6人組の歌い手グループ・いれいすがメジャー2ndアルバム「IRREGULAR BULLET」をリリースした。
2022年7月にメジャーデビューを果たしたいれいすは、今年2月にかねてより目標に掲げていた東京・日本武道館でのワンマンライブを開催する。さらに念願だったテレビアニメのタイアップも決まり、現在放送中の「最強タンクの迷宮攻略」でオープニングとエンディング両主題歌を担当している。
脅威のスピードで成長を続ける彼らが発表した新作「IRREGULAR BULLET」は驚きの21曲入り。HoneyWorks、FAKE TYPE.、Giga、JQ(Nulbarich)、TeddyLoid、まふまふ、蝶々P、まらしぃ、柊マグネタイト、夏代孝明、DIVELA、164といった多彩なアーティストが参加している。
この豪華なアルバムを携えて日本武道館公演を控える6人は今、何を思うのか。この特集では楽曲に込めた思いや武道館公演への意気込みを聞いたほか、インタビューでは語り尽くせなかった収録曲について、セルフライナーノーツという形で紹介してもらった。
取材・文 / ナカニシキュウ
これって曲数多いほうなんですか?
──いれいすが結成当初から目標に掲げてきた日本武道館公演を目前に控え、メジャー2ndアルバムとなる新作「IRREGULAR BULLET」がリリースされました。かなりの力作になりましたね。
ないこ そうですね、本当にいろんな種類の楽曲が詰め込まれた作品になっております。従来のいれいすっぽい曲もあれば、挑戦的な楽曲、それこそ武道館記念ソングなんかも入っていて、本当に盛りだくさんな1枚になりました。
──実際、21曲入りという大ボリュームの内容で……まあ、いれいすの場合はいつもそうなんですけど(笑)。こんなふうに過剰なまでの曲数を詰め込むのは、グループとしてのポリシーだったりするんですか?
ないこ ……これって、曲数多いほうなんですか?
悠佑 多いと思うよ(笑)。普通はだいたい12曲くらいじゃない?
初兎 そうなんや! え、フルアルバムでも?
悠佑 それくらいやと思う。やっぱり、うちらの場合は各々のソロ曲とかもあったりするので、その分多くなりがちなのかなと思ってるんですけど。
──ですよね。今回も6人それぞれのソロ曲ブロックと、同じ作曲家さんで6人それぞれが作詞をした楽曲のブロックがあって、それだけで必然的にもう12曲になってしまうという。
悠佑 そうなんですよね。
──ただ、それがアルバム全体の半分に過ぎないというのはちょっと異常なことだと思います。
-hotoke- 異常(笑)。
悠佑 いや、ホントにそうだと思います(笑)。でもやっぱり、出し惜しみせずに曲をたくさん入れたほうが喜んでもらえるかなっていう思いもあって。ライブも毎回曲数が多いんで、「いれいすはなんでもボリュームが多い」とはよく言われますね。
ないこ ふふふふ。
りうら あとやっぱ、メジャーアルバムだからというのもあるよね。どうせならいつも以上に盛りだくさんに、いろんなことをしたいっていう。
──そうなんですね。まさか「ほかより多いんですか?」という逆質問が返ってくるとは夢にも思いませんでしたけど……。
一同 あははは。
──つまり狙ってそうしているわけではなくて、自然と多くなってしまうんですね。
If グループの走り出しからそんな感じで来ちゃってるから、今もそれが継続してるっていうことじゃないですかね。
ないこ うん、そんな感じですね。
──ただ、これだけ曲数が多いとシンプルに大変なんじゃないかと思うんですけど。
悠佑 シンプルに大変です。
-hotoke- あははは。
りうら アルバムを作るときは毎回バタバタしてるよね。
ないこ ね、すごく大変だよね(笑)。ただ、やっぱり「今の自分たちが出せるものは全部届けたい」という思いのほうが勝っちゃってるんだと思います。
初兎 うんうん、ホントそんな感じ。
──例えば「アルバムは10曲くらいでいいです」と言われたら、逆に困りますか?
ないこ ああー。確かに、それは逆に困るかも。
りうら めちゃくちゃ厳選しないとだもんね。
悠佑 ソロ曲なしにすればできるかもしれないけど……。
If ソロなしって言われたら困るね。
ないこ うん、無理だな。
一同 あははは。
冬になるとカッコいい曲をやりがち
──収録曲でいうと、個人的にはまず「Clutch」のゴリゴリなサウンド感にだいぶ食らいました。
初兎 うわー、うれしい。
悠佑 今までのいれいすとは全然毛色が違った感じをお願いしたもんね。
りうら 挑戦の1曲だったね。これもやっぱりせっかくのメジャーアルバムだからということもあり、普段のいれいすとはひと味違った新しい側面も見せられたらなっていうところから、僕らがこれまであまりやってこなかったジャンルを得意とする作家さんにお願いしようということになって。Gigaさん、TeddyLoidさん、NulbarichのJQさんという豪華な面々にお声がけさせていただいた結果、生まれた楽曲ですね。
──最も特徴的なのは、やはり低音ですよね。ここまでベースがブリブリ鳴っている曲というのはなかったと思いますし、いれいすに限らずJ-POPシーン全体でも珍しいレベルというか。
悠佑 曲を作ってもらうにあたって、「K-POPやヒップホップのイメージで」とお願いしたんです。ネットのトレンドというよりは世界のトレンドに寄せていくっていう、歌い手グループとしては珍しいやり方だと思いますね。そこで何か新しい相乗効果が生まれたらいいなあっていう思いがあったんですよ。
初兎 僕はずっとラップが好きだったこともあって、こういう低音の効いた楽曲が個人的にすごく好きなんです。だからずっとやりたかった部類のものではあるんですよね。いれいすはどっちかというとアイドルっぽいと言いますか、キラキラした曲が多いんですけど、なぜか冬になるとカッコいい曲をやりがちという傾向があって(笑)。今回はまた新しい種類のカッコいい路線が生まれたなと思いますね。めちゃめちゃ好きな1曲です。
武道館よりうれしかった
──そして、「Brave」と「夢の中で」がアニメ「最強タンクの迷宮攻略」の主題歌になっていることがトピックとしては大きいと思います。アニメのタイアップは初なんですよね。
ないこ はい。初めてです。
悠佑 このタイアップが決まったときは、ぶっちゃけ武道館よりうれしかったです(笑)。
一同 わはははは。
悠佑 まあ、それはちょっと言いすぎですけど(笑)。僕は以前ずっとバンド活動をしていて、そのときの夢が「いつかアニメのタイアップをやりたい」だったんですよ。だから今こうしていれいすとしてアニメの曲を歌えることが本当に感慨深いというか、夢が叶ったという気持ちが強くて。
初兎 第1話が放送されたとき、6人で集まって一緒にオンエアをリアルタイム視聴したんですよ。テレビから自分たちの歌声が流れてくるということに対して、シンプルに「すげえ!」と思って。
りうら 「俺らの声だー!」ってめちゃめちゃ興奮したよね(笑)。
悠佑 みんなテレビにかじりついとったもんな。
初兎 うれしかったー。オープニング主題歌の「Brave」は、歌い出しが悠佑なんですね。僕らは悠佑が「アニメのタイアップをやりたい」とずっと言い続けていたのを知ってるから、テレビから悠佑の歌声が最初に聞こえてきたときは、もう自分のことのようにうれしかった。まあ実際、自分のことでもあるんですけど(笑)。とにかくそれくらい感動がありましたね。うちのリーダーなんて、放送を観るためにわざわざテレビのケーブルを買ってますから。
ないこ うち、ケーブルがなくてテレビが観られない状態だったんですよ。なので放送前に家電量販店に買いに行きました。
──なるほど(笑)。ちなみに「最強タンクの迷宮攻略」には、りうらさんが声優としても参加されているとか(参照:いれいす・りうら「最強タンクの迷宮攻略」声優に決定)。
りうら そうなんです。ちょろっと出させていただきました。僕が個人的に声のお仕事を目標に活動してきたということもあって、このお話が決まったときはめちゃめちゃうれしかったですね。
──そう考えると、グループとしては武道館という夢が叶い、悠佑さんやりうらさんは個人としての夢も叶えたと。いろんな夢がいろんな形で実現するところから始まる2024年、ということになるわけですね。
りうら 本当にそうだと思います!
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特別な1曲になるべくして生まれた曲