INKYMAPが11月15日に2ndフルアルバム「ASTEROID」をリリースした。2015年4月発売の1stミニアルバム「MAKE BELIEVER ?」ではメロディックパンクやパワーポップからの影響を感じさせるエモーショナルなギターロックサウンド、2016年10月発売の1stフルアルバム「BLISTER ON MY FOOT」ではオルタナ / グランジテイストのサウンドを提示してきた彼ら。今回のニューアルバムは、この2作をミックスさせた雰囲気が感じられる作品となっている。

音楽ナタリーではINKYMAPのソングライターであるKazuma（Vo, G）と、彼の憧れの先輩・SWANKY DANKのKOJI（Vo, B）の対談をセッティング。ライブハウスを愛する2人に現在の音楽シーンへの思いや、「ASTEROID」についてを聞いた。

取材・文 / 石橋果奈　撮影 / tAiki

実は心に熱いものを持ってるINKYMAPが好き

Kazuma（Vo, G / INKYMAP）　KOJIさんとの出会いはShibuya eggmanでライブがあった日で。そのライブには俺らや、KO-TA（G / SWANKY DANK）さんが当時所属していたWONDERSTRUCKが出てたんですね。その打ち上げにKOJIさんが遊びに来てて、俺は超ベロンベロンになりながら「SWANKY DANKの人いるー!!」って思ってました（笑）。

KOJI（Vo, B / SWANKY DANK）　そうだったんだ（笑）。何年前ぐらいだろう……。

Kazuma　確か2014年9月15日ですね。

KOJI　日にち覚えてるんだ（笑）。

Kazuma　ホントに酔っ払ってて、たぶんKOJIさんに10回ぐらい自己紹介しました（笑）。

KOJI　俺もめっちゃ酔ってたと思う。酔っ払うと記憶喪失になっちゃうから、正直そのときのことは詳しく覚えてない（笑）。もともとINKYMAPって名前は知ってたんだけど、ちゃんと話したのは千葉LOOKのときかな？

Kazuma　そうですね。初対バンはSWANKY DANKの「『Magna Carta』Tour」（2015年1月リリースのアルバム「Magna Carta」のリリースツアー）の千葉LOOK公演でした。

KOJI　「ツアーが始まるぞ」っていう初日、一番大切なところに誘わせてもらいました。

──なぜその大事な公演に初対バンのINKYMAPを誘ったんですか？

KOJI　うちのKO-TAがもともとINKYMAPが好きだったんですよ。音源を聴かせてもらって「めちゃくちゃいいじゃん」と思って。

Kazuma　めちゃくちゃうれしいですね。

KOJI　そのツアーの最中……新潟公演のときに、告知後なのに突然あるバンドが出られなくなっちゃって。それでINKYMAPに「お前ら来ちゃえばいいじゃん」って言ったんです。

Kazuma　俺らは「え、いいんですか？ 行きますよ」って即答して（笑）。

KOJI　軽い気持ちで言ったし「まあ、どうせ来ないだろうな」と思いながら会場入りしたらすでに来てて。「そんな根性があるヤツだったんだ」って感動しました。

Kazuma　出たかったですからね。どうなるかもわからずに当日の朝早く起きて、メンバーと会場に向かいました。

KOJI　そうやって突発的に行動するバンドって最近いないから、すげえ印象的でした。コイツら表には出してないけど、実は心にふつふつとしたすげえ熱いものがあるんだろうなって。その熱さは音楽性にも絶対出てくるし、上がっていくバンドはそういうバンドが多いと思うんですよ。「あ、コイツらはしっかり音楽と自分たちの人間性を磨こうとしてるんだな」って感じるから、俺はINKYMAPが好きっすね。

SWANKY DANKは最前線で骨太なギターロックサウンドを鳴らしてる

──Kazumaさんは、いつからSWANKY DANKのことを知ってたんですか？

Kazuma　高校生の頃、地元のHEAVY CLAFTという先輩バンドに教えてもらいました。

KOJI　出身は長野？

Kazuma　そうです。HEAVY CLAFTの影響がでかくて、その人たちの先輩や友達も俺らにとってヒーローだったんです。もちろんSWANKY DANKも昔から知ってたヒーロー的存在で。なので打ち上げで初めて生でKOJIさんを見たときはビビりましたね。「本物だ！」みたいな（笑）。憧れのバンドの人だったし、到底俺らなんか相手にしてもらえないと思ったから挨拶するのも怖くて、酔っ払った勢いで行くしかなかったんです（笑）。

KOJI　あはは（笑）。

──今はSWANKY DANKにどんな印象がありますか。

Kazuma　ヒーローなんだけど、親近感があるバンドという感じですね。今、ライブハウスシーンで骨太なギターロックサウンドを鳴らしてるバンドが少ない印象があって。その中でSWANKY DANKはそういう音楽を最前線でやってるバンドだから、俺らからしたら安心するし……すごく力をもらえると言うか。ストレートに勝負してるところがカッコいいなと思います。

KOJI　うれしいっす。俺も今回、INKYMAPの新作（11月15日発売の2ndフルアルバム「ASTEROID」）を聴いて「いいロックやってんな」って思いました。懐かしい部分も持ちつつ、新しいこともやりつつ、INKYMAPとしての色も出つつ……単純にすごいアルバムだなって。サウンドの細かいところがどうのこうのじゃなくて、俺は曲からそのバンドの精神性を感じたいタイプなんです。INKYMAPは楽曲にもライブにも熱さを感じる。小手先じゃなくてストレートにバチンと思いを叩き付けてると言うか……ライブを観てると、その純粋な部分をボーカリストとして見習わなきゃいけないなって思いますね。

Kazuma　いやいや……KOJIさん、歌が最強すぎるんで。

KOJI　最強すぎる（笑）。

Kazuma　SWANKY DANKの音楽のよさって、何よりも歌が前に出てるところだと思うんです。ライブのやり方にもすごく影響を受けていて、KOJIさんの明るくみんなを巻き込んでいくスタイルに憧れますね。