jealkbがミニアルバム「Mix Up Sonic」を9月5日にリリースする。
本作はバンドが擁する3人のソングライターが、それぞれ手がけた6曲を収録。“固定観念を打ち破る”というテーマのもと、これまで以上に自由奔放な、彼らにしか生み出せないクリエイティビティが注ぎ込まれた会心作に仕上がっている。
メジャーデビュー10周年を経てさらなる飛躍を見せつけたjealkb。主催イベント「オトタノ2018」や全国ツアー「Mix Up Disco」の開催を控えるメンバー6人にじっくりと話を聞いた。
取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 塚原孝顕
固定観念を打ち破って見えたもの
──昨年11月にリリースされた、じゃんけんをテーマにした楽曲「R-P-S」は狙い通りライブでかなり活躍しているようですね。
haderu(Vo) ワンマンやイベントなど各地でやっているんですけど、かなり盛り上がりますね。あの曲ではじゃんけん大会をやって、優勝者の名前がリボンに書かれてトロフィーに付けられていくんですよ。その数もかなり増えてきましたから。「R-P-S」ができたことでjealkbが得意とする“お客さん巻き込み型エンタテインメント”は着実に進化してるし、ここからもさらに“らしさ”を追求していきたいなとは思っています。
──そんなjealkbらしいライブの楽しさをさらに加速させるのが、今回リリースされるミニアルバム「Mix Up Sonic」なのかなと。
haderu そうですね。今回は12曲あった候補の中から厳選した6曲が収録されているんですよ。とにかく即戦力になって、絶対盛り上がるであろう曲ばかりを入れたので、ライブに直結したミニアルバムになったと思います。みんなでわちゃわちゃ、ワイワイ楽しめるjealkbのよさが詰め込まれているので。
elsa(Dr) 曲を作っているメンバーが3人いるので、1枚の作品としていい意味でのごちゃ混ぜ感も表現できたと思うんですよ。まさにタイトル通り“Mix Up”なミニアルバムになりました。
dunch(B) ホントに楽しい曲がそろいましたね。けっこう真面目なメッセージが込められた曲もあるけど、それがサウンドに乗ると楽しい気持ちでちゃんと僕たちとジュアラー(jealkbのファンの呼称)の間で共有できますから。バンドとしての新たな可能性をすごく感じたところもあったし、みんなが幸せになれるような作品だと思います。
──全6曲中、2曲をelsaさん、1曲をsapotoさん、3曲をedieeさんが手がけていて、各ソングライターの個性がこれまで以上に色濃く見えているのも楽しいですよね。
elsa 僕は基本的に、今までjealkbが作ってきたサウンドを引き継ぐように曲を制作しました。既存曲の第2弾を作ってみよう、みたいなアプローチで作ったところもあったので。アルバムの後半に入ってるedieeの曲がかなりピコピコした新しい雰囲気になっているので、そこに至るまでの導入として、僕の作った楽曲はずっと応援してくれてるジュアラーに対して、いい入り口になってると思います。
sapoto(G) 僕は今回、すごく刺激的な制作ができたんですよ。普段から僕はレコーディングのスケジュール管理なんかも仕切らせてもらってるんですけど、段取りとか締め切りのことばかり考えてしまうところがどこかにあって。でも、僕らは別にサラリーマンじゃないし、クリエイティブなことをやっているわけなので、「そんなの関係ないんだよ」ってhaderuさんに言われて目が覚めたんですよね。今回はいつも以上にギタリストとして、思い切り楽曲に向き合えた気がします。
──だからこそsapotoさんのカラーがより鮮やかに表れたんでしょうね。
haderu 細かいフレーズとかに関しても、今回はけっこう搾り上げたからね(笑)。
sapoto 僕的に納得いくものを弾いても、haderuさんとhidekiさんから「それじゃまだまだ足りないよ」って言われたりして。
haderu その場は一瞬不穏な空気にはなるんだけど(笑)、ちゃんと搾ったかいのあるものが出てくるんですよ。「ほら、やっぱまだ出るじゃん」って。
sapoto 自分としては「あ、こんなことまでやっていいんだ」っていう発見があったりして。段取り的に言えば「今言うことじゃねえだろ」とも思うんですけど(笑)、そういった大事なことに気付かせていただけたことには純粋に感謝したいですね。
hideki(Agitator) 僕なんかは音楽の基本的なことを知らないから、「これ言っちゃダメなのかな」みたいなことがなくて。とにかく作品をいいものにしたい、後悔したくないっていう気持ちだけでいろいろ言わせてもらったんですよね。
──ルールみたいなものをはみ出してこそ生まれるアイデアもありますもんね。
haderu そうそう。今回のミニアルバムには“固定観念を打ち破ろう”という裏テーマもあるんですよ。すべての収録曲の歌詞でそのテーマに触れたので、スケジュールばかりにとらわれた作り方にはどうしても抗いたかったし、ギターに関してもsapotoにはルールを打ち破ってほしくて。そういう意味ではいつも以上に「あー、音楽作ってんな」って気持ちになりましたよね。
sapoto 有意義な制作になったと思います。僕が作った「ジガサガ」の歌詞はhaderuさんから僕に対しての説教みたいな内容ですからね(笑)。「他人の声振り解け」と書いてくれたことがうれしかったので、たぶん今後は僕が一番わがままになると思いますよ。
edieeは「アニマルプラネット」を観ながら作詞
──edieeさんが手がけた「PARIPO」「gosh!」「才僕」はどれもシンセを印象的にフィーチャーしたナンバーで、jealkbの新たな魅力を引き出していますね。
ediee(G) 僕は基本、明るい曲しか作れないんですよ。なのでシンセのピコピコ音とか、耳に残るフレーズや音を盛り込んで印象に残るものになったらいいなと思って。「なんじゃこりゃ!?」っていう変な要素を入れてみたりとか。
elsa いい違和感だよね。
ediee そうですね。僕もあんまり音楽のことがわからないんで、感覚を大事にしました。理論で考えると気持ち悪いフレーズなんだろうけど、それが逆にクセになるんじゃねえか?みたいな。
haderu edieeはjealkbの中で一番、固定観念を持ってない人ですからね。音楽だけじゃなく人生においても(笑)。その常識に縛られない感じこそが今のjealkbにとって、もっとも影響を受けなきゃいけないところだったんです。だから彼の曲が3曲入ったのは必然。本作にはedieeの人生観が必要だったんです。ただedieeが作った曲であっても、アレンジを仕上げていくのはelsaとsapotoなんでね。2人はけっこう苦労したとは思うんですけど(笑)。
──そもそも“固定観念を打ち破る”という裏テーマを設けたのはどうしてだったんでしょうか?
haderu そこもedieeの影響ではあるんですよね。彼はディスカバリーチャンネルの番組「アニマルプラネット」を観ながら曲を書くんですよ。ガゼルがライオンに追われているところを曲にしたりする。それって単純にすげえなと思うんですよ(笑)。世の中にないもの、感じたことのないものを表現していくには、やっぱり固定観念に縛られてちゃダメだなと。あとは自分が生きている中で、考えてないのに考えたふりをしている人たちの同調圧力みたいなものがすごく嫌いなので、そのあたりの感情をあくまでも明るく伝えることができたらいいかなと思ったところもありました。
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深まる「才僕」の謎
- jealkb「Mix Up Sonic」
- 2018年9月5日発売 / よしもとクリエイティブ・エージェンシー
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Type-A [CD+DVD]
2300円 / YRCN-95297 -
Type-B [CD]
1800円 / YRCN95298
- CD収録曲
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- 煽情
- フルゴリラ
- ジガサガ
- PARIPO
- gosh!
- 才僕
- Type-A付属DVD収録内容
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- 才僕 MUSIC VIDEO
- 才僕 MUSIC VIDEOメイキング映像
イベント情報
- オトタノ2018
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- 2018年9月24日(月・振休)東京都 TSUTAYA O-EAST出演者 jealkb / キュウソネコカミ / オメでたい頭でなにより / 仮面女子 / STARMARIE / 高橋洋子 / NoGoD / はるな愛 / BOYS AND MEN(誠) / まちゃあき(エグスプロージョン) / 水木一郎 / LIFriends / m.c.A・T / アイロンヘッド / クマムシ / けんじる / ジョイマン / 庄司智春(品川庄司) / ですよ。 / どぶろっく / 永野 / なかやまきんに君 / にゃんこスター / はんにゃ / ミスター人間(ペナルティ・ワッキー) / レイザーラモンRG / and more
- jealkb LIVE TOUR 2018「Mix Up Disco」
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- 2018年10月12日(金) 埼玉県 西川口Hearts
- 2018年10月25日(木) 大阪府 心斎橋VARON
- 2018年10月26日(金) 愛知県 RAD HALL
- 2018年11月2日(金) 神奈川県 横浜BAYSIS
- 2018年11月23日(金・祝) 千葉県 KASHIWA PALOOZA
- 2018年12月4日(火) 東京都 マイナビBLITZ赤坂
- jealkb(ジュアルケービー)
- 吉本興業に所属する芸人たちによって2005年に結成されたヴィジュアル系ロックバンド。現在はhaderu(田村淳 / ロンドンブーツ1号2号)、elsa(衛藤幸生 / ex. チープスープ)、dunch(桑折貴之 / ex. じゃぴょん)、ediee(大川知英 / ニブンノゴ!)、hideki(森本英樹 / ニブンノゴ!)、sapotoの6人で活動を行っており、メンバーと親交のある人たちで構成されたサブメンバーも数多く存在する。2007年10月にシングル「誓い」でメジャーデビューし、翌2008年の11月には1stアルバム「狼煙 -NOROSHI-」を発表。2016年11月にシングル「reboot」発売を機に自主レーベルjealizeを設立した。2017年7月には6枚目のアルバム「IDENTITY」、11月にメジャー10枚目のシングル「R-P-S」をリリース。2018年9月5日にはミニアルバム「Mix Up Sonic」を発表する。