ナタリー PowerPush - THE イナズマ戦隊
デビュー8年目のイナ戦が放つまっすぐな自信作「未来の地図」
高校のときに丈弥からもらった手紙は言ってることが今と同じ
──学生時代からそういう応援団長的な立場だったんですか?
上中 そうです。団長じゃないけど、体育祭では応援団やっちゃうような。本当のところを言えば、引きこもりの人に出会ったら「がんばれよ」とは言わないですよ。でも僕が投げかけるメッセージはそれしかない。それ以外わからへんねん、ってことなんですよ。だから僕が歌うときはそれが一番嘘がない。イヤやったらごめんな、でもそれしかわからへんねん、っていう。
中田俊哉(B) 僕も応援団だったんですよ。
久保 僕も一応……。
上中 久保さんだけ2年間刑務所にいたんですよ。
久保 いないいない(笑)。僕も高校のときは一応応援団にいました。テニス部にもいましたけど。
上中 僕と俊哉と武郎は高校から一緒。さらに俊哉とは小学校から一緒なんですよ。
中田 こないだ12~3年前に丈弥からもらった手紙が出てきたんですよ。びっくり。高校卒業したときくらいにもらったやつ。言ってることが今と全然変わってない。それにもびっくりして。この頃から同じこと考えてたんや、って思ったら、すごいなぁ、と。
上中 ブレてない。イチローと一緒や。
──よくとってありましたね。ラブレターでもないのに(笑)。
上中 いや、俊哉は本当に僕が好きで、俊哉の夢は将来僕になることなんですよ(笑)。
中田 本当に目指してるとこはありますね。
山田武郎(G) 丈弥がiPhoneにしたらiPhoneにする。
上中 俺もiPhoneにしてええかなぁ? って言いますからね。
──バンド内恋愛は禁止じゃないんですか?
上中 いや、うちは全員、清く正しくホモりあおうと。(一同、喧々諤々)
──なるほど、この1曲目の「未来の地図」はそういう曲なんですね(笑)。
全員 (爆笑)あかんあかん。
「未来の地図」はたった1人の「あなた」に向けて歌った歌
──これはどストレートなラブソングですよね。
上中 そうですね、たった1人のために歌う歌ですよ。
──結婚式の定番ソングになりそうな。
上中 ですね。僕も結婚せなあかんなと思うんですよ(笑)。いや、とある“別れ”があったんですよ。それで「未来の地図」って歌ができたんですよ。そのタイミングで。なんでなんかなぁ。そういうことがあったからたったひとつの愛に気付くのかもしれないですね。今まで忘れてた愛に気付く、みたいな歌を書く人もおるし、あなたを大事にしていこう、みたいな歌を書く奴もおる。うん。だからこれは本当にいろんな人に向けてっていうより、僕がもう、その、あなただけ、という人に贈った歌です。
──この曲をアルバムタイトルにするということは、それだけ大事な曲だと。
上中 ものすごく大事ですね。ターニングポイントになるでしょうね。ここまでガッチリ歌ってかっこいいバラードは前は作れなかったもんね。
久保 最初に聴いたとき「来た!」って感じでしたね。ぞ―っとする感じ。
山田 歌いだしからかっこいい、っていう。ライブでやってた段階からもう手ごたえを感じてたんで。
久保 大事だからアレンジも一生懸命考えちゃうんだけど、最後はもう来るか来ないか。この歌がこの演奏でグッと来るか来ないかっていうところで判断したものだから、きっと伝わるんじゃないかと思います。
上中 本当に、なんかいろんな人のことを考えて作ったメッセージじゃないんですよ。だから自分の中で気持ちええんかなぁ、とも思うし。あまり余計なことは考えんとちゃんとやっていこうぜ、みたいなことを考え出したときにできた曲なんで、余計思い入れはありますね、大事にしたい曲やと思います。
──7枚目のアルバムのこういうタイミングでそんな曲ができたっていうことは、本当にラッキーですね。
上中 本当ですね。常に僕ら崖っぷちなんですけど、でもなんだかんだでやっぱり助けられてるというか、こういうCDを出す機会があるっていうのはいろんな人の助けももちろんありながら、自分らが努力してきたからなのかなとも思いますし、ずっとイナズマ戦隊を続けてきいへんかったらこの「未来の地図」はできへんかったやろうし。31歳までちゃんと生きてきていろんな経験をしてけえへんかったら生まれてきいへんかったもんやったろうなとも思いますんで、いいきっかけになる曲だと思ってます。
THE イナズマ戦隊(ざいなずませんたい)
歌心あふれるメロディと力強いバンドサウンドが魅力の4人組ロックバンド。1997年に札幌で結成され、2002年8月にインディーズからミニアルバム「THE イナズマ戦隊」を発表。2003年2月にシングル「月に吠えろ」でメジャーデビューする。リリースに連動して年間100本を超えるライブツアーを敢行し話題を集める。また福岡の「HIGHER GROUND」などの大型フェスにも出演し、毎回好評を博す。2010年にSony Music Artistsが新たに立ち上げたSMALLER RECORDINGSに移籍し、通算7枚目となるアルバム「未来の地図」をリリース。