石崎ひゅーい|第1章に“ピリオド”を打ち、次のフェーズへ

自分でも変わったと思う

石崎ひゅーい

──アルバムの話に戻して、新曲「ピリオド」について聞かせてください。今までの石崎さんのバラードは「僕がずっと守ってあげる」と歌う、包み込むようなラブソングが多かったのに対して、この曲は失恋をテーマにしたバラードだったのが意外でした。この曲はどうやって作っていったんですか?

まず、ベスト盤の発表が春だったので漠然と“春”っていうテーマがあったんですよ。それと一度区切りを付けて次のフェーズに行くことを象徴する曲にしたかったんですね。それで“終わりの歌”にしようってたどり着いて、失恋の歌にしました。終わりを描くことで今回僕がベストを出す意味とも合致した感じですね。

──なるほど。「桜通り」「春の嵐」のような春の季語を使ってるのも珍しいなと思ったんですが最初から春というのもテーマとしてあったんですね。そして「桜」は別れの季節の象徴として、「春の嵐」は主人公の穏やかではない心情を表すメタファーとして機能していて、今までにない言葉選びをしていると思いました。

確かに言葉選びはすごく悩みましたね。今までの僕の曲作りは自分の中にある言葉を吐き出すっていう作業だったんですけど、今回は自分の中の世界を伝えるためにどういう言葉で書いたらいいのか……歩み寄るって言うのかな。それはただ歩み寄ってるんじゃなくて自分のことを誰かにわかってほしいから歩み寄っていくと言うか。そういうことを考えながら何度も書き直しました。

──歌詞でほかに意識した部分ってあります?

どうやって最後を締めようかってことばかり考えていたんですけど、最後のフレーズを思い付いたときに、1番や2番ではそこまでえぐみのある表現をしないようバランスを考えましたね。このラストは自分でも変わったと思います。

──「僕を撃ち殺して ぎゅっと抱きしめて そのまま君のこめかみに突きつけて 撃て」というインパクトのあるフレーズですね。

石崎ひゅーい

最初「君を撃ち殺して 僕もこめかみを打つ」って表現をしていたんですよ。でも、それだと今までとあまり変わらない気がして、逆にしたんです。今までの僕の曲って「君の事が好き」とか「夜空を飛んで会いに行く」とか、全部自分の気持ちの発散だったんですけど、今回逆にしたことでなんかちょっと違うなと思っていて。

──確かに「君を撃ち殺して僕も死ぬ」だとあくまで自分の中の世界で完結してるけど、逆にすることで他者との関係性が生まれますね。

そうそう。そこがけっこう違うんじゃないかな。今回は最後「君のこめかみに突きつけて 撃て」って命令するくらいの強い気持ちを表現していて、そこがだいぶ変わった。広く考えられるようになったのかなと思いますね。

──しかも石崎さんの曲でこんなに救いのないエンディングも珍しいですよね。以前は「歌って最終的には光が見えるものがいい」と言っていたのに(参照:石崎ひゅーい「花瓶の花」発売記念特集 石崎ひゅーい×蒼井優×松居大悟鼎談)。

そうですね。今までの僕だったら、最終的に光が見えるものは意識してたんですけど、そこすら変えてみたんですよ。バッドエンドでも芸術にできればいいかなって思えたし、そのくらい強烈な終わりにしないと次に進めない気がしたんですよね。

この先もずっと続けていくために

石崎ひゅーい

──話を伺っていて、「ピリオド」を制作するにあたって石崎さんの中でかなり意識の変化があったと思うのですが、その理由ってなんだと思います?

きっかけは「アタラズモトオカラズ」を出して空っぽになったことですね。曲の書き方すら忘れちゃいそうなくらい、本当に曲が出てこなかったので。

──今まで自分の身を削って曲を吐き出してきたけど、それでは出てこなくなったから違うアプローチにトライしてみたと。

そうしないとこの先もずっと続けていくにあたって無理な気がしたと言うか。レベルアップをしなきゃいけないと思ったんですよね。

──楽しみです。これまでのような石崎さんにしか書けない世界観の作品もありつつ、別の表現方法を手にしようとしてるということですもんね。

まさにそんな感じだと思います。

やっぱり曲しかない

──これから第2章が始まるわけですけど、どういうふうに活動していきたいですか?

第2章っていうのは僕が言ってるだけなのでファンの人たちにはあまり関係ないかもしれないんですけど、僕がみんなに示せるものって、やっぱり曲しかないと思うんですよね。今はまだ作ってる段階で完成してないからなんとも言えないんですけど、「ピリオド」みたいな曲の作り方だとは思うんですよ。それでみんなに「ちょっと変わったな」って思ってもらえたらいいって言うか。ただこのやり方はめちゃめちゃ歌詞を練らなきゃいけないので、けっこう大変なんですよ。昔の自分のインタビューとか読んでると「いいなその考え」って思いますもん(笑)。

──「ファンタジックレディオ」は「なんとなく出てきた言葉」(参照:石崎ひゅーい「ファンタジックレディオ」インタビュー)、「夜間飛行」は「ワーッて書けちゃった」(参照:石崎ひゅーい「夜間飛行」インタビュー)って言ってましたもんね(笑)。

ははは(笑)。それはそれで素敵なんですけどね。

石崎ひゅーい

──でもなんとなく新しいやり方での手応えをつかめてはいるんですよね?

そうですね。まだお客さんの反応とかはわからないですけど、「ピリオド」を聴いてレコード会社のみんなも盛り上がってくれたし。そういうみんなの期待に応えたいですね。

──さらなる新曲が届く前に、5月からは弾き語りツアーが始まりますね。

今回のツアーでは、去年行けなかった場所やデビュー2年目に47都道府県ライブをやって以来の土地にも行きます。去年ツアーを回ったときにけっこう待っててくれる人がいたんですよね。なのでまた会いに行くので楽しみにしていてください。

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フォトギャラリー

石崎ひゅーい「Huwie Best」
2018年3月28日発売 / EPICレコードジャパン
石崎ひゅーい「Huwie Best」

[CD] 2900円
ESCL-5043

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 第三惑星交響曲
  2. ファンタジックレディオ
  3. 夜間飛行
  4. ピノとアメリ
  5. ひまわり畑の夜
  6. ガールフレンド
  7. ピーナッツバター
  8. 星をつかまえて
  9. 1983バックパッカーズ
  1. おっぱい
  2. 常識
  3. 僕がいるぞ!
  4. 僕だけの楽園
  5. 花瓶の花
  6. ピリオド
  7. 花瓶の花(Acoustic Version)
  8. 夜間飛行(Acoustic Version)

ライブ情報

「Huwie Best」フリーライブ
  • 2018年4月12日(木)東京都 代々木公園野外ステージ
「Huwie Best」発売記念インストアライブツアー
  • 2018年3月27日(火)北海道 HMV札幌ステラプレイス
  • 2018年3月29日(木)愛知県 鶴舞公園
  • 2018年3月30日(金)大阪府 タワーレコード難波店
  • 2018年4月1日(日)東京都 タワーレコード渋谷店
  • 2018年4月1日(日)福岡県 タワーレコードアミュプラザ博多店
  • 2018年4月14日(土)兵庫県 阪急西宮ガーデンズ 4階スカイガーデン 木の葉のステージ
弾き語りワンマンTOUR 2018「ピリオド」
  • 2018年5月3日(木・祝)神奈川県 Yokohama O-SITE
  • 2018年5月4日(金・祝)静岡県 HAMAMATSU FORCE
  • 2018年5月6日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2018年5月18日(金)広島県 Live Juke
  • 2018年5月19日(土)岡山県 城下公会堂
  • 2018年5月25日(金)京都府 UrBANGUILD
  • 2018年5月26日(土)兵庫県 James Blues Land
  • 2018年6月8日(金)福島県 Player's Cafe
  • 2018年6月9日(土)山形県 蔵オビハチ
  • 2018年6月10日(日)宮城県 SENDAI KOFFEE CO.
  • 2018年6月12日(火)秋田県 カフェ・ブルージュ
  • 2018年6月13日(水)岩手県 the five morioka
  • 2018年6月14日(木)青森県 1/3
  • 2018年6月17日(日)北海道 札幌くう
  • 2018年6月22日(金)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2018年6月23日(土)石川県 もっきりや
  • 2018年6月24日(日)新潟県 ジョイアミーア
  • 2018年6月29日(金)岐阜県 yanagase ants
  • 2018年7月1日(日)三重県 M'AXA
  • 2018年7月5日(木)鹿児島県 Live HEAVEN
  • 2018年7月7日(土)熊本県 ぺいあのPLUS'
  • 2018年7月8日(日)福岡県 ROOMS
  • 2018年7月16日(月・祝)埼玉県 西川口Hearts
  • 2018年7月20日(金)大阪府 ROCKTOWN
  • 2018年7月22日(日)愛知県 SPADE BOX
  • 2018年7月25日(水)東京都 TSUTAYA O-WEST
石崎ひゅーい(イシザキヒューイ)
石崎ひゅーい
1984年3月7日生まれ、茨城県水戸市出身のシンガーソングライター。風変わりな名前は本名で、デヴィッド・ボウイのファンだった彼の母親が、ボウイの息子・ゾーイ(Zowie)をもじってひゅーい(Huwie)と名付けた。高校卒業後、大学で結成したバンドにてオリジナル曲でのライブ活動を本格化させる。その後は音楽プロデューサーの須藤晃との出会いをきっかけにソロシンガーに転向し、精力的なライブ活動を展開。2012年7月、ミニアルバム「第三惑星交響曲」でメジャーデビューし、2013年2月から5月にかけて全国47都道府県を回るライブツアー「全国!ひゅーい博覧会」を実施した。同年6月にテレビ東京系ドラマ「みんな!エスパーだよ!」のエンディング曲「夜間飛行」を、7月に1stフルアルバム「独立前夜」をリリース。2016年5月に2ndフルアルバム「花瓶の花」、その7カ月後となる12月に須藤晃オールプロデュースによる3rdアルバム「アタラズモトオカラズ」を発表。同じく12月には、松居大悟監督、蒼井優主演の映画「アズミ・ハルコは行方不明」に出演した。2018年3月に初のベストアルバム「Huwie Best」をリリース。