ideal peco白星あいり インタビュー|生誕ライブで「チャンテ4」合唱!ライオンズ愛が止まらないアイドル

9月4日に開催された7人組アイドルグループideal pecoのメンバー・白星あいりの生誕ライブの動画が、X(Twitter)上で大きな話題になったのをご存知だろうか。

ideal pecoは「All For ideal ~すべては理想のために~」というコンセプトを掲げて2023年9月にデビューした王道アイドル。このグループのピンク担当の白星は愛嬌がにじみでるキュートなルックスが特徴だが、そのビジュアルとはギャップのある趣味と特技を持つ。先日の生誕ライブでバズった動画は、かわいらしいアイドルソングをパフォーマンスする動画ではなく、埼玉西武ライオンズの応援歌「チャンステーマ4」でメンバーや観客と盛り上がる様子を収めたもの。彼女は1軍のみならず2軍選手の試合までスコアブックをつけながら現地観戦するほどの筋金入りのライオンズファンなのだ(参照:筋金入りのライオンズファン!ideal peco白星あいり、生誕ライブで「チャンステーマ4」の大合唱)。

生誕ライブの動画が大きく注目されたことを受け、音楽ナタリーでは白星の単独インタビューを企画。なぜ生誕ライブのセットリストに「チャンテ4」を選んだのか、そもそもなぜ野球好きになったのか、ライオンズファンのアイドルとして今後の野望はあるのか。ideal pecoでのアイドル活動の話はさておき、野球やライオンズに関する話を根掘り葉掘り聞いた。

取材・文 / ナカニシキュウ撮影 / 近藤隼人

動画がバズってひたすら大パニック

──埼玉西武ライオンズの応援歌「チャンステーマ4」をパフォーマンスした白星さんの生誕ライブの動画が、SNSで大きな反響を呼んでいますね。

正直、こんなに伸びるとは思わなかったです……!

──そもそもなんで「チャンステーマ4」を生誕ライブで披露することになったんですか?

「なんであんなことに」って感じですよね(笑)。アイドル人生初の生誕ライブということで、私にしかできない内容にしたいなと思ったんです。もともとライオンズが大好きなので「ライオンズに関連する形で何かやれないかな」と考えたときに、「チャンテ4」を披露できたら楽しいんじゃないかなって。

──その発想がまず素晴らしいんですけど、よくその企画が通りましたよね。

いやホントに! 無理だと思ったんですよ。アイペコ(ideal peco)のプロデューサーの石橋哲也さんも熱狂的なライオンズファンなんですけど、最初は内輪で「なんかチャンテとかやりたくなーい?」って冗談半分に話してただけだったんです。ただ、その後X(旧Twitter)で「生誕でチャンテ4やりたいなー」ってつぶやいたらファンの方も「いいじゃん!」と言ってくれたりして反応がよくて、もうこれはやるしかない!と。でも、あいりのファンの方全員がライオンズファンなわけではないので(笑)、事前に「男声パートと女声パートとあるから、覚えてきてね!」と伝えて。そしたらみんなちゃんと覚えてきてくれて、ああいう結果になりました。

白星あいり

──プロ野球の応援パフォーマンスはアイドル現場のコールやMIXに通ずるものがあると思うので、アイドルファン的にはお手のものなんでしょうね。

確かに。みんなすごく声が出てたし、ジャンプもしてくれてすごかったです。

──「チャンテ4」の魅力はどういうところだと感じていますか?

球場で聴くと迫力が本当にすごくて、パレードを観ているような気分になれるんですよ。男女パートに分かれてハモリがあったりもするので、それがきれいに重なると「わあー!」って思います。その光景をずっと見ていられる。あの感動は「チャンテ4」でしか味わえないです。

──通常の応援歌やチャンステーマにはない魅力があると。

ありますね! 試合の中でも特に「ここぞ!」というチャンスのシーンで発動するので、特別感があります。

──そんな「チャンテ4」を発動させた生誕ライブの動画がバズったときは、どんな心境でしたか?

もう、ひたすら大パニックでした。「なんで? どうしよう!」って(笑)。

──うれしさよりも困惑が先に来る感じだったんですね。

はい(笑)。でも改めて「チャンテ4」の威力を感じることができて、それがすごくうれしかったです!

「チャンテ4の方ですよね?」

──聞くところによると、白星さんがアイペコに加入する際の決め手が「野球に理解のある職場だから」だったそうですね。なかなかアイドル界隈では聞いたことのない志望動機ですけど。

そうなんです(笑)。さっきも言ったように石橋プロデューサーがライオンズファンなんですけど、それだけじゃなくて、もう1人のプロデューサーである高森ありささんは過去にプロ野球の球団公式チアをやっていた方なんですよ。2人いるプロデューサーの両方が野球好きという。

──女性スタッフが野球に詳しいケースはけっこう珍しいかもしれないですね。

ユニフォームのかわいい着こなしとかに関してアイデアやアドバイスをもらえたりもするので、本当にありがたい環境だなって。このグループじゃなかったら、「チャンテ4」なんて絶対にライブでやらせてもらえないですよ(笑)。

金子侑司選手のユニフォームを掲げる白星あいり。

金子侑司選手のユニフォームを掲げる白星あいり。

──グループ結成からの約1年間で、野球に興味のなかったメンバーへの“布教”も順調だとか。

先日、「メンバーを球場へ連れていく」という任務を成し遂げました! ただ、それは試合じゃなくて「ライオンズ夏祭り」というイベントだったんです。球場グルメの魅力などは伝えられたので第一関門はクリアしたと思ってるんですけど、野球観戦の魅力をまだ伝えられていないので、次はそこですね。こないだの生誕祭で「チャンテ4」を一緒に歌ったので、みんな立派に外野席で観戦できますから。

──応援団は外野スタンドに陣取りますし、熱心に応援したいファンは外野席で観戦することが多いですよね。

みんなも「次は試合を観たい」と言ってくれているので、7人そろって団体シートとかで観たいです。

──その一角、中継カメラにめちゃめちゃ抜かれそうです。

あははは!

──夏祭りなどのイベントで球場へ行くのも楽しいですけど、やはり実際に試合を観る体験とは全然違いますよね。

違いますねー! 私たちアイドルのライブも同じだと思うんですけど、生でしか伝わらない楽しさって絶対にありますから。

──だからこそ今回の動画でアイペコを知った人は、ぜひライブにも来てもらいたいですね。

ホントに来てほしい! あの動画をXに載せた数日後の対バンライブで、ほかのグループさんのファンの方から「チャンテ4の方ですよね?」って声をかけていただいたんですよ(笑)。ちゃんと広まってるんだって実感できてすごくうれしかったです。

──アイペコのファンからはどんな反応が届いていますか?

「あの生誕ライブ以来、チャンテ4が頭から離れないんだけど」っていう声をめちゃめちゃ聞きます(笑)。やっぱり、それくらい頭に残るんですよ。せっかく歌えるようになったんだから、そこで終わらせずにちゃんと球場で実践してもらえたらうれしいなと思ってます。女の子のファンたちは女声パートのハモリまでマスターしてるはずなんで!

白星あいり

「野球なんて何が面白いの?」と思ってた

──そもそも、白星さんがライオンズファンになったきっかけは?

まずパパが大のライオンズファンなので、幼少期からよく観戦に連れていってもらってて。住まいは東京なんですけど、距離的に東京ドームや神宮球場よりも所沢のほうが近いということもあって、白星家は先祖代々ライオンズファンなんです。

──先祖代々(笑)。

パパのパパもそうなんで、たぶんずっとなんですよね。だから家にはすっごい昔のユニフォームやグッズがあったりとか……弟が野球をやっているのもその流れなんで、もう遺伝です。ただ、私が本格的にハマったのは中学生からで、それまでは「えー、野球なんて何が面白いの?」と思ってました(笑)。だいたいテレビでナイターが始まる時間にパパが帰ってきて、「私はバラエティとか歌番組が観たいのに!」ってなるじゃないですか。

白星あいり

──そんな“昭和の家庭あるある”みたいなことが最近でもあるんですね。

でも中学2年生のあるとき、弟とその友達を球場へ連れていく機会があったんですよ。その日はパパが仕事で行けなくて、ママが「私1人じゃ面倒見きれない!」って言うんで私が一緒に行くことになって。その時点での私は本当に無知で、ファウルボールとホームランの違いもわかってないレベルだったんですけど(笑)、なんか球場の一体感がものすごくて……それこそチャンテや応援歌をスタンドのお客さんみんなが歌っている光景に圧倒されて、「野球観戦ってこんなに楽しいんだ!」と衝撃を受けたんです。もうその次の日から「学校帰りには西武ドームへ行く」みたいな生活が始まって、今に至ります。

──完全にその日を境に人生が変わったんですね。

私は飽き性なので、それまで何か1つにハマるってことが本当になかったんです。だから最初は自分でも「どうせすぐこの熱も冷めちゃうんだろうな」と思ってんたんですけど、ライオンズ熱だけは一向に冷める気配がなくて。

──それはなぜだと思いますか?

えー、なんでだろう? ……なんかもう、依存みたいな感じ(笑)。ライオンズが勝ったらもちろんうれしいし、負けても「くそー! 明日こそは!」って思うから、飽きる隙がないのかもしれないです。抜け出せない沼というのはこういうことを言うんだろうなって。

──最初は球場の一体感を楽しむところから始まって、その後は野球そのものの面白さにも目覚めていったわけですね。

そうですね。ルールを覚えることでどんどん楽しくなっていきました。わからないところをパパに聞いたり、弟も野球をやっているので教えてもらいながら少しずつ覚えていった感じです。その流れでスコアも書けるようになったし。

──スコアブックを手に観戦するのがお好きだという情報は聞いています。だいぶマニアックな見方というか(笑)。

なんか書けたら楽しそうって思っちゃって(笑)。

自身が書いたスコアブックを広げる白星あいり。

自身が書いたスコアブックを広げる白星あいり。

──スコアの書き方はどうやって覚えたんですか? 野球部のマネージャーを経験したり?

いえ、もちろん高校生のときは野球部のマネージャーに憧れはあったんですけど、入ってはなかったんですよ。スコアの書き方は独学で覚えました。スコアブックというものになんとなく憧れを持っていた中、「もっと野球を深く楽しむために、何かないかな?」と考えたときに「スコアをつけられたら楽しいんじゃないか」と思い当たったのがきっかけですね。

──どうやって書き方を学んだんですか?

スコアの書き方って人それぞれで違うんですけど、最初は弟のチームで使われているやり方を見せてもらうところから入りました。そこに記載されていないものについてはGoogleさんで調べたりとか、とにかく回数をこなして書きながら覚えていった感じです。それがもう、本当に楽しくて!

──どういうところが特に楽しいんでしょうか?

例えば負けてる試合だと、三者凡退ばかりだったりして圧倒的に書くことが少ないんですよ。それが、勝ち試合で点数がいっぱい入るような展開だと記載することが多くなるので、紙の上がめっちゃ盛り上がるんです(笑)。だからこそ、より応援にも熱が入るというか。

──なるほど。

あと、スコアって1球ごとの結果を「ボール」「ファウル」「空振り」と記録していくものなので、1球たりとも見逃せないんですよ。以前まではなんとなく「あ、打ったー!」くらいの感じで、そんなに1球1球を事細かに観ることってなかったんですけど、スコアをつけるようになってからは1球ごとの攻防をしっかり追いながら観るようになりました。より深く野球を楽しめるようになるので、オススメです!

白星あいりが記入したスコアブック。

白星あいりが記入したスコアブック。

──ということは、内野席でじっくり観戦することが多い?

いえ、基本はやっぱり外野席で声を出して盛り上がる応援スタイルが好きです。でも内野席で黙々とスコアをつけながら観るのも楽しいから、いろんな楽しさを味わえるのがプロ野球の魅力なのかなって思ってます。球場グルメとビールが目当てでも楽しいですし(笑)。