ナタリー PowerPush - Jeepta
噂の“憂い系”バンドが新作発表 フルアルバムが示すその多角的な魅力
激しさの中に憂いを感じさせるサウンドと、観る者を圧倒するライブパフォーマンスで一目置かれる4人組バンドJeepta(ジプタ)。2004年に千葉県で結成され、着実なライブ活動で支持を獲得してきた彼らが、6月17日に1stフルアルバム「傾向と対策」をリリースする。
今回ナタリーでは新作の発売を記念して、メンバー全員にインタビューを実施。バンド結成の経緯やライブバンドとしての立ち位置、そしてアルバムから見えた今後の方向性を語ってもらった。
取材・文/中野明子
人間性で決めた新メンバーの加入
──Jeeptaは2004年に結成されたそうですが、どんなきっかけでバンドを組むことになったんですか?
サトウヒロユキ(B) 僕と(石井)卓(Vo.G)、それから前任のギターが高校時代から友達同士だったんです。高校時代からそれぞれ楽器は触っていたんですけど、当初は一緒にバンドをやるわけではなく。でも、あるとき前任のギターに誘われてスタジオに入ったことから始まりました。
──choroさん(G)と青木さん(Dr)の2人は、どのタイミングで加入されたんですか?
サトウ 最初ドラムレスな状態で曲を作ってたんですけど、楽曲のイメージがつかみにくかったんです。そこで、卓が通ってる大学の音楽サークルでドラムを叩いてた青ちゃんに声をかけ て入ってもらって。しばらく4人体制で活動をしてたんだけど、前任のギターが体調を崩して抜けて。3人で活動していこう、って思ったときにchoroさんが入って現在の編成になりました。
──choroさんとはどうやって知り合ったんですか?
サトウ 同じスタジオで練習していた友達の紹介です。
choro ちょうどJeeptaの前任のギタリストが抜けた後にメンバーと話す機会があって。話している中でメンバーと人間的に合いそうだったんで入ろうかな、と。
──面白いですね。バンドに新しいメンバーが加入するときって、オーディションだったり音合わせをするのが普通だと思うんですけど。
サトウ そうですね(笑)。で、一緒にやるようになったら、音楽的な部分でも通じるところがあったので続いている感じです。
作曲方法が違うソングライターがいることで幅が広がる
──choroさんが加入してからは、ライブ活動と同時に音源作りもするようになって。2008年に2枚のミニアルバムをリリースし、今回満を持して初のフルアルバムが出るわけですが手応えはいかがですか?
石井 満足のいくいい作品ができたと思います。
──メインのソングライティングは石井さんが担当されていますが、普段はどんな形で作曲しているんですか?
石井 ギターを弾きながら、メロディを鼻歌で歌いながらですね。Aメロ、Bメロができて、頭の中で形が見えてきたらスタジオで録って。
──どの段階でメンバーに聴かせるんですか?
石井 だいたいワンコーラスできたら持っていきますね。その後でメンバーで音を肉付けします。
──バンドスタイルで曲を作っていく感じなんですね。人によっては細かいアレンジまで作る方もいらっしゃいますけど。
サトウ choroさんはそういうタイプですね。
choro メロディと歌詞は卓ちゃんに任せてるんですけど、そのほかは打ち込みで作って。ドラム、ベースも入れて、ギターフレーズも考えた上でバンドで演奏できる形にして渡します。
──バンド内に違うタイプの作曲方法の人がいると面白いですね。
choro ええ。作り方が違えば当然雰囲気も違うし、バンドの幅も広がりますし。
Jeepta(じぷた)
2004年12月に千葉で結成。翌2005年2月に初ライブを開催する。2006年7月にchoro(G)が加入したのを機に、石井卓(Vo,G)、サトウヒロユキ(B)、青木奈菜子(Dr)を含めた4人編成となる。2007年4月に自主制作 盤「リコール」を発表し、2カ月で500枚を完売させる。その後、全国各地でのライブツアーやイベント出演を経て、2008年1月にミニアルバム「シナリオ」をリリース。外資系CDショップで好セールスを記録し、注目を浴びる存在に。激走するエモーショナルなサウンドとクセのあるハイトーンボーカルの妙が、ライブハウスを中心に人気を集めている。