ナタリー PowerPush - 泉 沙世子
悔しさを原動力に進む「カス」の歌
人間の根本的な弱さやズルさを描いた「グレーゾーン」
──2曲目「グレーゾーン」は、男性目線から描いた微妙な距離感が切ないラブソングですね。
表現方法としては男性目線ですが、これは明確に男女を分けたというよりすごく曖昧な性別というか。付き合ってる時期や年数の経過と共に、女性が男性っぽく、男性が女性っぽく……みたいな関係性になることもあるだろうし、あとは男性同士、女性同士の恋愛もあるし。だから男女の失恋ソングというよりは人間対人間の関係を描いたって感じですね。人間の根本的なところにある、弱さやズルさといった素の部分を書いてみました。
──泉さんが思う「ズルい人」ってどういう人?
「○○がこう言ってたから」みたいなことを言う人って、なんて無責任なんだろうって思います。でもそれって自分でも絶対言っちゃってて、こんなに嫌悪感を示しながらも使っちゃってるんだよなーって、その矛盾の気持ち悪さに情けなくなったりもするんですけどね(笑)。
「カス」で紅白に出たい
──最後に、2014年の展望を教えてください。
シングルを4枚出したので、そろそろアルバムを発表したいですね。あまりスケールの大きくない、ピンポイントやからこそ誰かの心に「あるある」って響くような歌を。人の心の隅をつつくような歌を歌っていきたいです。
──過去4枚のシングルは曲調がガラリと違いますし、アルバムが出るならその幅の広さも楽しみです。
シングルはアレンジがけっこうバラバラなんですけど、中身自体はわりと似てる部分があって。デビュー曲の「スクランブル」と今回の「カス」も、言ってることはほぼ一緒ですね。私は世界が広い人間ではないので、これからも同じことを話し続けるんだと思います。でも普遍的なことって、考えても結論が出なかったり状況が変わらないことが多いですよね。私はそれがすごい面白いなって思ってて。
──あと2013年は喉の不調でライブをお休みした期間もありました。それもあって、2014年はファンの前でたくさん歌いたい気持ちも大きいんじゃないですか?
そうですね。歌えることのありがたさ、感謝の気持ちはモリモリ湧いてきてます! ライブを急にキャンセルしてもちろん怒った人もいると思うんですけど、私の体調を心配する声もたくさん届いたのがすごくうれしくて。そんなふうに受け止めてくれる人がいるのは本当にありがたいなって思いました。あと展望といえば……私、「カス」で紅白に出たいんです。
──お! 「カス」で紅白!?
はい。紅白への夢はずっと胸にありつつ、おこがましい気持ちもあってあまり具体的には言えてなかったですけど……紅白はやっぱり単純に田舎のおばあちゃんでも知ってるし、みたいなところが理由なんですけど、今後はこうやって言いふらして実行していくスタイルでいこうかなと(笑)。この曲が私をガーッとどこかへ引っ張っていってくれると信じてます。
泉 沙世子 『カス』 Music Video(歌詞入り)
収録曲
- カス
- グレーゾーン
- カス(instrumental)
- グレーゾーン(instrumental)
泉 沙世子(いずみさよこ)
1988年10月28日、大阪府豊中市生まれのシンガーソングライター。岡山県で育ち、小学生のときに歌手を志す。中学生時代よりオーディションを受け始め、高校卒業後に上京。地道な音楽活動を続け、2012年に開催されたキングレコード創業80周年記念オーディション「Dream Vocal Audition」でグランプリを受賞し、2012年11月にシングル「スクランブル」でメジャーデビューを果たした。2014年1月に4thシングル「カス」をリリース。表題曲「カス」は自身も出演する映画「ヨコハマ物語」の主題歌に採用された。