いれいす「DICE」特集|急成長中の歌い手グループが“イレギュラー”なアルバムでメジャーデビュー

りうら、-hotoke-、初兎、ないこ、If、悠佑の6人からなるグループ・いれいすが、メジャー 1stアルバム「DICE」を7月20日にリリースした。

メジャーデビュー作となる「DICE」には「MEMORIZE!!」「僕らが導く約束の物語」「Seventh!」などの人気曲や、「Advance」「のんすとっぷ!L♡VEサマー」「キミコイ」などのグループ曲、メンバーソロ曲6曲を含む全20曲が収録され、幅広い音楽性や6人それぞれの個性が表現された作品に仕上がっている。

音楽ナタリーでは本作の発売に際していれいすのメンバーにインタビュー。アルバムのオススメ曲、ソロ曲の聴きどころ、いれいすの特徴や強みなどについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之

それぞれ異なる音楽ルーツ

──まずはメンバーの皆さんに自己紹介していただきつつ、音楽のルーツを教えていただけますか?

りうら はい! “ダイスナンバー”1番、赤色担当のりうらです。メンバーの中では最年少で、音楽的なルーツは邦楽ロックがメインですね。Mrs. GREEN APPLEさん、King Gnuさん、THE ORAL CIGARETTESさん、UNISON SQUARE GARDENさんとか。高校のときは軽音楽部だったので、友達とコピーバンドも組んでました。

-hotoke- ダイスナンバー2番、水色担当の-hotoke-です。“いむくん”と呼ばれてます。中学生のときに歌い手やボーカロイドの音楽を聴き始めて、2020年に歌い手活動を始めました。好きなボカロPはナユタン星人さんですね。

──-hotoke-さんの声、確かにナユタン星人さんの曲が似合いそうですね。

-hotoke- うれしいです! いつか曲を作ってもらいたいですね。

初兎 ダイスナンバー3番、白と紫担当の初兎です。グループではラップと低音を担当していて、いれいすに参加する前、2018年くらいから歌い手として活動していました。ラップを始めたきっかけとしては、「高校生RAP選手権」の影響があったかも。僕はラップバトルが苦手だったんですけど(笑)、周りの友達がけっこうラップをやってたんです。好きな歌い手さんはnqrseさんで、ずっと憧れてますね。

ないこ ダイスナンバー4番、ピンク担当のないこです。リーダーをやらせてもらってます。2020年4月に歌い手としての活動を始めて、2020年10月にいれいすを結成しました。音楽のルーツとして特定のジャンルがあったり、特定のアーティストを聴いてきたわけではなくて、いろんな音楽を聴いてましたね。バンドだとポルカドットスティングレイさん、SHISHAMOさん、Mrs. GREEN APPLEさん、ELLEGARDENさん、ASIAN KUNG-FU GENERATIONさん、あとはAqua Timezさんも好きでした。ボカロPの楽曲も聴いてました。

If ダイスナンバー5番、青色担当のIfです。僕もりうらと同じで、高校時代は軽音楽部だったんですよ。BUMP OF CHICKENさん、RADWIMPSさん、ELLEGARDENさんとかのカバーをやってました。ずっと好きなのはONE OK ROCKさんですね。大学のときはアカペラサークルに入って、アニソンのカバーをやってました。リスナーとしてはなんでも聴いてますね。

悠佑 ダイスナンバー6番、黒担当の悠佑です。メンバーの中では音楽のキャリアが一番長くて、10年くらいバンド活動をやってました。ルーツとしては、GRANRODEOさんなどのアニソン系のロック。好きなボーカリストはずっと西川貴教さんですね。

いれいす「Irregular Dive in バーチャル」より。

いれいす「Irregular Dive in バーチャル」より。

あのときの選択は間違ってなかった

──いれいすの活動がスタートしたのは、2020年10月。この2年ほどで一気に知名度を上げてきましたが、これまでの活動の中で印象に残っている出来事は?

りうら 高校時代にライブをやったことがあるんですが、お客さんはほとんど友達で、遊びレベルだったんですよ。それもあって、初めてのワンマンライブ(2021年8月に東京・吉祥寺CLUB SEATAで開催された「Irregular Stage!」)は印象に残っています。自分たちを好きでいてくれるお客さんが来てくれて、そのことに「すごい!」と衝撃を受けて。ペンライトの光もめっちゃキレイでした。そんな経験、なかなかできないじゃないですか。

-hotoke- そうだよね。僕はもともと、顔を出したくないから歌い手を始めたところがあって。

ないこ え、そうなの?

-hotoke- うん(笑)。ネットだと顔を出さなくても活動できるだろうなと思ってたんだけど、気付いたらステージに立って、顔を出して歌っていて。普段は画面越しの活動ですけど、いれいすを応援してくれてる皆さんとリアルにお会いできたのはすごくうれしかったし、やっぱりライブには特別なものがあるんだなと感じました。

──リアルライブの開催は予想外の出来事だったんですね。

-hotoke- 想像もしてませんでした。最初は恥ずかしさや緊張感もあったし、歌やダンスをもっとがんばらないといけないなと思いました。

初兎 今、予想外の出来事という話がありましたけど、僕にとってはいれいすに入ったことがまさにそうで。加入する直前、実はある企業から内定をもらっていたんです。実家が大阪にあって、親や周りの人からは「歌い手やり続けて大丈夫なん? 就職したほうがいい」と心配されたんですけど、自分としては「人生1回だし、歌い手としてがんばりたい」という気持ちが強くて。内定を辞退したのは人生のターニングポイントでしたね。いれいすの未来はまったく見えない時期だったんですけど、あのときの選択は間違ってなかったなと。過去の自分に「よくやった」と言いたいです。

──ないこさんの印象的な出来事はなんでしょう?

ないこ 大きいイベントや案件が決まって、発表するまでの期間が一番エモーショナルな気持ちになります。最近でいうと、ファミリーマートさんとのコラボだったり、夏の全国ツアー(7月から9月にかけて開催中のツアー「Summer Tour 2022 Irregular Vacation」)だったり。決まってから発表するまでに3カ月から半年くらいかかるんですが、準備を進める間もすごくワクワクするんです。

──準備期間が楽しいというのは、すごくリアルですね。皆さんにとっては、そこが一番大事なところでしょうし。

ないこ そうなんですよね。だって、ファミリーマートで自分たちの声が流れるなんて、とんでもないことじゃないですか? 話が決まったときはメンバー全員、「え、マジ?」という感じだったし(笑)、ファンの皆さんもすごく喜んでくれました。

If 印象に残ったことを“点”で挙げるのは難しくて。自分のことで言えば、社会人をやりながらの活動なので、体力的にはかなりしんどかったんですよ。冬のツアー(2021年12月から2022年2月にかけて行われた全国ツアー「RAID OF DICE」)のときも深夜に練習して。しっかり準備してライブをやったり、CDという形で皆さんにお届けできたりすると、すごくやりがいを感じます。僕は子供の頃から「勉強したほうがいい」と言われて、なんとなく進学して、一般企業に入って。そういう人生だったんですけど、今は音楽の道も人生の中に加わって、死に物狂いで挑戦しているし、自分の人生をしっかり歩むことができている手応えがあります。

悠佑 うん。ずっと本気でやってきたし、これからも同じように本気でやるしかないと思っていて。メジャーデビューが決まって、活動の幅が広がって、可能性はさらに広がってますけど、ここで調子に乗ることはないし、もっとがんばらないといけないなと。

──ラッキーや偶然ではなく、やることをやってきたんだから、現在の好調ぶりは当然の結果という感覚がある?

悠佑 ラッキーもあると思うんですよ。ただ、チャンスがあったときにどれだけ対応できるかは、自分たち次第なので。

If ええこと言うなあ(笑)。