I Don't Like Mondays.|3年ぶりアルバムで再出発、果てなき旅路へ

I Don't Like Mondays.が8月21日にエイベックス移籍後初となる約3年ぶりのフルアルバム「FUTURE」をリリースした。

アルバムには配信シングル曲「Do Ya?」「Up to U」「Zero Gravity」、アルバムからの先行配信となった「DIAMOND」に加え、この夏話題の楽曲「LEMONADE」のほか、代表曲「FIRE」「TONIGHT」のセルフカバーなど、全15曲を収録。自分たちが表現したいニュアンスや音の質感をより深く追求した、バンドの充実ぶりがうかがえる1枚となっている。音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを実施。新作「FUTURE」の聴きどころ、再出発を誓う彼らの現在の心境に迫った。

取材・文 / 田山雄士 撮影 / 須田卓馬

軸は一度もブレたことがない

──アルバムのリリースは約3年ぶりで、その間にレコード会社の移籍などもありましたが、この3年間を振り返ってみてどういう期間だったと感じてますか?

KENJI(B)

KENJI(B) やりたい曲をどんどん作っていくということは、ずっと続けていたんです。もちろん、レコード会社が付いていない時期のリリースはメンバー4人で慎重に考えながらやっていたんですけど、ライブは間隔を空けず常にやっていこうと。どんな体制であれ、自分たちのスキルをブラッシュアップしつつ、新しいことに挑戦して、ライブに来てくれるファンのみんなとそれを共有していくスタンスは変わらずにできていたので、今いい流れが生まれてるのは想定外ではなく、僕らのビジョンが1つひとつ結果になってきた感じがしています。インディーズで活動した時期もすごく糧になったし、エイベックスに移籍させていただいて、ここからは植えた種をどうやって花にして咲かせていこうかという心境ですね。

CHOJI(G) ファンの方からは「なんでCDを出さないの?」という声があったりもしましたけど、それでも気持ちを切らさず、しっかり曲を作ってリリースして。去年も配信限定のEP「A GIRL IN THE CITY」を出せて、ツアーで全国を回れたのは大きかったですね。I Don't Like Mondays.がちゃんと動いてるのを自分たち発信でしか伝えられなかったのはけっこう大変でした。でも、その間もライブをやり続けて、セットリストやアレンジを変えたりする中、バンドと曲を成長させていくことはできたんじゃないかなと思ってます。

YU(Vo) やらなきゃいけないことが多くて大変だったものの、楽しく日々を過ごせた気がします。結成以降、やりたいことを実現させていこうという軸は一度もブレたことがないし、環境が変わっても自分たちが今やりたい曲にトライして、理想とするライブを追求していくことは続けていて。その中でCDを作る体制を整えながら、ようやく満を持して移籍させていただいた感じです。作り溜めてた選りすぐりの曲に加えて、今の僕らが形にしたい曲を新たに作って完成したのがアルバム「FUTURE」なんですけど、こうしてこの作品を皆さんに届けられるのが純粋にすごくうれしいですね。チームも団結してて、これからどんどん駆け上がっていきたいなって。

SHUKI(Dr) 立ち止まる時間もあったおかげで、改めて「自分たちってどんな存在なんだろう」とか、このアルバムを出すにあたって「I Don't Like Mondays.はどう見られるのか」とか、そういうことをメンバーとも新しいスタッフともじっくり考えられた部分があって。それはありがたかったですね。結果、「FIRE」「TONIGHT」といった代表曲のセルフカバーをバンドの自己紹介的な要素として含めつつ、ここ数年ライブを重ねてきた経験を元に作れた曲も多いので、今の僕らが色濃く伝わる1枚になったと思います。

YU 僕らのイメージって、パッと見は「踊れてチャラい」みたいなところじゃないですか。もちろん、活動初期はそういうパーティ感を切り取って打ち出していたんですけど、今はありのままになってきたと思います。「Do Ya?」のように「遊びたいぜ!」という気分のときもあれば、「TRY FOR YOU」のように「人生を振り返って、これからどう生きていこう」と考えるときもある。ここに来て、いろいろ成熟してきたんじゃないですかね。

過去のサウンドと今の要素の融合

──エイベックス移籍第1弾作として4月に配信リリースされた「Do Ya?」は最高に突き抜けた仕上がりですね。

CHOJI ありがとうございます。去年の冬に制作したんですけど、「どんな曲を作ろうか?」という話し合いから始まって、90年代のヒップホップをテーマに据えてみようと。

KENJI チームで話し合う中で出てきたのが、その案で。

YU 僕らがまだトライしてないところを探した結果ですね。テーマはわりとすぐ和気あいあいと決まったけど、どうやって音に落とし込むかが大変でした。

SHUKI エイベックスに移籍するとなって「アイドラはどうなるんだろう?」という方がおそらく大勢いる中、めいっぱい遊んで自分たちの色を出しつつ、それだけで終わらない曲にしたくて。

YU(Vo)

YU 「バンドとヒップホップのサウンドがうまく組み合わさった原点ってどこだろう?」みたいな考えから、Run-D.M.C.とAerosmithの「Walk This Way」は頭にあったよね?

KENJI うん。そういう発想を踏まえて90年代のR&B、ヒップホップを聴き込みました。ビヨンセとかも含めて。

SHUKI 音楽も研究したんですけど、90年代ってRun-D.M.C.がアディダスとコラボして、紐なしでスーパースターを履くのが流行ったりとか、ファッションとも密接な関係があったじゃないですか。あとは、エイベックスが踊れる音楽をずっと作ってきた会社なので、僕らの強みであるダンサブルなサウンドやファッション性が生かせると思ったんですよね。ミュージックビデオにしろ、深い意味でやりたいことが盛り込めたのが「Do Ya?」かな。

──The Offspringの「Pretty Fly(For A White Guy)」を彷彿とさせる雰囲気も感じました。

KENJI うわっ、その曲懐かしいー!(笑)

SHUKI そうですね、確かにカウベルの感じがちょっと近いかも。

YU リリックも遊べたと思います。「パーティに行こうよ」みたいな単純な内容だけじゃつまらないので、「Instagram」のようなトレンドのワードをサビで皮肉っぽく入れたり。時代感をリバイバルしてまた新たな時代を作っていくというか、過去のサウンドと今の要素を融合させて次に進んでいく。それがアルバム「FUTURE」のテーマにもなったんですよね。

CHOJI 「Zero Gravity」なら70年代のソウルを意識していたり、いろんな時代をまたいだ曲が次々とできていったので、リバイバル的なテーマにたどり着いた感じですね。順序としては配信済みの選りすぐりの曲があって、その曲たちをつなぎ合わせる曲を新たに書いていきました。