定無職は歌詞も素晴らしいです。

ユリナ　やった！ がんばって良かったー！イエイイエイ！

ゾン子　歌詞ほめられることあんまないからね。

──言葉の選び方もそうですけど、特にメロディとリズムへのハマリ方が異様に気持ちいいというか。

ゾン子　歌詞の内容には全然こだわってないんですけど、響きはめっちゃこだわってる。

ユリナ　言いたいこととか、そんなのはなんにもないです。ロックンロールバンドだから。でも使いたい好きな言葉はいっぱいあるんですよ。いっぱいあって、それをどうねじ込むかっていう。そのときにこだわるのは語感だけ。それが合わない歌詞はボツにしまくって。逆に言えば内容がなくても響きが良ければオッケーにするし。ヨーコちゃんどれ好き？ 歌詞。

ヨーコ　うち普通に「キスキス」が好きかも。歌詞だけで言ったら。曲は「マルチまがい商法」が好きだけど。ベタなのが好き。

ユリナ　私ここが一番好き。（「MAGIC IN A POP!!!」の歌詞を見ながら）「ジャークチキン ケバブ ぐるぐるウィンナー……」

ヨーコ　そこいくんだ？

ゾン子　そこいいよね。

ヨーコ　おいしいからね。

──おいしいものについて歌う歌詞がいい歌詞とは限らないわけですけど（笑）。でも言いたいことがないとはいっても、歌詞全体を通して、それぞれに何か伝わってくるものはありますよね。どういうイメージで言葉を選んでるんでしょうか？

ユリナ　もう全部一緒。キラキラして、ドキドキワクワクするような、そういうものになればいいと思ってる。テーマは最初にあって、そこから使いたい言葉をバーッと出して。だいたいは喜怒哀楽と春夏秋冬ですね。あと食べ物のことを歌ったり。