それぞれが考えるアイドルネッサンス像
男性陣コメント
※特集公開時、頃安祐良監督のコメントに一部記載漏れがあったため追記しました。
サクライケンタ(Maison book girlプロデューサー)
「それでいいの」
僕がアイドルネッサンスさんの解散を知ったのは、とある仕事の帰りのタクシーの中でした。
いつものようになんとなく自宅に帰るタクシーの中でTwitterのタイムラインを見ていると、「アイドルネッサンス解散」の文字。
僕は毎日のまいなちゃんのおやすみ動画を楽しみにしていたり、普段から曲を聴かせていただいたり。本当に普通のファンでした。
ハマったきっかけは「二丁ハロ(現・二丁目の魁カミングアウト)」に僕が提供した楽曲「耳をすませば」を名曲ルネッサンスでカバーしたい、というお話を照井さんからいただき、その後実際に披露しているライブ映像を観て、「なんだこれは!! めちゃくちゃいい!」というところからで。
実際には僕のプロデュースしているMaison book girlのメンバーが大ファンということも一因でもあり、「この日はアイドルネッサンスさんの生誕イベントがあるからどうしてもスケジュール空けて下さい!」と言われスケジュール空けたりして笑。そんなにいいのかー、とかブクガメンバーがかぶっている「ル」のキャップかっこいいなあとか。そんなさまざまな理由で興味を持ち始め、ほかの曲、オリジナル曲もめちゃくちゃ聴き始め、自分もただただファンになっていったのです。
僕が一番好きなアイドルネッサンスさんの曲「前髪」
“決まらない前髪をまた風が乱してゆく”という歌い出し、
“自分になりたいと焦れば焦るほどひとりぼっちが迫って来ていじわるな世界”
というAメロの歌詞にも垣間見える少女性。
そして、シンプルなコード進行に乗った綺麗なメンバーの歌声のセンチメンタルなメロディ。耳に痛くない声を生かしたアレンジ。
さらにそれを「決まらない前髪」と捉えてしまう感性。
僕は単純にファンになっていたのでした。
そんな最中の突然の解散発表。
腐っても同じアイドル業界の1人として、ただただ、なんで? どうして? 新曲まだ聴きたいよ? やめないでよ。という熱い思いから僕は気付いたら(感情的になった余計な)ツイートをしていました。
(140文字ではうまくまとめられませんでした。。。。この場を借りて謝罪させていただきます。その節は申し訳御座いませんでした。。。)
だけど、その中にも、「大切な物は突然なくなる」ことの方が多かったりするところに純粋な少女性を感じてしまったり。
アイドルに限らず、自分の大切な人だったり。「今」を、大切にしてほしいという誰もが見て見ぬ振りをしがちなメッセージをアイドルネッサンスは最後にまた教えてくれた気がします。
“きこえなくなった音。もう会えなくなった子のこと。さみしく思っても 何もあきらめないで”
という言葉を今でも心のどこかで信じています。
最後に、このたびはラストアルバムにしてベストアルバム「アイドルネッサンス」発売本当におめでとうございます!
戻らないこと、風景、温度、体温、空気、「ねぇ、おやすみ」ってまた聴かせてください。
タカハシヒョウリ(オワリカラ)
アイドルネッサンスとは、呪いです。
青春という呪い、音楽という呪い、アイドルという呪い。
誰もが縛られ、無意識に弄んでしまう、そんな呪いに彼女たちは真正面から向き合っていました。
音楽の歴史は、呪縛の歴史です。
音楽の中に時代が、感情が、システムが呪縛されます。
時代の中に、感情の中に、システムの中に、音楽が呪縛されます。
そんな入れ子構造を、僕たちはポップミュージックと呼んでいます。
彼女たちの小さな体を通過した音楽たちは、赤子のようにたおやかでした。
カバーしていただいた自分の曲も、そうでした。
彼女たちは特異な環境の中で(もしかしたら本人たちの知らぬ間に)、呪いを扱う存在になりました。
僕たちが、アイドルネッサンスの中に見た光は何でしょうか。
ルネッサンスという言葉は、「暗黒時代からの再生」を意味します。
呪いの中にありながら、そこから立ち上がってくる輝くものがルネッサンスです。
つまり、アイドルネッサンスとは、祝福でした。
追伸、
浄化されたこれらの音楽が、彼女たちの中に、何の残留物質も残していないと、誰が断言できるでしょうか。
今もって彼女たちは“特別"です。
これからのそれぞれの活動が楽しみです。
ナカG(イラストレーター)
アイドルネッサンスを知ったのはTIF2014からなので結構はじまりから見れたのではと思っています。
始めて見たアイドルネッサンスのライブは輝きが凄くて一瞬で大好きになりました。
彼女たちのひたむきな歌声とパフォーマンスを見ると「僕も仕事がんばろう!」という気持ちにさせてくれるので、締め切りが結構厳しい時にもササっとライブを見に行ってやる気をもらって、帰って仕事の続きをしたりしていました。
そんな私の熱い想いが通じまして、公式にTシャツやバッジなどのグッズも作らせていただきました。
アイドルネッサンスを1番上手く描けるのは俺だ!と思っていたのでもうグッズを作る事が出来ないのは残念でなりません。
解散しても各メンバーのみんながグッズが必要になった時は是非ナカGに声をかけて欲しいなと思っています。
ヒャダイン
僕らすっかり成人しきったオトナが思春期と呼ばれる年代に聴いていた音楽を、今思春期真っ盛りの女の子がリアルタイムに歌ってくれている。アイルネを聴いている時だけ青春のボーナスステージを経験しているような気持ちでした。だけど、僕らのクソみたいな思春期がいつか終わってしまったのと同じくアイルネという思春期も終わってしまうのだな、と結構な絶望です。でも僕らにとって短い活動期間も彼女たちにとってはとても長い期間だったと思います。これからの人生、ぜひみなさん幸せに!
- アイドルネッサンス「アイドルネッサンス」
- 2018年5月4日発売 / T-Palette Records
-
[2CD+Blu-ray]
8640円
TPRC-0206~7 / TPRB-0007
- 収録曲(※カッコ内はオリジナルアーティスト)
- DISC 1
-
- 17才(Base Ball Bear)
- どかーん(真心ブラザーズ)
- 太陽と心臓(東京スカパラダイスオーケストラ)
- 初恋(村下孝蔵)
- YOU(大江千里)
- 恋する感覚(Base Ball Bear -feat. 花澤香菜-)
- Good day Sunshine(SAWA)
- ドカン行進曲(己編)(THEイナズマ戦隊)
- 不景気(ピチカート・ファイヴ)
- エアプレイン(ピチカート・ファイヴ)
- 夏の決心(大江千里)
- Happy Endで始めよう(大滝詠一)
- Dear, Summer Friend(真心ブラザーズ)
- タイム・トラベル(原田真二)
- Lucky(スーパーカー)
- 雪が降る町(ユニコーン)
- ガリレオのショーケース(UNISON SQUARE GARDEN)
- Funny Bunny(the pillows)
- Music Lovers(THE JERRY LEE PHANTOM)
- DISC 2
-
- シルエット(KANA-BOON)
- ベステンダンク(高野寛)
- あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう(岡村靖幸)
- STILL LOVE HER(失われた風景)(TM NETWORK)
- 金曜日のおはよう(HoneyWorks)
- Yeah! Yeah! Yeah!(androp)
- どかーん[2016Ver. ](真心ブラザーズ)
- 君の知らない物語(supercell)
- 夏が来た!(渡辺美里)
- トラベラーズ・ハイ(スキマスイッチ)
- The Cut(Base Ball Bear -feat. RHYMESTER-)
- Raspberry(TRICERATOPS)
- 君の街まで(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
- う、ふ、ふ、ふ、(EPO)
- 6AM(堂島孝平)
- ホーリー&ブライト(ゴダイゴ)
- changes(Base Ball Bear)
- Blu-ray Disc
-
『ヨコハマで感謝するネッサンス!!』ライブ映像(約155分)
- ミラクルをキミとおこしたいんです
- 夏の決心
- Blue Love Letter
- Good day Sunshine
- 6AM
- 太陽と心臓
- 手を打ち鳴らせ!!
- The Cut
- あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう
- 交感ノート
- 若者のすべて
- 5センチメンタル
- 愛はおしゃれじゃない
- 金曜日のおはよう
- トラベラーズ・ハイ
- シルエット
- Funny Bunny
- changes
- 恋する感覚
- Music Lovers
- YOU
- 前髪
- 17才
<アンコール>
- 17才
- ブックレット内コンテンツ(全36P)
-
- 「アイドルネッサンスライナーノーツ」2万字超 文:大坪ケムタ(ライター)
-総勢18名のスタッフ、関係者、アイドルによる証言を元に振り返るアイドルネッサンスの3年8カ月- - 「収録全楽曲解説」1万時超
文:アイドルネッサンス ディレクター 照井紀臣(ソニー・ミュージックアーティスツ)
-アイドルネッサンスディレクターによる、収録されている35曲の解説-
- 「アイドルネッサンスライナーノーツ」2万字超 文:大坪ケムタ(ライター)
- アイドルネッサンス
- ソニー・ミュージックアーティスツ設立40周年を機に立ち上げた初のアイドルプロジェクトとして2014年1月に始動。候補生13名でスタートし、同年5月より宮本茉凜、百岡古宵、石野理子、南端まいな、比嘉奈菜子、新井乃亜、橋本佳奈の7名が正式メンバーとなった。古今の名曲を独自の歌とダンスで表現する“名曲ルネッサンス”をテーマに活動し、同年7月にはBase Ball Bearのカバー「17才」、11月には東京スカパラダイスオーケストラと村下孝蔵のカバー「太陽と心臓 / 初恋」を自主制作シングルとしてリリース。12月よりタワーレコードのアイドル専門レーベルT-Palette Recordsに所属し、2015年3月に初の全国流通盤となるシングル「YOU」を発表した。同年9月に橋本がグループを卒業し6人体制に。2016年3月に1stアルバム「アワー・ソングス」をリリースしたあと、6月には野本ゆめか、原田珠々華の2名が新メンバーとして加わった。2017年8月、小出祐介(Base Ball Bear)が手がけるグループ初のオリジナルソング4曲を収録したミニアルバム「前髪がゆれる」を発表。さらなる飛躍が期待される中、2018年2月に解散した。結成4周年となる5月、過去に発表された全曲の音源と2月のラストライブ映像を収めた最後の作品「アイドルネッサンス」をリリース。
頃安祐良(映画監督)
結果として最後のMVになった「前髪」のMV作成の依頼が来て、アイデアを考えてるときにおそらく無意識に、本当に無意識に脳みそのどこかの細胞の1つくらいで「このMVが最後になるかもしれない」って意識があったのかも。と、今になって感じている。
でもそれは初めてライブを観たときから感じてたことでもあって。
それくらいあの真っ白な衣装で歌い踊る彼女たちの姿は透明で儚い存在だった。
アイドルネッサンスとはなんだったのか?
MV監督としての感覚でまとめるなら、サプライズや、ワンカットアカペラ、フィルムと縦動画のミックス、など、一緒にいろんな映像に挑戦させてくれる存在。
オタクとしての感覚でまとめるなら、白昼夢。
アイドルネッサンスの音楽を聴きながら街を歩いてると、どこかにあの人見知りで緊張した面持ちで笑う彼女たちが立ってるんじゃないかとベタに思ったりしてる。
石野理子がツーショットで写真を撮らせてくれないこと。
南端まいながMV撮影の待ち時間のとき、ほかのメンバーが全員寝てる中で1人、カメラを持って楽しそうにロケ地を探検してる姿。
新井乃亜に「箱推しだから」って伝えても絶対信じてくれなかったこと。
比嘉奈菜子が「YOU」のサプライズ映像を撮ったあとに「本当にありがとうございました」と大泣きしながら伝えてくれたこと。
百岡古宵がラストライブ後の挨拶で「頃安さんが作るMVがすごい好きでした」と、大泣きしながら伝えてくれたこと。
宮本茉凜が「太陽と心臓」のMV撮影のときに緊張から泣いてしまったこと。
原田珠々華が「頃安さんに弟子入りしたい」と冗談で言ってくれたこと。
野本ゆめかの期末テストの英語の点数が低すぎて笑ったこと。
どうでもいいことの方が、覚えてます。なんでだろ。なんかそれくらい自然に近くにいて、近くにいることが当たり前だったんだな。いなくなって初めて気付きました。
今頃どこでどうしてるのかな。目に浮かぶ照れた後ろ姿に会いたいな。