ヘッドフォンやイヤフォンは見た目重視で選ぶと話すテンテンコ。そこで彼女には、V-MODAがファッション性に重点を置いてデザインしたというオンイヤー型ヘッドフォンXSを試してもらうことにした。
試聴に使用したのはテンコの私物であるAPPLE iPhoneのみで、音源は自身の楽曲や、彼女が普段からリスニングで活用しているというSoundCloudの音源。いつもの再生環境のままヘッドフォンのみを替えてみると、どんなリスニング体験ができるのだろう。
取材 / 臼杵成晃 文 / 加藤一陽 撮影 / 佐藤類
V-MODA XS
小さくて、なるべく音がいいもの
──テンコさんは普段どういう再生環境で音楽を聴いているんですか?
移動中にiPhoneで聴くことが多いです。イヤフォンを使うことが多くて、それは300円均一ショップで買ったもの。イチゴ柄のかわいいヤツを使っています。
──見た目重視。
そうですね。普段使いのものは、やっぱり見た目を重視しているところがあって……“赤いかどうか”と。あと、ものすごく変な形をしたヤツを買ったこともあります。
──DJをするときのヘッドフォンは?
一応音を中心に考えてはいますけど、デカすぎたりゴツすぎたりするのはなあ。そういう意味ではやっぱり見た目を大事にしているんでしょうね。あとは低音がちゃんと聞こえるかどうかです。小さくて、なるべく音がいいもの。
テンテンコ
──このXSは小さいですよね。
折り畳めるのもいいですよね。あとケースが付いているのもめっちゃいいです。荷物、どうしても増えてしまうので。
──デザインは女性に向けられたものになっているそうです。
確かにイヤパッドの部分も小さいし、ベルトの部分も一般的なヤツより細いですよね。これだと装着したときに、ゴツく見えないからうれしいですね。この六角形の部分はメカっぽさもありつつ、全体的には柔らかい印象を受けます。カッコよくもかわいくも使えそうなデザインですね!
めっちゃカッコいい音で鳴ってる!
──では、試していただいての感想をお願いいたします。
聴いたのは、Hair StylisticsのSoundCloudにアップされていた音源です。私、普段からSoundCloudで音楽を聴くことが多いんですよ。iPhoneで聴くんですけど、iPhoneって容量的に曲があまり入れられないから。今回聴いてみて、めちゃくちゃカッコいい音で聞けました。「こんなにカッコいい音だったんだ!」って。
──普段使っているものでは、そのカッコよさはわからなかったんですか?
そうですね。いつも使っているものに比べて、XSで聴いたものはすごい低音が跳ねて感じました。あと、遠くで鳴っていてほしい音は遠くで鳴っているし、近くでボンッと鳴る音は近くで聞こえる。目の前でライブを観ているのに近いです。“かわいさ重視”を改めたほうがいいかもしれない(笑)。
──ご自身の「放課後シンパシー」も聴いていたようでしたが。
いやあ、めっちゃいい曲でしたよ!
──“いい音”の前に“いい曲“(笑)。
改めて(笑)。「いい曲だなあ」というのを改めて感じさせてくれたんです。普段聴き逃しているところを気付かせてもらって、「めっちゃカッコいい音で鳴ってる!」って思って。さっきも言ったけど、空間をすごく感じます。遠くで鳴らしている重低音がしっかりと聞こえました。これって私がスタジオで作っているときに表現したかったことだったんですけど、普段の自分のリスニング環境では再現できていなかったんです。なんか、ちゃんといいヤツで聴いてほしいなあと思いました。
──自分の伝えたいことを伝えるためにも。
そうそう。届けるために、今度からはヘッドフォンも指定しなきゃならないのかなあ(笑)。
2系統入力の遊び方
──珍しい機能としては、XSでは2つのソースを入力できるんですけど。
自分の曲とHair StylisticsのSoundCloudの曲を一緒に再生して遊んでみたんですけど、すごい合ってて面白かった(笑)。
2曲同時再生を楽しむテンテンコ。
──ヘッドフォン内で再生されている音は、ただ2曲が同時に鳴っている状態なんですよね?
そうですね。ただ、私が普段使っているイヤフォンってのっぺりした感じになるんです。だからもし2つの音源を同時に再生したものを普段使っているイヤフォンで聴くと、音源同士が潰し合うような感じになると思う。でもこのヘッドフォンは全部の音がしっかり聞こえるので、自分の曲とHair Stylisticsの曲のミックスが音楽的に聞こえたのかもしれません。
──この機能、ほかにどんな遊び方が考えられますか?
iPhoneやiPodで1人だけのためにDJができる(笑)。あとは電話をしながらでも音楽が聴けるかも。
“暴力的な音”が好き
──ヘッドフォンに限らず、テンコさんのサウンドへのこだわりがあれば教えてください。
えっとですね、私、低音がすごい好き……“悪い音”がすごい好きなんです(笑)。“暴力的な音”って言うんですかね。ヘッドフォンにしてもスピーカーにしても、そういうのがちゃんと再現できるものがいいなって思いますね。
──“暴力的な音”が好きになったきっかけは?
自分で作るようになったことですかね。今までそこまで気にしなかったんですけど、自分が曲を作ったりライブをするようになって、「こういう音を出したいな」とかを感じるようになったというか。それでどれだけ“悪い低音”を再現できるかっていう。
テンテンコ
──音作りを始めたのって、BiSの活動が終わってからですよね。
そうですね。だから2、3年ですかね。最初は機材とかも全然持っていなくて、ちょっとずつ集めて。曲を作るようになって、「やっぱり私は低音だなあ」と思うようになっていった。でもベースの音とか、パソコンのスピーカーとかテレビのスピーカーとかだと分からなかったりするんですよね。それがすごくもったいないと思います。
──今日試してみて、このヘッドフォンはいかがでしたか?
すごくライブを観ているような感じになりました。家で1人で踊りたいときとか、ライブに行きたいけど行けないときとか、 これで音楽を聴くと1人の世界に浸れる。つまりライブだったりクラブだったりが家の中に作れます。そういうときにオススメです。あと、普段わからないいろんな音が聞こえますよ。
プロフィール
テンテンコ
1990年8月生まれ、北海道出身。大学卒業後の2013年にBiSに加入し、BiSが解散した2014年にソロアーティストとしての活動をスタートさせた。活動内容はDJ、ファッションデザイン、文章執筆と多岐にわたり、各分野で独特の感性を発揮。2016年にトイズファクトリーとマネジメント契約を交わし、8月に配信シングル「放課後シンパシー」を発表。12月には∈Y∋
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2016年12月21日更新