根が明るいんです

──歌詞もメロディもそうですけど、いくらポップでキャッチーなものを目指していても、どこかでネガティブな部分が出てきちゃうものだと思うんですよ。でも皆さんにはそういう面が全然見えないですよね。

悠　いや、根が明るいんですよ（笑）。

謙二　みんなで「ポジティブにいこう」って決めて無理しててもバレちゃいますよね。

悠　僕も昔は、ちょっとくらい影がある男のほうがカッコいいと思ってた時期もあるんですよ。でも、今はそうじゃないんですよね。

秋気　ないね！

悠　「闇を抱えてます」的なバンドもカッコいいと思うし、僕も中二病的なものに憧れてたこともありますけどね（笑）。

秋気　やっぱり割合として、最近は内向的なバンドが多い気もするんですよね。だったら僕らは根が明るいんだから、そのままやろうかと。

謙二　もっとハッピーになろうよ！なんてね。

──キャッチコピーにある「セレブリティロックバンド」と言うのはそういう面を表現してるんですね。

悠　まあそうなんですかね。僕らはこのバンドであまり苦労してないんですよ。全国のライブハウスを回って営業して……みたいなことがなくて、楽しくワイワイやってきただけで。言い方が悪いけど、苦労知らずなんです。

コンセプトがないのがコンセプト

──では今回のメジャー初アルバム、改めて聴いてみてどんな作品になりましたか？

謙二　僕らって基本まじめなんですけど、まじめに作ったら負けだなと思ってるんです。だからとにかく遊んで作りましたね。作曲してるときも、ふざけて誰かの胸ぐらつかんでみたり（笑）。

悠　「ちょっと！ やめて！」みたいな。

──寸劇が始まるんですね。

悠　そうそう。

──取材の前、マネージャーさんから「遊び始めちゃったらすいません」って言われてたんですが、そういうことなんですね。

悠　あーそうですね、気を付けてください（笑）。

謙二　そうやって遊びながら膨らませていって、結果として4人のスタンスが詰め込まれていたらいいなと思っていたし、実際にそうなったと思います。

悠　こういうアルバムにしたいって最初に決めると、僕らはまじめなんでそうなっちゃうんですよ。だからやりたいことを詰め込んで、どうなるか楽しみに作りたい。そのほうが聴いてくれる人たちをいい意味で裏切っていけるのかなって。

謙二　だからまったくコンセプトはないです。

悠　でもそれが逆にコンセプトだよね。

──では皆さんオススメの曲をそれぞれ教えてください。

兆志　僕は「BANG!!」かなぁ。あえてゲインを絞って、一発で録ったんですよ。

秋気　イントロは？

兆志　あっ……言ったほうがいいかな？

悠　レコーディングのとき、「これ取材で言おう」って言ってたじゃん。

兆志　そうですね、あの……イントロで間違えてるんですよ（笑）。

──そうなんですか（笑）。

兆志　よく聴くとわかるんですけど、うまいこといかなくてコケッて。でも満場一致でこれを使おうと。

悠　やり直したいってずっと言ってたよね。

兆志　でも勢いがよかったし、逆にこのくらいルーズなほうが、Eaglesのジョー・ウォルシュっぽいかなってことで採用になりました。

謙二　僕は「Don't Stop Your Music」ですね。この曲はバンドっぽくしたくないと思ってて、僕はルートだけをずっと弾こうと思ってたんですよ。でも河野さんに「もっと動いてみれば？」って言われて、どうせなら、躍動感のあるベースでどこまで攻められるかという挑戦をした曲ですね。

悠　僕は「Perfect Night」。ノリもいいしキャッチーだから普段はバンドになじみがない人にも聴いてもらえるし、でもシンプルなぶんすごくこだわってて、バンドサウンドが好きな人にも楽しんでもらえると思うんです。ぜひいいスピーカーやヘッドホンで聴いてほしいけど、パソコンの小さいスピーカーでも楽しめるんじゃないかなって。

秋気　ドラムで言うと「Golden Life」ですね。僕は高校卒業してから4年半くらいBlue Man Groupのドラムをやっていたんですけど、普通はスネア、ハット、バスドラがセットなのに、あそこではほとんどタムしか使わなくて本当に原始的でプリミティブなんです。太鼓としての原点のようなものを学べて、それがドラマーとしてすごくいい勉強になったんです。

──Blue Man Groupのドラムってバンドの音とはまったく違うものですし、相当難しいですよね。

秋気　最初はなかなかできなかったですよ。少ない音でシンプルだけど、しっかりノレるわけじゃないですか。そこで学んだことを生かせたのが、「Golden Life」かなと思うんです。

媚を売るつもりもないし、ずっと尖っていたい

──バンドの目標や今後のビジョンは何かありますか？

秋気　海外でも活躍したいですね。もっと世界で知られている日本人が増えるべきだと思うんですよ。

謙二　日本でももちろん活躍したいけどね。だからビルボードもオリコンも狙いたいです。

悠　欲張りだからね、うちら。お茶の間的なバンドになれたらうれしいけど、媚を売るつもりもないし、ずっととがっていたいし。

──でもそのお茶の間的など真ん中を狙うのって、難しいこともたくさんありますよね。

悠　でしょうね、でもそれが一番長く続けられると思うんですよ。僕らはよく「おじいちゃんになってもバンドをやっていよう」って言ってて、そのためには真ん中をいくべきなのかなって。自分たちの世界観は守るべきだけど、そこだけで閉鎖的にやっていても満足できないだろうし。だから「Play」は誰が何千回聴いても飽きないアルバムが作りたくて、実際作れたとも思うから……ジャ、Just play!

秋気　ちょっと恥ずかしがったね（笑）。

謙二　最後にカッコつけちゃったわー。