石崎ひゅーい|怖いもの知らずの“成長期”突入 挑戦してつかんだ確かな手応え

自由に遊ぼう

──続く「SEXY」は都会的な洗練されたサウンドに乗せて大人の恋愛を歌った曲です。

今まで「好きだー!」ってストレートに表現する曲はあったけど、女性を落とすような官能的な曲は書いてなくて。これも「いろんな表現をしよう」という今のモードだからできた曲だと思います。

──確かに石崎さんにとって珍しいタイプの曲ですね。

石崎ひゅーい

このミニアルバムをリリースすることが決まって曲を作るときに、僕のプロデューサーのトオミ(ヨウ)さんが「自由に遊ぼう」って言ってくれたんですよ。2016年に「アタラズモトオカラズ」を出して空っぽになって、昨年「Huwie Best」を出してこれまでの活動にひと区切りつけて次に行こうとしているのをトオミさんはずっと間近で見てくれていて。

──Aメロ、Bメロときてサビでいきなり石崎さんの語りが始まるのでびっくりしたんですが、「自由に遊ぶ」と聞いて納得です。

どんだけ遊んでるんだっていう(笑)。最初は違ったけどしっくりこなくて、語ってみたらハマった感じがしたんですよね。

──「アタラズモトオカラズ」も8分におよぶポエトリーリーディングの曲でしたが、そういう経験が生かされた部分もある?

それもあるでしょうね。あとは役者として演技をさせてもらったり、そういうところからのインスピレーションもあると思います。

昔の自分を否定したいわけじゃない

石崎ひゅーい

──「マシュマロパイ・サンドウィッチヘブン」は「ブレーメン、シスター」や「say goodbyeタンザニア」みたいに意味よりも語呂のよさを重視した言葉が並んでいて、とても石崎さんらしい歌詞ですね。

なんのフィルターも通さず、出てきた言葉をそのまま皆さんにお届けしています(笑)。これもトオミさんに「遊ぼう」と言ってもらってから作った曲で、「あなたはどこにいるの」とは書き方がまったく違うんですよね。

──勢い重視で歌詞を書き上げる方法と、推敲していく方法と。

このミニアルバムで新しい石崎ひゅーいを届けるつもりだけど、それって別に昔の自分を否定したいわけじゃなくて。今までとまったく違うことをするのではなく、昔も今も全部引っくるめて新しい表現に行き着いたという感覚なので、この曲が入っていることで作品としてバランスが取れたんじゃないかなと思います。

──1月に映画「そらのレストラン」が公開されて、石崎さんはUFO好きな漁師として劇中で“UFOを呼ぶダンス”を披露していました(参照:石崎ひゅーい“UFOダンス”の練習を回想、大泉洋はスカートの生歌唱にうっとり)。曲調としてはそのダンスのBGMのような風変わりなエレクトロナンバーですが、映画の経験から生まれたんでしょうか?

まさにその通りですね(笑)。

──以前映画「アズミ・ハルコは行方不明」に出演したあとも、曲が一気に書けたと言ってましたよね。

なんでだろうって考えたんですけど、たぶん演技することって、普段自分の目で見ている世界とは別の世界に行くことなんだと思います。だから知っていると思っていたものでも役のときは違う見え方がして、それが自然とインプットになっているんでしょうね。

僕の表現でも歌いたい

──4曲目には菅田将暉さんに提供した「さよならエレジー」のセルフカバーが収録されています。石崎さんは昨年9月の東京キネマ倶楽部公演で初めてセルフカバーを披露し、そのパフォーマンス映像は2019年2月現在YouTubeで124万再生を超えています(参照:石崎ひゅーいが菅田将暉への提供曲をカバー、ライブ映像公開も)。改めて石崎さんにとって「さよならエレジー」はどういう曲ですか?

僕としては菅田くんと2人で作った感覚がすごくあって。だから誰かが褒めてくれたら2人で喜ぶし。「エレジー」は菅田くんがドラマ「トドメの接吻」で主人公を演じる山﨑賢人くんのために書きたいと言っていて、そういう目的が最初からあったんですよ。それが歌詞の「光れ君の歌」という表現につながっていて。ドラマの中では賢人くん演じる主人公がヒロインに向けて歌っていて、僕も同じように菅田くんに向けて歌ってもいいんじゃないかと思ったんですよね。去年本当にたくさんの人に聴いてもらった実感があるので、僕の表現でも歌いたいなって。

──今回のカバーではドラムの手数が増えて性急感が増し、硬質なギターサウンドが足されてよりロックなアレンジになってますね。

菅田くんとは違う「エレジー」にしないと、同じだったら出す意味はないと思うので。そこはトオミさんとも話し合いましたね。渋谷CLUB QUATTRO公演でも披露したんですけど高揚感があってよかったです。

──菅田さんは石崎さんが歌う「さよならエレジー」について何か言ってました?

「カッケー!!」って言ってました(笑)。

──ははは(笑)。あと、昨年末の「COUNTDOWN JAPAN 18/19」では菅田さんとステージで初共演しましたがいかがでした?

ホントもう……最高でしたね。「エレジー」をたくさんの人に聴いてもらえたうれしさがずっとあったので、それを祝う最大の場になったというか。「やったぜ俺たち!」って喜びを爆発させるステージになったので、去年やったライブの中で一番興奮したかもしれないです。