ソウル、ファンク、ロック、R&B、エレクトロなどを自在に吸収した音楽性、洗練されたファッション性によって、幅広い支持を得ている4ピースバンド・I Don't Like Mondays.。今年に入ってから「Plastic City」「全部アナタのせいなんだ」「Sunflower」の3作のシングルを発表し、さらに8月からは5カ月連続でデジタルシングルをリリースするなど、精力的な活動を継続している。4人に現在のバンドのモード、8月配信の「モンスター」、9月配信の最新曲「MR.CLEVER」の制作などについて聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 須田卓馬
落ち込んでもしょうがないですから
──I Don't Like Mondays.にとって、“週末、気の合う仲間といい時間を過ごす”というのは大切なテーマの1つだと思いますが、世界中から週末のパーティーがなくなった現在、皆さんどんなふうに過ごしてますか?
YU(Vo) まあ、家でチルしてますね(笑)。
KENJI(B) そうだね(笑)。予定してたツアーが延期になったあとは、制作したり、ファンの皆さんとつながれる方法を考えたり。それはそれでいい時間だったのかなと。
YU 新曲もリモートで作ったしね。7月に予定していたアルバムのリリースも延期になったんですけど、その分、楽曲とじっくり向き合えたのもよかったと思います。
KENJI リモートで制作するために、その場で弾いたフレーズを共有できるソフトも買いました。とにかく、今やれることをやろうと。
──落ち込んだりはしなかった?
YU 落ち込んでもしょうがないですから(笑)。もちろん、自分と向き合う時間はありましたけどね。
SHUKI(Dr) 単純に「音楽にできることって、何だろう」みたいなことは考えましたけどね。緊急事態宣言中は、優先順位として娯楽があと回しになることも多かったじゃないですか。ライブができない以上、バンドとしてやれることは曲を届けることしかないし、そこに全部注ぎ込もうと。
KENJI そう、クリエイティブに集中だよね。日々曲を作り続けて、もちろん発信のやり方も考えて。
──CHOJIさんはどうですか?
CHOJI(G) そうですね……。風邪も引いてないのにマスクしてるって、いまだに不思議ですけどね。まずは体調管理をしっかりしないとなって。
YU 間違いないね(笑)。
CHOJI (笑)。僕らは週末のたびにいろんな場所でライブをして、楽しい空間を作ってきたから、それができないっていうのは、とんでもない状況ですよね。メンバーが言った通り、今は音楽を作るとか、やれることをやるしかないので、個人的にはギターの技術を磨いてます。
KENJI YUも楽器やってるよね。
YU 鍵盤を買ったんですよ。前からやりたかったんだけど、なかなか始められなくて。せっかく時間があるんだから、この機会にやってみようと思って、YouTubeでレッスン動画を見ながら練習してます。曲作りはもちろん、ライブでも使えるだろうし、悪いことは何もないですね。観たいドラマや映画もあったし、読みたい本もあったし、めちゃくちゃ忙しかったです(笑)。
──それぞれにトライしたことがあった、と。
KENJI そうですね。スタジオに集まらないとできないこともあるから、難しい部分もありましたけど。
YU ライブをやることでモチベーションをキープしていたところもあったからね。特にI Don't Like Mondays.は一体感を重視しているバンドなので。お披露目の場所がないと、なんのために曲を作ってるのかわからなくなることもあって。
KENJI 一方通行だからね。SNSがあってよかった。
YU ホントだよね。
どう思われてもいいから、これを言いたい
──そして8月から5カ月連続配信がスタートしました。第1弾の「モンスター」はエッジの効いたロックテイストの楽曲ですね。
YU 第1弾は勢いがある曲がいいな、と。この期間に作った曲は、どちらかというと家で1人で聴けるような曲が多かったんですよ。その前にリリースした「Sunflower」も優しい曲だったから、5カ月連続リリースの最初はガラッと変えたくて。
KENJI 制作はいつも通り、4人でアイデアを出し合いながら作りました。最初は80'sっぽさを強くしようと思っていて、シンセベースのフレーズもそこを意識していたんだけど、ギターサウンドが入ってきたときに、「そっちに振ったほうがいいな」と。途中でテイストがガラッと変わったんですよね。ギターを中心にしていた曲も最近やってなかったし。
CHOJI ラフミックスのギターが納得いかなくて、違うギターを持ってきて、差し替えたんです。2本重ねてるんですけど、倍音もいい感じだし、唯一無二のサウンドになったなって。
KENJI いいよね。ゴリッと歪んでるわけではないけど、しっかり張りがあるサウンドで。歌詞の世界観も今までと違うんですよ。
YU うん。さっきも少し話しましたけど、自粛期間中にじっくり考える時間があって。「今までの延長だけではつまらない」という葛藤もあったし、新しいことにトライしたくて。そういう自分の変化を歌詞にも反映したかったんですよね。取りかかる前に「この先、どういうスタンスで書いていくか」とかなり考えたんですが、個人的なテーマとしては、人間らしさや普段は人に言いたくない生々しい部分も歌いたいなと。
──その方向性で書いた最初の歌詞が「モンスター」だった?
YU そうですね。CHOJIのギターを聴いたとき、「この音だったら、生々しい欲望を形にできるな」と思ったので。作詞の方法も変えたんですよ。今まではどういう歌詞にするかをあらかじめメンバーと話し合ってたんだけど、今回はそうじゃなくて、けっこう独断で書いてしまって。みんなで話すと、どうしても表現が丸くなりがちなんです。「モンスター」の歌詞はしっかりカドを残したかったから、いきなり「これで行くから」って歌詞を送って。「え、これでいいの?」ってみんなに言われるのが不安だったんですけど、勇気を振り絞りました(笑)。
KENJI 勇気が必要だったんだ(笑)。
YU 去年までだったら、「この言葉は差し替えただろうな」というフレーズをあえて選んでますからね。冒頭の「この街には『欲望』と言う名の 得体の知れない 魔物が住んでる」もそうだし。今まではサウンドを伝えたいという気持ちが強かったけど、「モンスター」に関しては「どう思われてもいいから、これを言いたい」という感じだったんですよね。
KENJI パンチが効いてますよね。YUから「新しいことをやりたい」という思いが伝わってきたし、自分たちとしても、そのチャレンジを汲み取りたくて。すぐに「やってみたらいいと思う」と言いました。
CHOJI 絵が見えやすい歌詞ですよね。英語じゃなくて日本語なので、聴いてくれる人にも入っていきやすいと思う。
SHUKI YUにも直接言ったんですけど、マイケル・ジャクソンの「Thriller」を日本語で書いたらこうなる、みたいな歌詞だなって(笑)。ずっと日本語だけで書いていたら、こういう歌詞にはならないと思うし、YUならではのバランス感だなと思います。
YU ずっと英語と日本語のバランスを意識しながら書いてたんですけど、「モンスター」を英語で書くと、単に昔の洋楽っぽい曲になる気がして。それは今の自分たちがやるべきクリエイションではないと思ったし、ずっと英語で書いてきたからこそ、自分にしか書けない日本語の歌詞があるんじゃないかなと。今までは、日本語で書くことで意味が入り過ぎて「ウッ」となるのを避けてたんだけど、今回は「もっとウッって言わせてやる」と思って(笑)。
──大きな変化ですね、それは。
YU そうですね。僕らは基本的に4人で意見を出し合いながら作曲していて、メロディ、コード感、サウンドを大事にしてるから、歌詞はそれを引き立てるための言葉選びが軸になってたんです。もちろん今もサウンドありきなんですけど、そのうえで、もっと言葉が刺さる歌詞を書くべきじゃないかと。言葉の価値を全面に押し出したのが、「モンスター」だと思いますね。
次のページ »
一緒にやりたいプロデューサー第1位