「JACK IN THE BOX 2021」座談会にTetsu(D'ERLANGER)、逹瑯(MUCC)、SORA(DEZERT)、団長(NoGoD)登場 (3/3)

受け継がれるバンドマン精神

団長 こうやって話を聞いていると、MAVERICKってすごく優しいバンドマンがいっぱいいるなと。

逹瑯 俺のこと?

団長 まあ、正直そうです(笑)。この人もこうやって悪態ついてますけど、めちゃくちゃ優しいじゃないですか。それは先輩のTetsuさんからそうしてもらったからというのもあるし、Tetsuさんもマグナムから同じように受けてきたからでしょうし。なんだこの優しいバンド社会は!

Tetsu だって、マグナムではローディーだったから、別に蹴られようが殴られようがというのはあるけど、そういうことをしない人たちだったというだけの話で。

団長 純粋にお三方に聞きたいんですけど、MAVERICK史上一番の暴れん坊将軍ってどなたなんですか?

Tetsu 俺はREACTIONだと思うなあ。

逹瑯 俺は事務所の縁で関わった人で、一番キュッとしたのはCOOL JOE(DEAD ENDのベーシスト)さんだね。

SORA めちゃくちゃにしそうだなと思ったのは、D'ERLANGERですよ。悪い意味ではなくて。もともと好きで聴いてきたし、逹瑯さんからも「D'ERLANGERと対バンしたらすごいよ。あの人たち、大人気ないから」と聞いていたし、実際に対バンしたらマジで手を抜かないでくれたのは、本当にうれしかったですね。その威圧感もダイレクトに感じましたし。

DEZERT

DEZERT

団長 仲良しこよしだけではないですよね。先輩後輩のリスペクトがあったとしても、どこかでちゃんとバンドマンとしてライバル視していて、ぬるま湯にならない関係性を40年間ずっと続けてきたんだろうなと。

逹瑯 そう思ってもらえるような活動をしていくっていうのが大事だしね。先輩もそうしようとしてくれているし。でも、全然毛色が違っていたり、やっているフィールドや求めているものが違いすぎると、ライバル視というか「ガチンコで勝負しようぜ」とならないパターンもあるじゃない。それこそ、どう戦っていいかわからない後輩がいた時期もあるし。

団長 まあ、エンタメの方向性が違いますからね。

逹瑯 観ているお客さんも、こっちがガチンコでやったところでそれを求めているかどうかわからないし。事務所の色なんだろうけどさ、最近ゴリッとしたバンドが多いですよね。

団長 けっこうポップなバンドさんが多かった時期がありましたものね。

Tetsu 来年(MAVERICKに)入ったら、一番ペーペーだよ。

団長 そうですね。でも俺、1人だったらアコギしか弾けないんですよ。まあゴリッとしようかなとは思うんですけど。ディストーションをかけて。

Tetsu 来年デビューする、逹瑯とかいうソロアーティストもいるしね。

団長 そうなんですよね。今回の「JACK IN THE BOX」には新人が3組も出る。Petit Brabanconと魅音さんと逹瑯さん。初舞台が武道館ってすげえなと思いますよ。まあ逹瑯さんの場合、武道館はもう何度も……。

逹瑯 とはいえ、初めてソロとして演奏する曲だからね。そこはハードルが高いと思う。

団長 逹瑯さんのステージではSORAくんが叩くんだよね?

SORA はい。

団長 すごいなあ。それ以外にも今年はいろんなフィーチャリング企画があって。さらにD'ERLANGERのセッションには逹瑯さんとHYDEさんとINORANさんがいて、今までで一番お祭りっぽいというか。

逹瑯 盛りだくさんよね。

MUCC

MUCC

40周年で原点回帰

団長 個人的に思うんですけど、大石さんって基本的にハードロック、ヘヴィメタルの人ですよね。D'ERLANGERまでは音楽的に絶対にルーツがわかると思うんですけど、MUCCはいわゆるニューメタルというか……。

逹瑯 だって大石さん、DEZERTのことはベタ褒めしてるんだろ? MUCCがDANGER CRUEに入った頃は「MUCCのよさがわからん」と言ってたんだから……ああ、そうか! 「MUCCのよさがわからんから、俺はノータッチだ」ってことで、レコーディングにも全然来なかったのか。たぶんそうだわ。まったく興味を持たれていなかったから、逆に自由にいろんなことをやらせてもらえていた気がする。

団長 懐が広いですよね。自分よりももっと若い世代がハマるんじゃないかという、その嗅覚で契約したのかもしれませんし。

Tetsu あるときから自信と余力が生まれたんじゃないかな。

団長 逆に、DANGER CRUE的にMUCCの1つ前の先輩って誰ですか?

逹瑯 DANGER CRUE所属アーティストとしてはひさしぶりだった気がする。だって、ちょっと上の先輩が思い浮かばないもの。俺らの上が、もうL'Arc-en-Cielじゃないかな。

団長 今、純粋にMAVERICKの看板を背負ってるバンドはMUCCだなと勝手に思っています。もちろんレジェンドの皆さんや後輩たちも背負っているとは思いますけど、誰よりもMAVERICKというものをよくしようと動き回っている、特に逹瑯さんにはわりとそういうイメージがあって。

逹瑯 違うよ。MAVERICKをよくしようとしているんじゃなくて、自分たちの居心地をよくしようとしているだけだから。

団長 それが結果、MAVERICKをよくすることにつながるじゃないですか。MAVERICKって楽しそうだなあ……。

逹瑯 ほかの事務所に所属したことがないから、どこが楽しいか、楽しくないかはわからないけどね。

団長 でもお仕事でご一緒させていただいて思うのは、大石さんがすごく面白い人だということ。L'Arc-en-Cielまで育て上げて、言ってしまえばそれでもう十分というか、自分が手を引いてもよかったのに、それでもMUCCやシド、DEZERT、ノクブラと若い世代にどんどんつなげていこうとする。あの意志の強さは尊敬に値します。

逹瑯 そう考えると、L'Arc-en-CielからMUCCで毛色が変わって「急にどうした?」と感じたと思うんですけど、そこからgirugameshがいて、DEZERTがいて、ノクブラがいて。MUCC以降、MUCCの泥臭い感じからメタルの流れに戻ってきたと考えると、40周年で1周した感じがしますね。

Tetsu なるほどね。

団長 今回の「JACK IN THE BOX」のスローガンがまさに「原点回帰をノスタルジックに。そして次世代へのエールを!」ですしね。

逹瑯 もともとゴリッとしたバンドばかりだったところ、途中キャッチーでおしゃれなイメージのバンドが中心になり、今再びゴリッとしてきたと。

団長 となると、MAVERICKを中心に日本のメタルやラウドシーンに再び盛り上がってほしいなと。

逹瑯 ラウドブームの中心にMAVERICKのバンドは、おらん!

団長 あらっ(笑)。となると、ジャパメタですよね。

Tetsu 来年、来るんじゃない?

逹瑯 でも、ノクブラはジャパメタじゃなくて雰囲気的には“洋メタ”だから。お前がジャパメタだろうが(笑)。

団長 ゴリゴリのね(笑)。MAVERICKってL'Arc-en-Cielのイメージが強かったですけど、もとを正すとメタルなんですね。あまりイベントの話をしていない気がするけど、今日は十分楽しかったです。こんなに面白い話を聞いたら、否が応でも今年の「JACK IN THE BOX」への期待が高まりますし。これ以上は聞くことないですよ。掘れば掘るだけ危険な話が出てきそうですし(笑)。

Tetsu ところで、団長は12月27日のスケジュールは空いているの?

団長 一応、ふんわりと裏配信をするんじゃないか?とは聞いていて。

逹瑯 “最悪”セッションでもいいしね(笑)。

団長 そこは掘り返さないでくださいよ(笑)。

Tetsu じゃあセッションか何かやってもらおうかな、最悪(笑)。

一同 (笑)。

プロフィール

D'ERLANGER(デランジェ)

1983年に結成。メンバーチェンジを経てkyo(Vo)、CIPHER(G)、SEELA(B)、Tetsu(Dr)という編成となり、1989年にデビューアルバム「LA VIE EN ROSE」をリリースする。1990年1月にシングル「DARLIN'」でメジャーデビューを果たすも同年末に解散。それぞれソロ活動を行っていたが、2007年に解散時のメンバーが集まり再始動する。同年3月にベストアルバムとオリジナルアルバム「LAZZARO」を発表し、2008年4月にはキャリア初となる日本武道館公演を開催する。以降もライブとリリースを重ね、2015年4月には初の海外レコーディング作品となるアルバム「Spectacular Nite -狂おしい夜について-」を発表した。2017年4月の再結成10周年記念ライブを東京・チームスマイル・豊洲PITにて実施し、5月に2年ぶりとなるオリジナルアルバム「J'aime La Vie」をリリース。2019年5月に通算9枚目のアルバム「roneve」を発売した。

MUCC(ムック)

1997年に茨城で結成された、逹瑯(Vo)、ミヤ(G)、YUKKE(B)からなるロックバンド。日本語にこだわった文学性の強い歌詞と、ヘヴィロックやラウドロックの影響をミックスさせた音楽性が国内外で評価されている。2002年にデンジャークルー・レコード内に自主レーベル・朱を設立。結成15周年を迎えた2012年には千葉・幕張メッセにてワンマンライブを開催した。2019年2月には期間限定メンバーとして吉田トオルを迎えたアルバム「壊れたピアノとリビングデッド」を発表。2020年6月に15枚目となるオリジナルアルバム「惡」をリリースした。6月9日を「ムックの日」とし、毎年さまざまなイベントや企画を行なっている。2021年10月をもってSATOち(Dr)が脱退し、現体制に。11月にニューシングル「GONER / WORLD」を発表し、同月よりツアーを開催した。

DEZERT(デザート)

2011年に結成された千秋(Vo)、Miyako(G)、Sacchan(B)、SORA(Dr)による4人組。2012年より音源を発表し始め、2013年8月に1stアルバム「特製・脳味噌絶倫スープ~生クリーム仕立て~」をリリースした。2013年にはhideのトリビュートアルバム「hide TRIBUTE III -Visual SPIRITS-」で「D.O.D.(DRINK OR DIE)」をカバー。2017年にはMUCC、D'ERLANGERのトリビュートアルバムに参加している。2018年に入ってからは主催ツアー「DEZERT Presents 【This Is The "FACT"】 TOUR 2018」を実施し、アルルカン、NOCTURNAL BLOODLUSTらと各地で対バンを繰り広げた。2018年8月にMAVERICK D.C. GROUPの新レーベル・MAVERICKより2年半ぶりのアルバム「TODAY」を発表した。2021年7月にアルバム「RAINBOW」をリリースした。

NoGoD(ノーゴッド)

2005年に「新興宗教楽団NoGoD」として結成され、2010年6月にシングル「カクセイ」でメジャーデビュー。ヴィジュアル系の枠に収まらない個性的なスタイルと確かな演奏力で人気を集めている。2021年9月にKyrie(G)が脱退することを発表し、2022年2月22日の東京・中野サンプラザホール公演をもって現体制を終了。新体制への準備期間に入っている。