音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」に登場する中王区“言の葉党”による初のCD「Verbal Justice」が4月12日にリリースされる。
言の葉党は
音楽ナタリーではたかはし、小林、山本にインタビューし、中王区への思い入れや「Verbal Justice」のレコーディングエピソードを語ってもらった。また特集の後半にはAwichのコメントを掲載している。
取材・文 / 高木“JET”晋一郎撮影 / 梁瀬玉実
探り探りの状態のときから関われていてうれしい
──中王区が「ヒプノシスマイク」のライブに初登場したのは、2018年8月に行われた「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 2nd LIVE@シナガワ《韻踏闘技大會》」で、たかはしさんの演じる勘解由小路無花果がステージに立ちました。あのタイミングでは、まだ「ヒプマイ」自体のストーリーラインがそこまで進行しておらず、中王区も実像がそこまで明らかではなかったですね。だから、その中でたかはしさんの登場は衝撃的でした。
たかはし智秋 「女性が支配する世界の中で、男性キャラがメインになって物語が進んでいく」という構造は理解していました。一方で、たくさんの男性キャラが登場する作品に、あとから女性が登場するのは、難しいことだと思っていて。でも、(自分の服装を示しながら)私はずっとセクシーキャラで、いろんなものを出しながらステージにも立っているので(笑)。
──今も非常に目のやり場に困っております(笑)。
たかはし 私自身がそういうあけすけなキャラクターだからか、ありがたいことに女性からも男性からも、あまり敵対視はされていないというのも大きかったと思います。ただ、あのときはまだ衣装が決まっていなくて、キャラクターデザインを参考に私が選んだ私服だったんですよ(笑)。だから、こんなに大きなプロジェクトになる前の、探り探りの状態のときから関われているのはうれしいですね。ただ、中王区は「ヒプマイ」のメインキャラクターではないし、敵側が活躍することはないだろうなとその当時は思っていました。「いつかはラップしてもらうので」とは言われていたけど、まあないだろうなと。でも、ストーリーが進んで、中王区に(小林)ゆうちゃんが東方天乙統女として参加してコンテンツがまた新しい展開になるのだと、楽しみになりましたね。
役と真逆の小林ゆう
──小林さんは2019年9月の「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 4th LIVE@オオサカ《Welcome to our Hood》」からライブに参加されました。
小林ゆう あのときはサプライズ登場させていただきました。
たかはし 中王区の登場はいつもサプライズなんで(笑)。
小林 「ヒプマイ」の男性陣の皆様がラップをされているお姿を映像で初めて拝見したとき、新しい時代と新しい世界の扉が「ようこそ!」とおっしゃってくださっていると感動したことを覚えています。ラップの魅力を皆様が華麗に爆発させていて最高に素敵でした。そうやって各ディビジョンの皆様がファンの皆様と一緒に大切に1つひとつ積み上げてきた「ヒプノシスマイク」という世界に、私も東方天乙統女役として参加させていただけることになりまして、感謝するとともにその重みを感じ、身を引き締めて一生懸命がんばらなきゃいけないっていうことは、自分に言い聞かせていました。
たかはし 大阪に行く新幹線で一緒になったんですけど、めちゃくちゃ緊張してて。もう15、16年の付き合いですが、あんなに緊張してるゆうちゃんは初めて見ましたね。会った瞬間に「智秋さん! もうどうしましょう!」って手を握ってこねくり回されて(笑)。
小林 そんな感じになってました!?(笑)
山本希望 役と真逆ですね(笑)。
たかはし もともと丁寧な言葉使いの人なんですけど、「ちゃんとできますでしょうか」「女性の皆さんに受け入れていただけるでしょうか」って本当に不安そうな顔をしてて(笑)。
小林 決してほかの方がミスをしていいという意味ではないのですが、中王区は失敗が許されないと思いまして……。
たかはし そう! 私たちは重大なお知らせをする立場だから、絶対にセリフを噛めないんですよ。
山本 それが怖いんです。私は1回噛んでしまったんですけど、すぐに「失礼しました」と冷静に訂正しないといけないし、キャラクター的に笑いに変えることもできないのでいつもプレッシャーを感じています。
たかはし 特に私たちのお知らせは、その後の「ヒプマイ」の展開に関わることが多いし、それでオーディエンスの皆さんを「えー!?」とワクワクさせる役割なので、失敗は許されないんですよ。
山本 4thライブはオオサカ(オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”)とナゴヤ(ナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”)の新ディビジョンが発表されるタイミングでしたよね。
たかはし そうそう。だから絶対に噛めない。
小林 “どついたれ本舗”さんのお名前も大切に言わせていただきました。
たかはし 大真面目に、しかもすごい剣幕でちょっと怒りながら“どついたれ本舗”と言い放つそのギャップにちょっと笑いが起きるっていうね(笑)。でも、4thライブで乙統女様と一緒に登場することで、無花果のナンバー2という役割が明確になったと思うし、より中王区が立体的になったように感じました。
小林 会場の皆さまの熱気も本当にすごかったですし、「ヒプマイ」さんというプロジェクトに携わらせていただけて本当にありがたいなと、改めて感謝しております。
山本希望が「ヒプマイ」の楽曲を聴いて驚いたこととは
──碧棺合歓を演じている山本さんは「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 5th LIVE@AbemaTV《SIX SHOTS UNTIL THE DOME》」で初登場されました。
山本 5thライブと6thライブは無観客配信ライブだったので、お客さんの反応を直接受け取ることはできなかったんですけど、緊張はめちゃくちゃしました。有観客になった7thライブもそうですし、毎回緊張しますね。
たかはし しかも、のじょ(山本)の演じる合歓ちゃんは、難しいことを話す担当なんですよね。
山本 そうなんです。私はこのコンテンツで難しいことを言う担当になってしまいました。
たかはし みんな大変なんですよ。無花果の肩書は「内閣総理大臣補佐官 / 警視庁警視総監 / 行政監察局局長」と、もうお経みたいに長いうえに、名前まで難しいので(笑)。
山本 ラップをするとは聞いてたけど、こんなに難しいことを説明する役になるとは思わなかったです。
──ハハハ。山本さんはラップ好きとしても知られていますが、「ヒプマイ」の印象は?
山本 最初にDivision All Starsが歌う「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」のミュージックビデオが公開されたときに、「男性声優コンテンツで、ラップが表現の中心になるプロジェクトが始まるんだ」ということと同時に、それがマイクリレーだったことに驚いたんですよね。マイクリレーもののラップが好きだったので、「ヒプマイ」がそういう文化を取り入れていることに、ラップに対しての真剣さや着眼点の鋭さを感じたし、「これ絶対面白いやつ!」と確信して(笑)。
──そうだったんですね。
山本 それからリリースされた曲や展開も含めて、「男性声優が単にラップをする」には留まらない内容に感動したし、いちラップ好きとしてうれしかったのと同時に、「女性声優もラップできたらいいな」とうらやましく感じていました。しかも私が「ヒプマイ」へ参加することが決まる前に、別の現場で浅沼晋太郎さんとご一緒していて(山本演じる碧棺合歓と浅沼演じるヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”の碧棺左馬刻は兄妹)。浅沼さんに「今ラップのコンテンツやってるんだ。ラップ好きでしょ?」と言われて、「ヨコハマ(ヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”)はサイプレス上野さんから曲を提供されてますよね! めっちゃうらやましいです!」みたいな話をしてたんですよね。
──そこでサ上の名前が出るところに山本さんらしさを感じます(笑)。
山本 アハハ。そのあとに参加することになって、最初は合歓って周りに助けてもらうようなキャラクターかと思ってたけど、ストーリーが進む中で「合歓ちゃん、実はラップがうまかったの!?」とか「そんな背景があったんだ!」と、想像していたよりもグイグイ物語を動かすキャラクターだとわかって。だから話が進むたびに驚いたし、当初の印象とは違う、強い女性だったのがすごく興味深くて。その流れもあって、「これはいよいよラップする日が近付いてきたぞ!」と、ワクワクしていました。
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