“名曲ルネッサンス”をテーマに古今の名曲をカバーしてきたアイドルネッサンスが、2月24日に神奈川・Yokohama Bay Hallで行われたワンマンライブ「ヨコハマで感謝するネッサンス!!」をもっておよそ4年に及んだ活動に終止符を打った。
突然の解散発表からわずか1カ月足らずでラストライブの日を迎え、その解散を惜しむ声も数多く上がっていた。音楽ナタリーではアイルネ最後の作品「アイドルネッサンス」の発売にあわせ、彼女たちに強い思い入れを持っていた女性たちに集まってもらい、座談会を実施。振付師の竹中夏海、ライターやモデルなどマルチに活動する日笠麗奈、そして同じアイドルとして活動する寺嶋由芙、lyrical schoolのminan、Maison book girlのコショージメグミと和田輪、アップアップガールズ(仮)の森咲樹に、それぞれの思い入れやアイルネ解散を受けての胸中、好きな楽曲などについてたっぷりと語り合ってもらった。
またページ後半にはアイルネと親交のある頃安祐良(映画監督)、サクライケンタ(Maison book girlプロデューサー)、タカハシヒョウリ(オワリカラ)、ナカG(イラストレーター)、ヒャダインのコメントも掲載。多角的な視点からアイドルネッサンスの実像に迫った。
取材・文・撮影 / 臼杵成晃
それぞれが考えるアイドルネッサンス像
女性陣座談会
日笠麗奈 私はアイドルネッサンスのことを本当に“神の子”みたいな気持ちで見ていたんです。あの子たちは神の子で、ステージは聖域で……と思っていたけど、最後のライブで(石野)理子ちゃんが「私たちの青春はどこなんだろう?と悩むこともあった」と言っていたり、自分たちで解散を決めたと話しているのを聞いたら「本当は普通の女の子なんだな」と感じてしまって(参照:アイドルネッサンス、青春捧げた4年間に感謝を込めて)。神の子だと思って見ていたことすら、彼女たちを苦しめていたんじゃないかなって……あー、泣いちゃう(笑)。
竹中夏海 1人目! 早いよ。すみません、ティッシュいただけますか。箱でください。
日笠 (涙を拭いながら)こんなふうに思いすぎなければもっと長く続けてもらえてたのかなとか、そんな思いも頭をぐるぐるしてしまうんですけど、ひさびさにパフォーマンス動画を観たりすると、やっぱり神々しくて。正直まったく心の整理は付いてないですし……わかんないんですよ。アイドルネッサンスってホントなんだったんだろうって。
寺嶋由芙 「本当にいたのかな?」みたいな気持ちになりますよね。対バンもさせてもらったし、コラボもたくさんしたけれども、本当に尊すぎて「私が絡んでいいのかな……」とずっと思ってました。でも彼女たちはとても無邪気に仲良くしてくれるから、それが本当にありがたかったし、いつか娘が生まれたらぜひアイドルネッサンスに入ってもらいたいって(笑)。
森咲樹 私は逆に、近所の子感ハンパなかったんですよ。
竹中 ああ、アプガとの関係はそうかもね。
森 近所の子供たちが、がむしゃらにライブやってる感じ。私にとっては親近感もあったし、いい意味でよきライバルで、妹みたいな存在ですね。ただ、距離が近いからこそ、アイドルネッサンスの存在が怖かったんです。「いつか追い抜かされるんじゃないか」という怖さが常にありました。最近になってアップアップガールズ(2)とかアップアップガールズ(プロレス)という直接の妹分ができたけど、それまではルネが妹みたいな感じでした。
和田輪 アイドルネッサンスさんはカバー曲を歌う“名曲ルネッサンス”をテーマにしていたのが発明だと思っていて。カバー曲は元ネタがあるからこそパーソナルな部分や個性が引き立てられていて、個人個人のアイドル性が出ていて……好きでした。アイルネさんは楽屋の様子とかを動画で上げてくださってたじゃないですか。それを前々から観ていたので、一緒に対バンやコラボをしても画面越しに観ているような感じで。ずっと好きなアイドルさんとして見ていました。
コショージメグミ わかるわかる。
竹中 同じステージに立つ側なのにね。
コショージ いや、どっちの気持ちも共存しちゃうんですよ。
寺嶋 うんうん。もちろん同じアイドルとして「一緒にがんばっていこうね」という気持ちもあるんですけど、それ以上に「ホントありがとうございます……よきものを見せていただいて」みたいな。
一同 あはははは(笑)。
コショージ 私も映像を観て神聖な子たちだと思っていたけど、コラボさせていただくと本当に親戚の子みたいに話しかけてくれるから、なんかこう……(胸を押さえながら)。
竹中 キュンとね。
コショージ そう、キュンとくるんですよ。でもライブはすごくカッコよくて。私は本当にダンスが苦手なので、アイドルネッサンスの動画を観て何度も練習してました。
竹中 自分たちの曲じゃないのに?
コショージ どこで披露するわけでもなく黙々と(笑)。「17才」を1回覚えて踊ってみたら、自分たちのダンスもうまくできそうな気がして。
minan 私たちはコラボCDも出したし(2017年2月発売のシングル「The Cut」。参照:lyrical schoolとアイドルネッサンス、期間限定コラボでCDリリース)、一時期はレーベルメイトでしたけど、尊いものとして観ている側でした(笑)。アイルネちゃんを観ると、感動して泣くとか悲しくて泣くとかじゃなくて、なぜかわからないけど涙が出るんですよ。
一同 わかるー!!
minan なんで泣いてるのか自分でも全然わかんないんですけど、涙が止まらないんですよ。なんの涙なんだろうと考えると……これはめちゃくちゃ褒めてるんですが、この例えじゃちょっとうまく伝わるかわからないんですけど……私の場合、幼稚園の運動会とか見てると無条件に涙が出てくるんですけど、そんな感じでルネちゃんのライブを観ると自然と涙が出てくるんです。熟練されたようなパフォーマンスと同居する無垢さと言うか。歌もダンスもハイクオリティなのにあどけなさもあって、その両方が同時にあるのがすごいなって。
竹中 打算的じゃないからかもね。あの子たちには「これぐらいやっとけばいいや」がないから。大人になるといろいろな事情を考えて、毎回全力でできるわけじゃないし。
寺嶋 カバー曲とちゃんと向き合って真面目に取り組んでる感じがいいんですよね。がむしゃら感とか一生懸命さとか、そういう泥臭いものとあの清潔感が両立していたのが奇跡だなと。
日笠 私はアイドルネッサンスは高校球児みたいだなと思ってたんですけど、それも同じことですよね。限界を作らない。眩しい、感動、悔しい……いろんな感情の涙が出るよね。
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“アイドルネッサンスらしさ”とは
- アイドルネッサンス「アイドルネッサンス」
- 2018年5月4日発売 / T-Palette Records
-
[2CD+Blu-ray]
8640円
TPRC-0206~7 / TPRB-0007
- 収録曲(※カッコ内はオリジナルアーティスト)
- DISC 1
-
- 17才(Base Ball Bear)
- どかーん(真心ブラザーズ)
- 太陽と心臓(東京スカパラダイスオーケストラ)
- 初恋(村下孝蔵)
- YOU(大江千里)
- 恋する感覚(Base Ball Bear -feat. 花澤香菜-)
- Good day Sunshine(SAWA)
- ドカン行進曲(己編)(THEイナズマ戦隊)
- 不景気(ピチカート・ファイヴ)
- エアプレイン(ピチカート・ファイヴ)
- 夏の決心(大江千里)
- Happy Endで始めよう(大滝詠一)
- Dear, Summer Friend(真心ブラザーズ)
- タイム・トラベル(原田真二)
- Lucky(スーパーカー)
- 雪が降る町(ユニコーン)
- ガリレオのショーケース(UNISON SQUARE GARDEN)
- Funny Bunny(the pillows)
- Music Lovers(THE JERRY LEE PHANTOM)
- DISC 2
-
- シルエット(KANA-BOON)
- ベステンダンク(高野寛)
- あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう(岡村靖幸)
- STILL LOVE HER(失われた風景)(TM NETWORK)
- 金曜日のおはよう(HoneyWorks)
- Yeah! Yeah! Yeah!(androp)
- どかーん[2016Ver. ](真心ブラザーズ)
- 君の知らない物語(supercell)
- 夏が来た!(渡辺美里)
- トラベラーズ・ハイ(スキマスイッチ)
- The Cut(Base Ball Bear -feat. RHYMESTER-)
- Raspberry(TRICERATOPS)
- 君の街まで(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
- う、ふ、ふ、ふ、(EPO)
- 6AM(堂島孝平)
- ホーリー&ブライト(ゴダイゴ)
- changes(Base Ball Bear)
- Blu-ray Disc
-
『ヨコハマで感謝するネッサンス!!』ライブ映像(約155分)
- ミラクルをキミとおこしたいんです
- 夏の決心
- Blue Love Letter
- Good day Sunshine
- 6AM
- 太陽と心臓
- 手を打ち鳴らせ!!
- The Cut
- あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう
- 交感ノート
- 若者のすべて
- 5センチメンタル
- 愛はおしゃれじゃない
- 金曜日のおはよう
- トラベラーズ・ハイ
- シルエット
- Funny Bunny
- changes
- 恋する感覚
- Music Lovers
- YOU
- 前髪
- 17才
<アンコール>
- 17才
- ブックレット内コンテンツ(全36P)
-
- 「アイドルネッサンスライナーノーツ」2万字超 文:大坪ケムタ(ライター)
-総勢18名のスタッフ、関係者、アイドルによる証言を元に振り返るアイドルネッサンスの3年8カ月- - 「収録全楽曲解説」1万時超
文:アイドルネッサンス ディレクター 照井紀臣(ソニー・ミュージックアーティスツ)
-アイドルネッサンスディレクターによる、収録されている35曲の解説-
- 「アイドルネッサンスライナーノーツ」2万字超 文:大坪ケムタ(ライター)
- アイドルネッサンス
- ソニー・ミュージックアーティスツ設立40周年を機に立ち上げた初のアイドルプロジェクトとして2014年1月に始動。候補生13名でスタートし、同年5月より宮本茉凜、百岡古宵、石野理子、南端まいな、比嘉奈菜子、新井乃亜、橋本佳奈の7名が正式メンバーとなった。古今の名曲を独自の歌とダンスで表現する“名曲ルネッサンス”をテーマに活動し、同年7月にはBase Ball Bearのカバー「17才」、11月には東京スカパラダイスオーケストラと村下孝蔵のカバー「太陽と心臓 / 初恋」を自主制作シングルとしてリリース。12月よりタワーレコードのアイドル専門レーベルT-Palette Recordsに所属し、2015年3月に初の全国流通盤となるシングル「YOU」を発表した。同年9月に橋本がグループを卒業し6人体制に。2016年3月に1stアルバム「アワー・ソングス」をリリースしたあと、6月には野本ゆめか、原田珠々華の2名が新メンバーとして加わった。2017年8月、小出祐介(Base Ball Bear)が手がけるグループ初のオリジナルソング4曲を収録したミニアルバム「前髪がゆれる」を発表。さらなる飛躍が期待される中、2018年2月に解散した。結成4周年となる5月、過去に発表された全曲の音源と2月のラストライブ映像を収めた最後の作品「アイドルネッサンス」をリリース。