南波志帆、いろいろ試す
イヤフォンもいろいろ
──南波さん愛用のイヤフォンは定価で1万円ぐらいのものなので、今日はもっと安いものを試してみましょう。まずは100円のイヤフォンを。
100円のイヤフォンってあるんですか!?
──100円ショップなどでも売られているものですね。
(試聴して)……ごめんなさい、ちょっと残念な感じですね(笑)。遠くで歌ってらっしゃるような。
──じゃあ次は2000円前後のものを。
あ、意外といいですよ。でもいつものと比べるとハイが強くて、ちょっと耳がキンキンするかな……。
──では5000円ほどのイヤフォンに替えてみましょう。
うんうん、音が丸くて、私はこっちのほうが好みですね。ハイもしっかり出てるんだけど刺さってこなくて、低音もしっかり出ていて。めっちゃバランスがいいのがわかります。
──では改めて1万円クラスの愛用イヤフォンを聴いてみましょうか。
はい。……あー、うん。なるほど。このイヤフォン、スタッフさんにいただいたもので値段とか知らなかったんですけど、私、すごくいいイヤフォン使ってたんですね(笑)。
──高いイヤフォンやヘッドフォンでも音が好みじゃない場合もあるし、1000~2000円ぐらいのもので自分の好みにフィットするものが見つかることもあります。いろいろ聴き比べてみると、APPLE純正イヤフォンのEarPodsもクオリティが高くて、EarPodsを愛用しているアーティストもいますね。
なるほどー。ひと口にイヤフォンと言っても、けっこう違いがあることがよくわかりました。
ポタアンで15m先から1m手前のサウンドに
──ポータブルヘッドフォンアンプってわかります?
持ち運べる……ヘッドフォンの……アンプ(笑)。
──そうですね(笑)。簡単に言うと電圧が低いプレーヤーのパワーを増幅させたり、より音楽リスニングに特化したサウンドで出力したりする機材です。10万円以上する機種もありますが、今日用意したのは5000円ぐらいと手頃なものです。じゃあ……100円のイヤフォンでも試してみましょうか。
そんな言うても、ねえ。変わるわけがないやろー。さすがに。
──エセ関西弁の丁寧な前フリありがとうございます(笑)。
……うそー! あれ、本当によくなりました。そんなに変わらない予定のボケだったんですけど(笑)。さっきは15mぐらい先で歌われてる感じだったのが、1mのところまでは来てくれました。ちょっとほかのイヤフォンも試してみます。(2000円台、5000円台のイヤフォンを試して)いや、やっぱり安いもののほうがはっきり差が出ますね。どれも音圧が上がって感じるのと、音の透明度が増しているように感じます。
スピーカーで世界が輝き出す
──次はスピーカーを使ったときの違いを体験していただきましょう。普段パソコンで音楽を聴くときはどうしていますか?
普通にパソコンのスピーカーで聴いてます。
──例えばアンプ内蔵スピーカーは、オーディオメーカーだけでなくPC周辺機器メーカーからもたくさん出ています。数千円のものでもけっこう変わるので、ちょっと試してみましょう。まずは2500円ぐらいのスピーカーを。
えー! 全然違いますね。欲しい!
──では次に、もう1ランク上のものを。オーディオメーカーからも比較的安価なものが出ていて、これは定価1万円ぐらいですけど、家電量販店では5000~6000円で買えます。
おお、すごい。1つひとつの音がしっかり聞こえます。専用のスピーカーを接続しただけで、こんなに世界って輝き出すんだ(笑)。こんなに変わるんですね。これ、スマホでも使えるんですか?
──この機種の場合、一般的なヘッドフォンやイヤフォンと同じ3.5mmのミニジャック接続なのでそのまま使えます。
これ私、たぶん買います(笑)。これを知らなかったのはもったいない。
意外と知らない? リッピング音源のビットレート変更
──あと意外と意識されないことでは、リッピング時に圧縮しすぎないという方法もありますが……CDをリッピングするとき、設定はどうしていますか?
……なんですか?
──例えばiTunesの場合、「環境設定」の「一般」を開くと一番下に「読み込み設定」の項目があります。ここでMP3に圧縮する際のビットレートを変えたり、可逆圧縮のApple Losslessや非圧縮のWAVに変更したり……。
えー! なんですかこの画面! 知らない知らない。なんの疑問もなくデフォルトで読み込んでました。
──試しにビットレートが極端に低い48kbpsのMP3、iTunesでデフォルト状態の160kbpsのMP3、そしてApple Losslessの3パターンで南波さんのアルバム「meets sparkjoy」をリッピングしてみました。順に聴いてみましょう。
自身のアルバム「meets sparkjoy」をビットレートの異なる3種の音源で聴き比べる南波志帆。
はい。(3パターンの音源をビットレートが低いほうから順に聴いて)だんだん音が立体的になっていきますね。知らないって怖いなあ……。
──ただ、解像度が上がるほどデータ容量は大きくなるので、スマホやポータブルプレーヤーに入れられる曲数は当然少なくなります。ハイレゾ音源はCDの非圧縮よりもさらに解像度が高いので、そのぶんデータ容量も大きいです。
ほんの一歩踏み込むだけで、こんなに世界が広がる
──いろいろ試してみましたけど、いかがでしたか?
いろんな情報が入ってきて、ちょっと脳が酸欠状態です(笑)。でも、一度興味を持ったらズブズブにハマりそうですね……。
──上を見ればキリがないですし、オーディオマニアの間では、電圧にまでこだわって一般家庭用とは別の電気を引くための“マイ電柱”を立てたなんていう事例もあります。ただ、そこまで極端に突き詰めなくても、今回試したような安価なものでもけっこう変わるんです。
そうですね。ほんの一歩踏み込むだけで、こんなに世界が広がるんだなあと驚きました。自分の曲を聴いてみてこんなに変わると、やっぱりできるだけいい音で聴いてほしいなあと思いますし、アーティストの皆さんがこだわって作った曲はなるべくいい状態で聴きたいなって。一気に全部変えようと思うとお金もかかっちゃうから難しいけど、ちょっとずつ、自分好みのものを探していきたいです。「今すぐやらなきゃ!」っていう謎の切迫感に襲われてますけど(笑)、私はまず、スピーカーをすぐに買いに行きたいと思います。
南波志帆が試聴したアイテム。
プロフィール
南波志帆(ナンバシホ)
1993年6月14日、福岡県生まれのシンガー。2008年11月、矢野博康(ex. Cymbals)のプロデュースによるミニアルバム「はじめまして、私。」で15歳にしてCDデビューを果たす。2016年にはタワーレコード内に自身のレーベル「sparkjoy records」を立ち上げ、同年4月に通算3枚目のオリジナルフルアルバム「meets sparkjoy」を発表。12月にはレーベル第2弾作品となるミニアルバム「ドラマチック e.p.」の発売を控える。“マジックボイス”と称される透明感のある歌声のみならず、どんな場面にも対応するトークスキルも高く評価され、NHK-FMの帯番組「ミュージックライン」のパーソナリティとしても活躍している。
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2016年12月21日更新