「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 2nd D.R.B Bad Ass Temple VS 麻天狼」特集 葉山翔太×速水奨×KEN THE 390|それぞれが抱える闇を乗り越えて目指す、光差す場所

MOROHAのアフロがヴィジュアル系の歌声を披露

──3月10日にリリースされるナゴヤとシンジュクのバトルCDには、それぞれのディビジョン曲も収録されます。ナゴヤの「開眼」には、MOROHAのアフロさんが初参加していてビックリしました。アフロさんっぽさを随所に感じさせつつ、各キャラクターの色がしっかり出た仕上がりになっていて、とても面白かったです。

葉山 アフロさんの特徴的な節回しや、言葉をギュッと濃縮する感じを取り入れつつ、どうやって空却というキャラクターを表現できるか悩みながらレコーディングしましたね。

──ナゴヤにはファンキーなイメージがあったので、シリアスな曲調にも意外性がありました。

葉山 十四の独白から始まってシリアスですよね。物語の展開に合わせている部分があって、今回のドラマトラックでは十四が過去に受けたイジメの話や、獄のお兄さんの話が出てきて、急にナゴヤに陰りが出てくるんですよ。

──なるほど。硬派で熱いイメージのアフロさんが、ヴィジュアル系のナルシストキャラで十四のヴァースを書いている部分も面白いなと思いました。

葉山 デモ音源ではその部分もアフロさんが歌ってくださっていて。普段のアフロさんからは想像できないヴィジュアル系みたいな歌声で、聴いていたら十四の姿が浮かんできました(笑)。レコーディングで空却のヴァースについては、「雨に打たれた捨て犬に傘を差してあげるような、そんな優しさを出してほしい」ってディレクションをしていただいたんです。あと僕はけっこうリズムが前のめりになっちゃうところもあるんですけど、そういう部分もアドバイスをもらいました。アフロさんのディレクションを踏まえて、静かに燃える青い炎みたいな感じでラップしたつもりです。この曲を歌うと喉が枯れちゃうんですよね。

速水 よし、ライブでも枯らしてくれよ。

葉山 ハハハ(笑)。枯れても勝ちに行くので。

GADOROの言葉を受け取って、
もっとチャレンジしていいと思えた

──シンジュクのディビジョン曲「TOMOSHIBI」はGADOROさんが作詞を担当し、「ヒプマイ」初参加のDJ KRUSH さんが作曲編曲を手がけています。

速水 シンジュクには歴史があって、「Shinjuku Style~笑わすな~」(2018年7月発売のCD「Fling Posse VS 麻天狼」収録曲)や「パピヨン」(2019年4月発売の1stフルアルバム「Enter the Hypnosis Microphone」収録曲)があってのこの曲なんですよね。そういう3人の成長を感じられる曲になっていると思いますし、GADOROさんの歌詞は今の世界を取り巻く状況ともリンクしていて。聴いてくださる方も心が救われる部分があるんじゃないかと思います。

葉山 つらいけどガムシャラに生きようという姿勢が伝わってきますよね。心に染みる言葉たちだなと思いました。

速水 人っていろんなことを諦めながら生きていくじゃないですか。でも、この曲を聴くと、チャレンジしていいんだって気持ちになるんですよ。冒険とまではいかなくても、ちょっとだけ上のことを目指していけばいいんじゃないかって。そもそも僕が「ヒプマイ」と出会ったのは、なかなかの大人になってからだったんですけど、この曲をいただいて、もっとチャレンジしていこうという気持ちが芽生えましたね。

速水奨

──特に好きなラインはありますか?

速水 一二三の「今はまだ貸せない いずれこのスーツそっと君にかけたい」ってフレーズが印象に残っていますね。すべてを捧げることはできないんだけど、それでも人に手を差し伸べるというのがリアルだなと思いました。あと独歩の「電車乗り会社に『今行くとこ』満員で揺れる毎日は『LIVEのよう』」とか共感性の高い言葉がちりばめられている部分もいいし。最後の「この3人で勝利を掴むから この先もひたすらに歌うただ / 1人でもかけちゃ開かぬ扉どきなそう今動き出す時だ / 胡坐をかく暇もないから ただ月光に手を伸ばす絶えまなく / この道しるべは終わらないと」の4行もすごく好きです。

葉山 僕は寂雷先生の「皆を助ける届け日本中に 2度と破れない金魚すくい」が大好きです。

速水 でも「2度と破れない金魚すくい」ってズルくない?

葉山 何匹でも取れちゃいますね(笑)。

見たことないものを見せ続けてほしい

──無観客配信ライブも含む今後のバトルに向けた意気込みを聞かせてください。

速水 とにかく体調管理をがんばります。飲みすぎないようにして……。

葉山 大切ですね(笑)。

速水 とりあえずライブまでは飲まない。ケンザさんはお酒飲みますか?

KEN THE 390 いや、僕はそんな飲まないですね。

速水 じゃあずっと素面でリリックを考えてらっしゃるんですね。

KEN THE 390 そうですね(笑)。酔ってると逆に難しくて、酔ってるときに書き貯めたメモを見て、「なんでこれいいと思ったんだろう……」みたいなこともよくあります。

KEN THE 390

──KEN THE 390さんが今後の「ヒプマイ」に期待することはありますか?

KEN THE 390 すでにそうなってると思うんですけど、見たことがないようなものを見せてほしいです。最初に「ヒプマイ」の説明を聞いたとき、意味がわからなかったんですよ(笑)。でもそれが今、違和感なく楽しめているのはすごいことだと思うし。「ヒプマイ」って日本ならではのコンテンツだという感じもするんですよね。日本のヒップホップも歴史を重ねて、いろんな世代の人がしっかりしたラップをできるようになって、それがアニメの文化や声優のコンテンツと混ざり合うことで生まれた。ほかの国の人から見たら「なんだこれは!」って感じだと思うんですよね。このまま進化していってほしいです。


2021年3月24日更新