石崎ひゅーい×菅田将暉インタビュー|ついに実現!あいもかわらず、愛を歌い続ける2人の充実コラボ

石崎ひゅーいと菅田将暉のコラボレーションによる新曲「あいもかわらず」が8月2日にリリースされた。

「石崎ひゅーい×菅田将暉」名義でリリースされたこの曲は、石崎ひゅーいのデビュー10周年のアニバーサリーイヤーを記念して作られた楽曲だ。これまで石崎は菅田に「さよならエレジー」や「虹」など数多くの楽曲を提供し、ライブへのゲスト出演や映画での共演、カバー曲「糸」のデュエットなど、さまざまな形で活動を共にしてきた。プライベートでの親交も深く、まさに盟友と言える関係の2人だが、オリジナル曲でのコラボはこれが初となる。

音楽ナタリーでは石崎と菅田にインタビュー。この曲の制作背景から、2人の出会い、お互いへの思いなどを語り合ってもらった。

取材・文 / 柴那典

10周年のこのタイミングで2人で歌うべき曲は

──どういうきっかけでお二人のオリジナル曲での初コラボの話が始まったのでしょうか。

石崎ひゅーい 僕が今年デビュー10周年イヤーで、そこで誰かと何かを歌いたいなというのがまずあって。大切な人と歌いたいと思ったら、やっぱり真っ先に菅田くんの顔が浮かんだんです。一緒に歌えたらいいなと思って、最初は勝手にいろいろ作ってました。

──菅田さんと一緒に歌うというのが最初にあって、そこから曲を書いていった。

石崎 そうですね。「一緒に歌いたいんだけど」って、菅田くんにも話して。実はこの「あいもかわらず」という曲の前にも何曲か作っていたんです。菅田くんにもスタジオに来てもらって、歌入れもしてもらって。で、最終的にこの「あいもかわらず」という曲に到着したという感じです。

左から菅田将暉、石崎ひゅーい。

左から菅田将暉、石崎ひゅーい。

──この曲以外にもいくつか候補があったんですね。

菅田将暉 フルコーラスで少なくとも2曲知ってるので、欠片だともっとたくさんあるはずですね。

石崎 このタイミングで2人で歌うべき曲はどんな曲なんだろうって悩んでいたんですよね。本当は菅田くんに手伝ってもらわずに「これだよ」って1人で決めたかったんですけど、そこはちょっと甘えがあって。「ちょっと、1回歌ってくれない?」って言って、いつものスタジオに来て、歌を入れてもらって。最終的にこの曲ができて、これがこのタイミングで菅田くんと2人で歌う曲だなって納得した感じです。

「やっぱこれだな」

──菅田さんはこの曲を受け取ったとき、どんな印象を持ちましたか?

菅田 もうプロジェクト自体は知っていて、何曲か歌入れとかもして、いろいろ話していて。曲のテーマにしても、これに行き着くまでに「2人でやってないことってなんだろう?」といろいろ探ってたんです。ひゅーいくんの名義で僕が歌うのもやってないし、曲調にしてもずっとフォークロックをベースにやってきたから、ちょっと違うサウンド感のものをやりたいねっていう話もしたりして。そうやっていろんなことを探してる状態を経て、そのあと、不意に「できた」ってフルコーラスが送られてきた。ほぼ弾き語りとピアノの状態で、僕らの原点みたいな曲がきたんです。それが「あいもかわらず」だったんですけど、「やっぱこれだな」って思いました。

石崎 そうそう。「やっぱこれだな」って。

菅田 僕自身が今、こうやって音楽を仕事として定期的にやっているのも、間違いなくひゅーいくんとの出会いがあったからだし、これからも長くずっとやっていく中で、表に出す出さないはさておき、きっとおじいちゃんになったときにやってる曲って、こういう曲なのかなって思ったんです。こういう曲を小さな部屋とかで2人で弾き語りながら歌っている風景が浮かんで。最終的に残るのはシンプルにこういうものだよなっていう。そういう印象でした。

──歌詞についてはどうでしたか?

菅田 この曲が送られてきたとき、確か大阪の実家にいたんです。子供の頃に寝てた2階の部屋でこれを聴いて。その状況もあって、純粋に食らいましたね。「きっと君となら どこまでも どこへでも 大袈裟でいい 行ける気がしていたんだ」っていうところが特にそうで。しかも当時はお芝居とかも休んでた時期で、次の人生の目標を決めようみたいなタームでもあったんです。そこでこの「あいもかわらず」という曲をもらったことがけっこう大きくて。この先が見える感じがすごくしましたね。

“あい”と言ってもいろいろある

──この「あいもかわらず」にたどり着くまで、まずは今まで2人でやってないことを探る曲作りをしていたということですが、そのときはどんなことを考えていたんですか?

石崎 僕も手探りではあったんですよね。細かい話で言うと、これまでレンジの広い、歌い上げるような曲をけっこうやってきたし、普遍的な曲を突き詰めてきたなと思って。そうじゃない側面を2人で出しても面白いかなと最初は思っていたんです。ラップみたいな細かい符割りの歌とか、今までやってない新しいものを最初は意識的に求めていて。ただ、そうやって作業していく中で、「あいもかわらず」という言葉が浮かんだときに「あ、やっぱりこれかもしれないな」って思った。最終的に菅田くんに「これを歌いたいんだけど」って聴いてもらった感じです。

──「あいもかわらず」には、友情やパートナーとの信頼関係のようなものが書かれていますよね。2人で歌うにあたって、書くべきこと、歌うべきことは、最初から石崎さんの中で決まっていた感じでしたか?

石崎 最初はどっちかと言うと、もっと友情にフォーカスしていた気がします。でも、この「あいもかわらず」という題名が浮かんだときに、それをもっと大きなものにしてもいいんじゃないかなって思ったんですよね。というのも、少し恥ずかしい表現になるんですけど、たぶん僕たちは、愛みたいなものについてすごく突き詰めて曲を作ってきたんじゃないかなと思っていて。この曲はその集大成にしよう、と。でも、愛っていろいろありますよね。ラブもあるし、ライクもあるし、フィットもある。僕たち2人でいろんなものを経てきたことを表せる言葉が浮かんだときに「これだ」って思ったんです。

「石崎ひゅーい 10th Anniversary LIVE 『、』(てん)」で共演する石崎ひゅーいと菅田将暉。(撮影:鈴木友莉)

「石崎ひゅーい 10th Anniversary LIVE 『、』(てん)」で共演する石崎ひゅーいと菅田将暉。(撮影:鈴木友莉)

──「あいもかわらず」は曲名としてはひらがなで書かれていますが、歌詞の中では「相も変わらず」や「愛も変わらず」になっている。そういう仕掛けもあって、今おっしゃったような、いろんな「あい」の意味が広がっていくと思います。そのあたりは?

石崎 そこは意識しましたね。表記の仕方はけっこう悩んで。漢字表記で限定的にしたほうが強いかなとも思ったんですけど、「あい」という言葉をどの「あい」に変えてもらっても構わないというスタンスでいたほうが、いい曲になるんじゃないかなと思って。僕と菅田くんのことを歌った曲ではありますが、いろんな関係性の人たちにも共感してもらえるように。

菅田 今言った「あいもかわらず」の意味もレコーディング中にしゃべったりしましたね。「愛」にはラブもライクもあるんだけど、僕がひゅーいくんで好きなのは、哀しいの「あい」があるところで。切なくて孤独な「哀」。それが英語の「I」になった瞬間にステージで輝いてる。そういう個性はすごくひゅーいくんらしいなって。

石崎 「愛」でも「哀」でも「I」でもいいし、そういうふうにいろいろと捉えてもらえたほうが、この曲はいいかなって。だから、ひらがなにしたんです。

──いろんな意味に取れるということも含めて、広がりのある曲ということを考えた。

石崎 そうですね。それは意識しました。

菅田 僕ここの歌詞が好きなんです。「相も変わらず離せないよ 僕は一人じゃないんだほら、君がくれた言葉」のところ。最初に聴いたときは「離せない」じゃなくて「話せない」のほうだと思ったんです。いろんなダブルミーニングが込められていて、そういうのは日本語ロックの面白い言葉遊びですよね。こういうところも好きです。