“アイドルネッサンスらしさ”とは
日笠 オフショットの動画とかで、1人が歌い出すと自然とハモり出すみたいなのって、めちゃくちゃアイドルネッサンスだったよね。
一同 ああー!!
日笠 アイドルネッサンスだなー、好きだなーと思って観てましたね。
竹中 ウソみたいだよね。「そんなことある!?」みたいな。そういう少女趣味のおじさんの監督が演出してるんでしょ?って思うよね。
日笠 そうそう。こんなのが無意識的に出る人たちが、こんなに何人も集まることあるんだ?って。
minan 「The Cut」のレコーディング中もあの動画のまんま、誰かが歌い出すとみんな歌うんですよ。私はそれをずっと眺めてました(笑)。
日笠 今あの風景がないのがまだ信じられないもん。今にも「テッテレー」って、ドッキリの看板持って出てきそうで。「ラストワンマンまで信じないぞ」と思ってたけど、終わった今でもまだ全然ダメだね。
竹中 ぜーんぜん。なんにも聴けない。
寺嶋 最後にもらったお手紙(ラストライブでは来場者にメンバー全員の直筆メッセージカードが配布された)を開けると、きちんと向き合わなくちゃいけない気がして。
一同 ああー。
コショージ ワンマンが終わったあとに「前髪」のオフショット動画が出たじゃないですか。5分ぐらいの映像だと思って軽い気持ちで観てみたら、1時間ぐらいあって。気付いたら全部観てました。で、最後に花火がプルンって落ちて「落ちちゃった」「早いね」って言って終わるのが……。
竹中 ……観れてないんです。
日笠 受け入れられてないから最後まで観てないの。
コショージ わー! ごめんなさい!!
竹中 いやいや、大丈夫! むしろ助かる。ワンクッションあったほうが。
コショージ 観ちゃったんですよ。それを観たらちょっといろいろ考えちゃって……翌朝起きたら、なんかわかんないんですけどTwitterで「がんばりこぽん」で検索してましたね。
竹中 意外なオチ!
日笠 そういう楽しいエピソードが付いてないとまだ受け入れられない(笑)。
青春時代を捧げるということ
和田 私は自分がアイドルになる前から、アイドルというものは、なんでもできるはずの青春時代をすべて犠牲にして我々ファンに見せてくれるのが尊いことだなと思っていたんです。石野さんが最後のライブのMCやブログで「これが私たちの青春だったんだなと今では思う」ということをおっしゃっていて、当人たちがそれを自覚して活動していたことが最後にわかって、すごくグッときました……。
竹中 (無言でボックスティッシュを手渡す)
和田 ありがとうございます(笑)。
森 私は“尊い”みたいな感じがわからないんですよね。アイドルネッサンスを見てると、昔の自分たちを見てるみたいで。対バンのときとか、本番直前までひたすら裏でMC確認をしてるんですよ。私たちもそうだったからわかるんですけど、直前までそうしてると、MCに対する不安が本番で顔に出ちゃうんです。元気なんだけど、MCが不安すぎて1曲目から顔が暗いみたいな(笑)。
竹中 やっぱり咲樹ちゃんだけちょっと見方が違うんだよね。
寺嶋 青春時代と言われる17、8歳の頃に私はアイドルをやっていなくて、オタクのために青春を捧げていないから、アイドルネッサンスを尊く感じるんだと思います。
竹中 ……そうか!(森を指して)その違いがあるんだよ。中高生でアイドルをやっていたのはこの中だと咲樹ちゃんだけだもんね。
森 理子ちゃんもああ言ったけど、きっと活動している最中は「青春時代を捧げてる」なんて思ってなかったと思うんですよ。私は学生を12年間やりながらアイドルも同時進行でやってきたんですけど、学校とお仕事を両立していると、どっちも中途半端になっちゃう気がして「どっちも辞めたい!」と思うときが絶対にあって。でも、例えば「放課後遊びに行きたい」とか、そういう欲を捨てて仕事をやってきたことは、結果的にいい思い出になってるし、今思えば青春だったなって。理子ちゃんもきっと、解散すると決まったときに初めて気付いたんじゃないかなと思うんです。それを「青春だった」と彼女たちが思ってくれたことが、私はよかったなと思います。
和田 森さんからその話を聞いて、すごく腑に落ちました。その葛藤すら愛おしい……。
竹中 「魔女の宅急便」だよね。ホントに。私は「魔女の宅急便」はすごいアイドル映画だと思っているんです。魔女のお話なんだけど、あの中で言う“魔法”は、誰もが持っていた自我が芽生える前の全能感に近くて。「やさしさに包まれたなら」(映画「魔女の宅急便」の主題歌に採用された荒井由実の楽曲)の歌詞にもある通り、小さい頃は神様がいて、なんでもできそうな気がして、夢を叶えられる気がしてたんだけど、どこかのタイミングで意識するようになってしまう。当たり前にできていたことができなくなって、できないと意識すればするほど、どんどんできなくなる。ジジ(猫)の声も聞こえなくなって、空も飛べなくなる。葛藤している時間も含めて青春なんだけど、その真っ只中にいる本人にそれはわからなくて。「魔女の宅急便」は魔法が使えなくなる話じゃなくて、違う種類の魔法が使えるようになるってことなんだって。
一同 へえー。
竹中 エンドロールをよく観ると確かに、ジジとはしゃべれなくなったけど、もっとコントロールしてうまく飛べるようになったりしてるんだよね。原作はもっと長い時間が描かれていて、映画では子供から思春期を経て大人になる、その一部分だけが映画では切り取られてるの。その時間って、大人になってみればすごく尊くて大事なものなんだけど、当人からしたらすごく苦しい時間で。キキは魔法が使えなくなったんじゃなくて、別の魔法が使えるようになったんだから……えーと、ルネちゃんも別の魔法が使えるようになればいいなと思ってます(笑)。
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アイドルネッサンスでデトックス
- アイドルネッサンス「アイドルネッサンス」
- 2018年5月4日発売 / T-Palette Records
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[2CD+Blu-ray]
8640円
TPRC-0206~7 / TPRB-0007
- 収録曲(※カッコ内はオリジナルアーティスト)
- DISC 1
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- 17才(Base Ball Bear)
- どかーん(真心ブラザーズ)
- 太陽と心臓(東京スカパラダイスオーケストラ)
- 初恋(村下孝蔵)
- YOU(大江千里)
- 恋する感覚(Base Ball Bear -feat. 花澤香菜-)
- Good day Sunshine(SAWA)
- ドカン行進曲(己編)(THEイナズマ戦隊)
- 不景気(ピチカート・ファイヴ)
- エアプレイン(ピチカート・ファイヴ)
- 夏の決心(大江千里)
- Happy Endで始めよう(大滝詠一)
- Dear, Summer Friend(真心ブラザーズ)
- タイム・トラベル(原田真二)
- Lucky(スーパーカー)
- 雪が降る町(ユニコーン)
- ガリレオのショーケース(UNISON SQUARE GARDEN)
- Funny Bunny(the pillows)
- Music Lovers(THE JERRY LEE PHANTOM)
- DISC 2
-
- シルエット(KANA-BOON)
- ベステンダンク(高野寛)
- あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう(岡村靖幸)
- STILL LOVE HER(失われた風景)(TM NETWORK)
- 金曜日のおはよう(HoneyWorks)
- Yeah! Yeah! Yeah!(androp)
- どかーん[2016Ver. ](真心ブラザーズ)
- 君の知らない物語(supercell)
- 夏が来た!(渡辺美里)
- トラベラーズ・ハイ(スキマスイッチ)
- The Cut(Base Ball Bear -feat. RHYMESTER-)
- Raspberry(TRICERATOPS)
- 君の街まで(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
- う、ふ、ふ、ふ、(EPO)
- 6AM(堂島孝平)
- ホーリー&ブライト(ゴダイゴ)
- changes(Base Ball Bear)
- Blu-ray Disc
-
『ヨコハマで感謝するネッサンス!!』ライブ映像(約155分)
- ミラクルをキミとおこしたいんです
- 夏の決心
- Blue Love Letter
- Good day Sunshine
- 6AM
- 太陽と心臓
- 手を打ち鳴らせ!!
- The Cut
- あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう
- 交感ノート
- 若者のすべて
- 5センチメンタル
- 愛はおしゃれじゃない
- 金曜日のおはよう
- トラベラーズ・ハイ
- シルエット
- Funny Bunny
- changes
- 恋する感覚
- Music Lovers
- YOU
- 前髪
- 17才
<アンコール>
- 17才
- ブックレット内コンテンツ(全36P)
-
- 「アイドルネッサンスライナーノーツ」2万字超 文:大坪ケムタ(ライター)
-総勢18名のスタッフ、関係者、アイドルによる証言を元に振り返るアイドルネッサンスの3年8カ月- - 「収録全楽曲解説」1万時超
文:アイドルネッサンス ディレクター 照井紀臣(ソニー・ミュージックアーティスツ)
-アイドルネッサンスディレクターによる、収録されている35曲の解説-
- 「アイドルネッサンスライナーノーツ」2万字超 文:大坪ケムタ(ライター)
- アイドルネッサンス
- ソニー・ミュージックアーティスツ設立40周年を機に立ち上げた初のアイドルプロジェクトとして2014年1月に始動。候補生13名でスタートし、同年5月より宮本茉凜、百岡古宵、石野理子、南端まいな、比嘉奈菜子、新井乃亜、橋本佳奈の7名が正式メンバーとなった。古今の名曲を独自の歌とダンスで表現する“名曲ルネッサンス”をテーマに活動し、同年7月にはBase Ball Bearのカバー「17才」、11月には東京スカパラダイスオーケストラと村下孝蔵のカバー「太陽と心臓 / 初恋」を自主制作シングルとしてリリース。12月よりタワーレコードのアイドル専門レーベルT-Palette Recordsに所属し、2015年3月に初の全国流通盤となるシングル「YOU」を発表した。同年9月に橋本がグループを卒業し6人体制に。2016年3月に1stアルバム「アワー・ソングス」をリリースしたあと、6月には野本ゆめか、原田珠々華の2名が新メンバーとして加わった。2017年8月、小出祐介(Base Ball Bear)が手がけるグループ初のオリジナルソング4曲を収録したミニアルバム「前髪がゆれる」を発表。さらなる飛躍が期待される中、2018年2月に解散した。結成4周年となる5月、過去に発表された全曲の音源と2月のラストライブ映像を収めた最後の作品「アイドルネッサンス」をリリース。