石崎ひゅーいが初のベストアルバム「Huwie Best」をリリースした。
2012年7月にミニアルバム「第三惑星交響曲」でデビュー以降、これまでに45曲を発表してきた石崎。本作にはファン投票で選ばれた上位14曲に、新曲「ピリオド」、代表曲「花瓶の花」「夜間飛行」の弾き語り音源を加えた計17曲が収められる。
アルバム発表のタイミングで彼は「石崎ひゅーいの第一章はこの『Huwie Best』で終わりにします。『ピリオド』という新曲をアルバムの最後に入れて。もうすぐ春が来る、僕はまた新しい旅に出かける気持ちでいます。第二章も楽しみにしていてください」というコメントを発表。今回のインタビューではベストアルバムの話を中心に、楽曲制作の変化や今後の展望についてじっくりと語ってもらった。またドラマ「トドメの接吻」の主題歌「さよならエレジー」を提供するなど、公私共に仲のいい菅田将暉との交流についても聞いた。
取材・文 / 丸澤嘉明 撮影 / 大槻志穂
- 石崎ひゅーい「Huwie Best」
- 2018年3月28日発売 / EPICレコードジャパン
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[CD] 2900円
ESCL-5043
- 収録曲
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- 第三惑星交響曲
- ファンタジックレディオ
- 夜間飛行
- ピノとアメリ
- ひまわり畑の夜
- ガールフレンド
- ピーナッツバター
- 星をつかまえて
- 1983バックパッカーズ
- おっぱい
- 常識
- 僕がいるぞ!
- 僕だけの楽園
- 花瓶の花
- ピリオド
- 花瓶の花(Acoustic Version)
- 夜間飛行(Acoustic Version)
正直、空っぽだな
──そもそもなぜ今、ベストアルバムを出すことにしたんですか?
きっかけとしては、レコード会社から「ベストを出さないか?」って言ってもらったんですよ。ただ正直、僕はそこまでヒット曲があるわけでもないし、おこがましいっていう気持ちもあって。でもデビューして5年半が経って、自分が今どういう状態なのか考えてみたんですね。そしたら制作に関してだいぶ磨り減ってるな、空っぽだなと思って。だから石崎ひゅーいのこれまでの活動に一度終止符を打ってもいいんじゃないか、そのために作るベストアルバムなら意味があるんじゃないかって考えたら自分の中ですごく腑に落ちたんですよ。今までの曲をまとめて、それだけじゃなくて次のステップに行くために新曲も付けて。
──空っぽになったというのが意外でした。これまで飄々と曲作りをしていた印象があったので。
いろんなタイプのシンガーソングライターの方がいると思うんですけど、僕の場合はけっこう自分を削って曲を作ってたんですよね。そのアウトプットの形がファンタジー的なものだったりバラードだったり、いろいろあるんですけど、大元は生身の経験と言うか。そういうものをちょっとずつ削って出してきたけど5年半経ってだんだんなくなってきてると言うか、限りなくゼロに近くなってるんだと思いますね。今までそういうことに目を向けないようにしていたんですけど、そうじゃなくて認めちゃおうと思ったんですよ。でないと前に進めないなって。
──ベストアルバムをファン投票の形にしたのはなぜ?
これまでのまとめ的な作品なのでみんなに協力してもらいたかったっていう純粋な気持ちからですね。それに石崎ひゅーいのことを俯瞰的に見てくれてるのはファンの人たちだと思うので。
──その結果、ライブ映像作品「キミがいないLIVE」にのみ収録されている「常識」が1位になりましたね。ファン投票の結果を見ての感想は?
みんないろいろ考えてくれたんだなっていうのがわかりましたね。「花瓶の花」や「夜間飛行」も多かったし、「常識」が一番多かったっていうのもよくわかるんですよ。CD化されてないものを音源として聴きたいっていう純粋な気持ちなんだろうなって。僕としてはシングルもそうじゃない曲もあまり差がなくて、どの曲も並列だったりもするんですけど、みんなの意見を知れるのは面白かったですね。
──代表曲も入ってるし「常識」のようなライブで定番のバラードも入ってるし、結果的にすごくバランスがいい収録曲になりましたね。
そうですね、バランスはすごくいいなと思いました。
──曲順はどうやって決めたんですか?
最初、曲を発表した順に並べてみたんですけどあまりしっくりこなくて。それでライブのセットリストを組むみたいに、「こういう流れだったら聴きやすいんじゃないかな」というのを僕なりに考えながら決めました。
──確かに初めに「第三惑星交響曲」などのシングル曲で聴く人の心をグッとつかんで、バラードを合間に挟みつつ本編最後を「花瓶の花」で締める。そしてアンコールで新曲と弾き語りを披露するっていうライブのような流れになってますね。普段のライブではどんなことを考えながらセットリストを組んでるんですか?
その都度テーマみたいなものを決めて、舞台監督の方と考える感じですね。体を動かして魂を解放させられるようなライブにしてみたり、逆にめちゃめちゃ重い雰囲気にして言葉が聞こえてくるようなライブにしてみたり。「『アタラズモトオカラズ』のリリースツアーだからこういうライブにしよう」って作品に合わせても考えますし。
──バンドセットと弾き語りでも違うでしょうし。
全然違いますね。だからいつも迷います。果たしてそれが正解なのかどうかはやってみないとわからないですし。ライブって自分が思い描いている方向にもっていかないといけないと思うんですけど、うまくいかないときもあるし。毎回試行錯誤してます。
歌い方は別にいつも一緒じゃなくていい
──今回「花瓶の花」「夜間飛行」を弾き語りで録り直してますが、この2曲は石崎さんにとってどういう曲ですか?
先ほど「自分の中ではどの曲も並列」って言いましたけど、僕の曲の中で代表曲ではあると思うんですよ。この2曲を取っ掛かりにして僕のことを知ってくれる人が多いので。去年僕は弾き語りツアーをずっと回っていて、そこで音源になってる「夜間飛行」や「花瓶の花」とはまったく違うアプローチや表現方法が生まれたんですね。そういうのをほかのみんなにも聴かせてあげたかったので今回弾き語りで録り直しました。
──ライブをしていく中で、当初リリースしたときから石崎さんの中で曲が変化してきている?
それはありますね。弾き語りのライブを通して、歌い方や細かな表現法は別にいつも一緒じゃなくていいと思ったんです。ツアーに何会場も来てくれるお客さんから感想をもらったりもしたんですけど、毎回毎回違う歌い方をしてるのが楽しかったみたいで。そういう歌い方をちゃんとしていきたいなって。
──それで言うと、今回のアルバム用の弾き語りはどういう気持ちで歌ったんですか?
去年弾き語りツアーを回った僕の今現在の表現方法のまとめ的なものですかね。最初に出した音源とはまったく違う歌になってると思うんですよ。聴き比べしてみてそういう部分を楽しんでほしいと思います。「ひゅーいはこういう感じでも歌えるのね」って思ってもらえたらうれしいです。
──バンドサウンドと弾き語りでのコントラストもありますし、同じ弾き語りとは言え「花瓶の花」と「夜間飛行」のアプローチもかなり違いますよね。「花瓶の花」は息遣いが聞こえてくるくらい静謐な世界観で、一方で「夜間飛行」は路上ライブで歌ってるかのような荒々しさがあって。
そう言われてみるとそうですね。この2曲は同じタイミングでレコーディングしたのでエンジニアさんは大変だったと思います。音量が全然違うから(笑)。
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菅田将暉は想像を超えてくる
ライブ情報
- 「Huwie Best」フリーライブ
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- 2018年4月12日(木)東京都 代々木公園野外ステージ
- 「Huwie Best」発売記念インストアライブツアー
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- 2018年3月27日(火)北海道 HMV札幌ステラプレイス
- 2018年3月29日(木)愛知県 鶴舞公園
- 2018年3月30日(金)大阪府 タワーレコード難波店
- 2018年4月1日(日)東京都 タワーレコード渋谷店
- 2018年4月1日(日)福岡県 タワーレコードアミュプラザ博多店
- 2018年4月14日(土)兵庫県 阪急西宮ガーデンズ 4階スカイガーデン 木の葉のステージ
- 弾き語りワンマンTOUR 2018「ピリオド」
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- 2018年5月3日(木・祝)神奈川県 Yokohama O-SITE
- 2018年5月4日(金・祝)静岡県 HAMAMATSU FORCE
- 2018年5月6日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2018年5月18日(金)広島県 Live Juke
- 2018年5月19日(土)岡山県 城下公会堂
- 2018年5月25日(金)京都府 UrBANGUILD
- 2018年5月26日(土)兵庫県 James Blues Land
- 2018年6月8日(金)福島県 Player's Cafe
- 2018年6月9日(土)山形県 蔵オビハチ
- 2018年6月10日(日)宮城県 SENDAI KOFFEE CO.
- 2018年6月12日(火)秋田県 カフェ・ブルージュ
- 2018年6月13日(水)岩手県 the five morioka
- 2018年6月14日(木)青森県 1/3
- 2018年6月17日(日)北海道 札幌くう
- 2018年6月22日(金)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
- 2018年6月23日(土)石川県 もっきりや
- 2018年6月24日(日)新潟県 ジョイアミーア
- 2018年6月29日(金)岐阜県 yanagase ants
- 2018年7月1日(日)三重県 M'AXA
- 2018年7月5日(木)鹿児島県 Live HEAVEN
- 2018年7月7日(土)熊本県 ぺいあのPLUS'
- 2018年7月8日(日)福岡県 ROOMS
- 2018年7月16日(月・祝)埼玉県 西川口Hearts
- 2018年7月20日(金)大阪府 ROCKTOWN
- 2018年7月22日(日)愛知県 SPADE BOX
- 2018年7月25日(水)東京都 TSUTAYA O-WEST
- 石崎ひゅーい(イシザキヒューイ)
- 1984年3月7日生まれ、茨城県水戸市出身のシンガーソングライター。風変わりな名前は本名で、デヴィッド・ボウイのファンだった彼の母親が、ボウイの息子・ゾーイ(Zowie)をもじってひゅーい(Huwie)と名付けた。高校卒業後、大学で結成したバンドにてオリジナル曲でのライブ活動を本格化させる。その後は音楽プロデューサーの須藤晃との出会いをきっかけにソロシンガーに転向し、精力的なライブ活動を展開。2012年7月、ミニアルバム「第三惑星交響曲」でメジャーデビューし、2013年2月から5月にかけて全国47都道府県を回るライブツアー「全国!ひゅーい博覧会」を実施した。同年6月にテレビ東京系ドラマ「みんな!エスパーだよ!」のエンディング曲「夜間飛行」を、7月に1stフルアルバム「独立前夜」をリリース。2016年5月に2ndフルアルバム「花瓶の花」、その7カ月後となる12月に須藤晃オールプロデュースによる3rdアルバム「アタラズモトオカラズ」を発表。同じく12月には、松居大悟監督、蒼井優主演の映画「アズミ・ハルコは行方不明」に出演した。2018年3月に初のベストアルバム「Huwie Best」をリリース。