「ロック1本です！ 聴いてください！」ってバンッと出してるイメージ

──前回のインタビュー（シングル「風のごとく」発売時）で「2ndアルバムは井上ジョーのロックな部分を前面に出した作品になりそう」とおっしゃっていたんですが、でき上がった作品を聴かせていただいて、本当にそのとおりだなと思いました。

ありがとうございます！

──本編8曲にボーナストラック2曲と、タイトな構成ですよね。

ちょっと狙ってそうしたところもありますね。というのは、1stアルバムの「ME! ME! ME!」が振り幅広くいろんなジャンルの曲を書いたアルバムだったのに対して、今回はスッキリ聴けてなおかつ充実してるっていうことを重視したんです。井上ジョーをまだ知らない人が気軽にサッと聴けるような1枚を作りたくて、10何曲入れるよりもこの曲数がいいんじゃないかなって。

──このアルバムから聴き始める、新しいリスナーのことも考えて作ったと。

そうですね。なんというか、1枚目よりもわかりやすい形で井上ジョーを打ち出せたかなと思います。聴く人に対して「いっぱいあるよ。どれ選ぶ？」って提案したのが1stだとしたら、今回は「ロック1本です！ 聴いてください！」ってバンッと出してるイメージ。今回はコンセプトがはっきりしてて芯が通ってる分、聴き手を混乱させない形になってると思うんですよね。

──逆に言うと、1stは混乱させたという意識がある？

「ME! ME! ME!」は、とにかくいろんな井上ジョーを見せたいっていう気持ちが一番にあったので、良くも悪くもバラエティ豊か。まだ、リスナーにどう届くのか、どういう反応が来るのかわからなかったし、お客さんと直に触れ合う機会も極端に少なかったので「こんなのどうですか？」って自分のポートフォリオを見せるような気持ちでした。

本当にやりたかったロックの領域へ踏み込めた

──そもそも今回ロックというテーマに絞ったのはなぜですか？

自分の出発点や、井上ジョーの根底にあるものを見せたいと思ったからです。これはやはりライブをやり始めて、今まで躊躇してた部分に踏み込めたことが大きいですね。それまではリスナーにCDで聴いてもらうことを前提に曲を書いてたので、曲としてキャッチーなのか、聴いてていい曲なのかっていうことばかりに集中してて、ステージで歌ってリアリティがあるかとかはまったく考えてなかったんですね。だけどライブを重ねていくうちに、今までできなかった歌い方や発声も習得できて、自分の限界をどんどん超えていけるんだっていう自信がついた。それで本当にやりたかったロックの領域に踏み込めたんですよね。

──聴いていてもライブ向きだなと感じます。ステージで映えそうな曲が多かったり、コール&レスポンスの声が入っていたり。

確かに今回はライブでやることを想定して作りましたね。サウンドだけじゃなく詞もライブの影響で変わりまして、以前よりもっと自分の感情を大事にするようになりました。今まで歌詞で個人的なことを歌うのはちょっと避けていたりもしたんですけど、今回はどこまで感情を入れることができるかにチャレンジして、プライベートなことも詞に乗せて歌ってます。

──今まで個人的な内容の歌詞を避けていた、というのは？

なんだか自分のことを知られるのが怖いっていう気持ちがあって、誰もが共感できるようなことを書いてた気がします。客観的にプロデューサー的な目線で見て、その言葉にキャッチーさがあるか、いかに覚えてもらえるかを意識してたんですけど、今回はそういうリミッターを外してみました。そうしたらより自由に、もっと音楽を楽しみながら作ることができて、自分の感情を込めることに抵抗がなくなったんですね。