みんな超成長している
──そして、3月28日に2ndフルアルバム「Tranxend」がリリースされます。「Tranxend」というタイトルにはどのような意味が込められているんでしょうか?
はのんまゆ 「Tranxend」には「超えていく」「超越」みたいな意味があって、今回のアルバムはINUWASIの方向性を示して確立させていくような作品になっています。そのことが一番わかりやすく表れているのは、初期の楽曲「All I Know」のリアレンジで。オリジナルはけっこう尖っていて、ネガティブな部分が出ている歌詞だったんですけど、リアレンジバージョンでは今の私たちらしく、希望に向かって戦っていくんだという思いが表現されています。
──音だけじゃなく、歌詞も変わったんですね。
はのんまゆ オリジナルではあったセリフもなくなって。
ライカ リアレンジ前も希望を描いた感じの歌詞ではあったんですけど、悲観的なフレーズがちょっと入ってたんです。3年間活動してきて、未来に向かって進んでいく大切な節目のときに、再レコーディングすることができてうれしかったです。
すずめ オリジナルでは「紡げない」と歌っていたところが「紡いでゆく」という歌詞になったんですよ。「All I Know」はメンバーからメンバーへ思いのバトンをつなぐようなイメージの曲だと思っていて。初披露したのがデビューしてからわりとすぐで、そのときはフロアにいるお客さんが本当に少なかったんですけど、リアレンジバージョンを歌ったLIQUIDROOMの景色はまったく違ったんです。隣にいるメンバーは変わらないけど、みんな超成長している。この6人でリアレンジバージョンを歌えてうれしかったですし、メンバーとの絆を感じられました。
はのんまゆ 曲の最後、6人で輪になって抱き合うんだよね。
──オリジナルのときからそういう振付だったんですか?
すずめ いえ、振付も変わりました。
──アルバムの最後に収録されている「ネバーエンディング(Live Arrange)」も、初期曲をリアレンジしたナンバーです。この曲に関するエピソードや思いも聞かせてもらえますか?
カリヲリ 「ネバーエンディング」のミュージックビデオは、監督さんが「もしメンバー6人が違う人生を歩んでいたら」というテーマで撮ってくださったんです。なので、この曲をライブで披露するときは、みんなとステージに立っていない、もしもの世界のことを考えたりするんですよ。でも現実ではメンバーが隣にいるわけで、この6人と歌えることができてよかったという気持ちがあふれてきます。
──ライブでは最後に披露するのが定番になっていますよね。
ライカ 「ネバーエンディング」というタイトルの通り、聴いている側も歌ってる側も、ライブは終わってしまうけど、その続きを見ていたいという気持ちになる曲ですね。
──このほか、今作の新しい要素として象徴的なのが、先ほど少し話に出た1曲目の「shyness」と2曲目の「Over the traces」ですよね。サイケやトランスの要素を取り入れたINUWASIの新機軸といいますか。
すずめ イヴちゃんがこういう曲、好きなんだよね。
イヴ 大好きです。特に「shyness」をINUWASIで歌えるのがうれしくて、テンションが上がります。気持ちが爆発しちゃうくらい。
──アルバムのリリースが発表されたときのコメントからも、この曲が好きなことが伝わってきました(参照:INUWASIの2ndフルアルバム詳細発表、新アーティスト写真も公開)。
イヴ 愛してます。ドラムやベースも含んだシンセ系の音で気持ちが高まりますし、ライブ中にファンのみんなとの一体感を生み出せる曲です。
ライカ 「Over the traces」については、ラップ調の部分が特にライブで盛り上がる曲で。ライブの人気曲の上位に仲間入りしていると思います。ラップ調のところは、私とがるむさんが歌っているのでぜひ注目してみてください。
今は迷いがなくなった
──「Tranxend」を含め、最近の作品を通してINUWASIのサウンドが固まってきたのかなと思うんですけど、一方で変化し続けることもグループとして必要とされると思うんです。そのあたりについてはどう考えていますか?
カリヲリ 「Tranxend」を聴いていただけたら、INUWASIがどういうグループなのかわかると思っていて。今までいろんな変化を遂げていく過程で、さまざまな曲調の楽曲をやってきたんですけど、今は迷いがなくなった。INUWASI特有の重めなバンドサウンドを軸にした曲も収録されていますが、その曲もただ重いだけではなくかわいさのテイストも含まれていて。サイケやトランスといったこれまでのINUWASIになかった新しい要素を取り入れているし、そういう意味でEPやアルバムのリリースごとに変化していく姿勢は今回も変わっていないと思います。そして今のINUWASIの姿が表れた作品になっていると思います。
──まさに自信作ということですね。まだ話に出ていない収録曲についても、1曲ずつアピールしていただければと思います。
すずめ はい。私個人の話なんですけど、スランプというか、思うように歌えず、ステージに立つのがちょっと怖くなってしまった時期があって。3曲目の「Star cloud」に「存在と価値を 今こそ示せ 壁とは幾度立ち止まる自分」という歌詞があるんですけど、この言葉を最初に見たときに背中を押されたというか、自分の存在を示せるようにならなきゃと思ったんです。ファンの方に「自分もがんばろう」と思ってもらえるようになりたい、壁を壊して今までの自分を超えていきたいなと。
はのんまゆ 4曲目の「Isolation」は「黒猫と一緒にほうきで空飛んで」という歌詞が入っていたり、アルバムの中でもかわいらしい曲で大好きなんですけど、歌詞は切ないんです。タイトルも「孤立」とか「離れる」という意味の言葉ですし。でも、離れることが悲しいとただ歌ってるんじゃなくて、それを受け入れて前に進んでいこうみたいなニュアンスがあって、自分自身に歌詞を重ねてウルっときました。
──5曲目の「All I Know(Rearrange)」については先ほど伺ったので、続いて6曲目「Endless」の紹介をお願いします。
がるむ 「Endless」は、アニメのオープニングのような曲です。歌詞では今までのINUWASIの曲で言うと、2ndミニアルバム「Thanatos」に収録されている「holy」のルーツを、曲調ではCパートから「バントシェンナ」みたいなルーツを残した、テンポチェンジを繰り返すカッコいい曲です。振りはかなり動きが大きくて、ちょっと妖艶な腰遣いが試されるのでがんばって踊っています。
はのんまゆ でも、サビの振りはかわいいよね。
がるむ ファンの方も一緒に踊れる振りだと思います。うねうねした動きなんですけど、めちゃくちゃカッコよくて激しい曲です。
すずめ 次の「eclipse」も激しめな曲です。自分が歌ってる「靄がかって夢みたいだ」という歌い出しのパートや、「Hey!」と繰り返す間奏のあとのイヴちゃんのパートが聴きどころだと思います。シンセの音が絡まっていて、超カッコいいです。
カリヲリ 8曲目の「Break up notion」もすごく疾走感がある曲で、歌詞に「現状維持に価値はない」というフレーズがあるのが印象的です。私もINUWASIもまだまだ足りてない部分が多いんですけど、今の場所にとどまってたら意味はないというか、アルバムのタイトルの通り“超越”していこうとしている私たちにぴったりな歌詞だと思います。
スタッフ 何点か補足しますと、「Endless」もサイケやトランスの音色が入っているんですけど、バンドサウンドの上に重ねてるのがINUWASIとしては新しくて。今までのINUWASIのイメージをしっかり残しながらブラッシュアップしていただきました。「eclipse」も攻めた曲で、ラウドを意識した音色、アーティストで言ったらBring Me the Horizonのようなリフを取り入れているものの、しっかりエモーショナルに歌唱するセクションを入れたり、かわいらしさも感じられるようにしていて、サウンドとメロディのバランスが絶妙だと思っています。ガヤパートでライブが盛り上がる曲になればいいなと。「Break up notion」も最初はバンドサウンドで進行していくはずだったんですけど、ちょっと違うなと思って、エレクトロの要素を途中から強めに入れました。そこから、すずめの声を使ったボーカルチョップのピッチが上がっていく。ここらへんで高揚するトランス感、エレクトロ感を表現してもらったつもりで、そのあとテンポアップしながらバンドサウンドに戻るのがいい配分だなと。制作途中にいろいろと変わっていった曲です。
──なるほど。確かにこの3曲も、今回のアルバムにおける新しい要素を顕著に感じられますね。9曲目の「Sky Flower」についてはどうでしょう?
ライカ 「Sky Flower」は、全体的な印象としては未来に向かっていく感じで明るい曲なんですけど、ただ明るいのではなく、暗い場所に1人ぼっちでいる人に手を差し伸べて救うような、心が温かくなるような曲です。「Change」(2022年7月に配信リリースされた楽曲)に似ている部分があって、私としては今回のアルバムの中で一番好きな曲で、ファンの皆さんも好きになってくれるんじゃないかなと期待しています。
INUWASI、絶対に売れます!
──5月27日には東京・渋谷CLUB QUATTRO、10月23日には東京・Spotify O-EASTで、昨年より開催されている「INUWASI Tokyo Oneman Tour」の残りの公演が開催されます。
イヴ 絶対に2公演とも完売させたいです。LIQUIDROOMワンマンは本当に楽しかったんですけど、私たちもファンの皆さんもそれを超えるくらい楽しめるライブにしたいと思っています。WWW Xのときは悔しい思いをしたし、LIQUIDROOMも完璧なライブができたとは思ってないので、理想に近付けるようにがんばります。
はのんまゆ 去年のWWW Xの頃はまだ自分の殻を破れていなかったと思っていて。LIQUIDROOMでやっと自分らしさというか、最初から最後まで楽しいライブができたんです。でも、それで満足していてもダメなので、パフォーマンス面でもっとレベルアップした姿を見せていきたいし、もっとキャパの大きい会場でもフロアがパンパンな状態を実現させていきたい。あと、最近は体調を崩していろいろとできないこともあるんですけど、そういうこともなくして、気を抜かずに毎日がんばり続けたいと思っています。
がるむ チケットを完売させたい気持ちが強いけど、もちろんライブの内容もめちゃくちゃ大切で、LIQUIDROOMを超えるようなパフォーマンスをしなければならないと思っています。自分ではいいと思っていたパフォーマンスが第三者から見たら違うふうに思われてたという経験があって。何が正解か不正解かわからなくもなったりすることも多いんですけど、自信を持って、自分のパフォーマンスを確立させていきたいと思っています。
カリヲリ 確かにまたソールドアウトできたとしても、パフォーマンスの中身が変わらないと足踏みしているのと同じなので、もっと突き抜けるくらいの結果を残していきたいです。2023年はもっと自分に自信を付ける1年にしたいと思っていて。そのためには努力し続けるしかないと思うので、日々INUWASIのことを考えてがんばっていきます。
ライカ 現状維持だと意味がないし、過去最高の自分たちを更新できるライブを絶対にしたいです。O-EASTはINUWASIのワンマンの中で過去最大キャパの会場になるので、一丸となってもっともっと努力をして、多くの人に興味を持ってもらえる、好きになってもらえるようにがんばりたいと思っています。去年はたくさん悔しい思いをしてきて、自分たちの力不足でつかみ取れるかもしれなかったものもつかめなかったりしたんです。今年は周りの方々への感謝を忘れずに謙虚に、だけど欲張りに、もっともっと大きいグループになりたいです。
すずめ 先日、豊洲PITでのイベントに出演したんですけど、本当にたくさんの人がいて、ここにINUWASIだけで立ちたいと本気で思ったんです。正直、最近はスランプだったんですけど、あのステージからの景色を見たらこのままじゃいられないなとすごく感じました。ここで止まりたくないし、今回のアルバムタイトルの通り“超越”していく1年にしたいと思っています。アイドルシーンの中で圧倒的な存在になりたいし、すべてにおいて勝ちたいんです。O-EAST公演は、ワンマンツアーがスタートしたWWW Xからちょうど1年後になるので、6人全員の力を出し切って輝いていきたいです。INUWASI、絶対に売れます!
プロフィール
INUWASI(イヌワシ)
犬と鷲の融合“ハイブリッドラプター”をイメージした6人組アイドルユニット。芸能プロダクション・MAPLE INC.に所属している。2020年2月に黒い衣装を身にまとい、ハードコアの楽曲を歌うというスタイルで活動をスタートさせた。その後、作品の発表やワンマンライブの開催をコンスタントに続け、精力的な活動を展開。2022年10月には東京・WWW Xで3rdワンマンライブ、2023年2月には東京・LIQUIDROOMで初のバンドセットライブを行った。3月には2ndフルアルバム「Tranxend」をリリースした。