音楽ナタリー Power Push - 家入レオ
10代の葛藤を超えてたどり着いた“2度目の1stアルバム”
シティボーイは逆にシャレオツ
──「Party Girl」 と「シティボーイなアイツ」は、抜けのいいはっちゃけたポップスで、家入さんの新たなキャラクターを感じさせる曲ですね。
はい。歌っていてすごく楽しいですね。「シティボーイなアイツ」は、私がGalileo Galileiが大好きで、彼らのアルバムをプロデュースしたPop Etcのクリストファー・チュウ氏にアレンジをお願いしました。
──この2曲、例えば“Party Girl”や“シティボーイ”という言葉も含めて、歌詞にある種のオールディーズ感があるというか、今20歳の人が書く歌詞としてはちょっと意外なボキャブラリーの引き出しというか。
あ、でも最近はシティボーイのリバイバルが起こっていて、雑誌の「POPEYE」とかでもシティボーイ特集をやっていたりしますよね。あと、アナログレコードが好きな男子も多いし。なので自分の生活圏内では自然と出てくる言葉なんです。逆にシャレオツというか(笑)。
──そうなんですね。では「さよなら Summer Breeze」の刹那な感じとか「そばにいて、ラジオ」というラジオに対してのシンパシーも同じですか?
そうですね。「さよなら Summer Breeze」は書いたあとにスタッフさんから、「このまま出すの?」って言われたんですけど、今自分が書きたいと思って書いた歌詞だったし。「これは家入さんの体験から?」って聞いてくるライターさんもいるんですけど、大事なのはノンフィクションかどうかよりも、例えフィクションでも私がこういう気持ちになったっていうことが大事なのであって。
──うん。本当にそう思います。
ですよね?「そばにいて、ラジオ」は九州のラジオキャンペーンのタイアップのお話をいただけたので、東京で疲れたときに故郷に帰って「もう一度東京でがんばってみよう」と思えたときのことを書きました。地元の福岡は私がデビューしたときからすごく応援してくれていたし、ラジオは昔から大好きだし、最近は私もアナログレコードをよく聴くんですけど、Carpentersとか、昔のレコードにはラジオDJが収録されていたりするじゃないですか? ラジオが音楽を世界に広めたというストーリーもすごく好きなので。「今の私はそういうことも考える時期にいるんです」という思いが伝わったらうれしいですね。
「we」は私なりの決意の1曲
──「I Wish」と「we」は、優しさの中に力強さと包容力が感じられますね。こうした歌が歌えるのもまた、20歳になったことが大きかった?
そう思います。特に「we」は大事な曲になりましたね。私、1人で作るときはメロディ先行なんですが、これは初めての歌詞先行でした。アルバムの完成間近にスタッフさんから「やっぱり家入のバラードも聴きたい」と言ってもらったので、今回の制作の最後に書いた曲です。10代はいろいろとあったけれど、私も20代に入って、人間としてはまだまだですが、それでもときには人を救える立場に近づいてきたのかもしれないと感じた瞬間があって。そこで私がもし「人は結局ひとりぼっちなんだ」と歌ったら、元も子もないじゃないですか。
──ああ、そうかもしれませんね。
だから、例え本当は大丈夫な状況じゃなくても「大丈夫だよ」と歌い続けるアーティストになりたい。「we」はそんな私なりの宣言です。「もし君が私を嫌ったら、そりゃもちろん傷付くけれど、それでも私は隣にいるし、『大丈夫だよ』って言い続けるし、君が受け取ってくれてもくれなくても、曲というボートを湖に浮かべ続けるよ」という、私なりの決意の1曲なんです。
──わかりました。では、本編ラストを飾る「Every Single Day」について。
「Every Single Day」は、「僕たちの未来」の対になる歌詞をイメージしました。ちょうど「僕たちの未来」のプロモーションとアルバムの制作が重なって、けっこう精神的に追い込まれていた時期があったんですね。そうしたら新しく入ってきたディレクターさんに、「じゃあ『もう曲なんて書きたくない!』っていう気持ちを歌にしてみたら?」と言われて。それがきっかけでふとこの2番のAメロができて。「僕たちの未来」が「みんながいるから私は歌えるんだ」という気持ちを歌った曲であることに対して、「Every Single Day」は「たった1人の人が支えてれくれる力のおかげで、私が家入レオとしてみんなの前に出て歌えるときがあるんだ」という曲ですね。こういう新しい曲の作り方も今後に大きくつながる収穫だと感じています。
──お話を伺ってみて、このアルバムのタイトルが「WE」である理由と、家入さんの並々ならぬ思い入れが伝わってきました。抜けのいいポップな曲も歌えて、肩の力も抜けているんだけど、新たな決意も表明している。そんな家入さんの佇まいの美しさが、このアルバムにはとてもよく表れています。
ありがとうございます。今までも皆さんに届けたくて一生懸命やってきたんですけど、今回は本当に思い入れがハンパじゃないので、なんとしてでも多くの人に届いてほしいと祈っています。
──このアルバムを携えたライブも楽しみです。間違いなくこれまでと違うモードのステージになるでしょうからね。
私も今からすごく楽しみです! ああ、今日はたくさん話せてよかった。なんだかすごくスッキリしたなー。まだまだいっぱい悩むと思うけど、もうここから当分は謳歌しかしませんから!
衣装協力
ジーンズ:RES DENIM / プラント ディストリビューション
バングル:Sunku / Hanx PR
靴:AXEL&ROSE / ABC-MART
その他:スタイリスト私物
- ニューアルバム「WE」2016年7月6日発売 / Victor Entertainment
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3672円 / VIZL-986
- 通常盤 [CD] 3132円 / VICL-64588
CD収録曲
- 僕たちの未来
- Brand New Tomorrow
- 君がくれた夏
- 恍惚
- Party Girl
- I Wish
- we
- Hello To The World
- シティボーイなアイツ
- さよなら Summer Breeze
- そばにいて、ラジオ
- Every Single Day
-Bonus Track-
- オバケのなみだ
初回限定盤DVD収録内容
Live at Zepp DiverCity 2016.2.2 ~two colours~
- サブリナ(Acoustic)
- miss you
- Still
- Lady Mary
- Last Stage
- Silly
- 君がくれた夏
- 希望の地球
- サブリナ
- Hello To The World
Music Video
- 「僕たちの未来」 Music Video -Another version-
- 「Hello To The World」 Music Video -Another version-
ツアー情報
家入レオ 5th LIVE Tour 2016 ~WE|ME~
- 2016年9月17日(土)埼玉県 三郷市文化会館 大ホール
- 2016年9月21日(水)新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
- 2016年9月24日(土)兵庫県 たつの市総合文化会館赤とんぼ文化ホール 大ホール
- 2016年9月25日(日)広島県 JMSアステールプラザ
- 2016年9月30日(金)北海道 幕別町百年記念ホール
- 2016年10月1日(土)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
- 2016年10月8日(土)宮城県 イズミティ21 大ホール
- 2016年10月10日(月・祝)神奈川県 秦野市文化会館 大ホール
- 2016年10月16日(日)千葉県 君津市民文化ホール
- 2016年10月18日(火)長野県 駒ヶ根市文化会館
- 2016年10月22日(土)島根県 出雲市民会館
- 2016年10月29日(土)愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
- 2016年10月30日(日)静岡県 焼津文化会館 大ホール
- 2016年11月3日(木・祝)和歌山県 紀南文化会館
- 2016年11月4日(金)滋賀県 守山市民ホール
- 2016年11月6日(日)大阪府 大阪国際会議場 メインホール
- 2016年11月12日(土)岡山県 倉敷市芸文館
- 2016年11月13日(日)山口県 周南市文化会館
- 2016年11月19日(土)福岡県 福岡サンパレスホテル&ホール
- 2016年12月10日(土)東京都 東京国際フォーラム ホールA
家入レオ(イエイリレオ)
1994年生まれ、福岡県出身の女性シンガーソングライター。幼い頃から音楽に親しみ、13歳のときに自ら音楽塾ヴォイス福岡校の門を叩き、同塾の主宰者である西尾芳彦に師事する。2012年2月にシングル「サブリナ」でメジャーデビューを果たし、同年「第54回 輝く!日本レコード大賞」で最優秀新人賞を受賞する。以降もコンスタントにリリースを重ね、2016年7月に4thアルバム「WE」を発表した。