HYDEがソロ活動を本格再始動し、12年半ぶりのシングル「WHO'S GONNA SAVE US」を6月27日にリリースする。
昨年12月にVAMPSが“オーバーヒート”のため活動休止したあと(参照:VAMPSが活動休止へ「オーバーヒートが生じ冷却期間が必要」)、ソロ名義でアコースティックライブ「HYDE Christmas Concert 2017 -黑ミサ TOKYO-」を行い、さらに春にはアジアを回るツアーを開催したHYDE。「黑ミサ」では静謐な雰囲気をたたえた歌声を披露していたが、今回のシングルでは一転してVAMPS同様に激しく、エネルギッシュな一面をあらわにしている。
L'Arc-en-Cielのボーカリストとしてデビューして24年。休むことなく第一線で歌い続けるHYDEに、ソロ再始動の背景と今のモードを聞いた。
取材・文 / 中野明子 撮影 / 緒車寿一
「黑ミサ」を経て迷うことなく次へ
──ソロ名義では12年半ぶりのシングルとなりますね。
自分としては「もうそんな経ったか」って感じですかね。特にソロとか意識せずに活動してるつもりなので、言われてみれば「ああ、『SEASON'S CALL』から12年半ね」って感じ。VAMPSのライブでソロの曲も歌ってるし、あんまりひさびさという感じではないんです。
──そうでしたか。5月に開催されたソロ名義でのアジアツアー「黑ミサ」はいかがでしたか? ソロでアジアツアーを開催されるのは初めてだったそうですね。
15年くらい前にソロデビューしてキャンペーンで行ったときに、2曲歌ったくらいだから、パフォーマンスをするのも初めてに近かったね。僕のヒストリー的なセットリストだから鉄板だし、ツアーの反応はよかったです。内容自体は年末に日本でやったものとあまり変えてないんですけど、アジアのお客さんのほうが熱狂的と言うか感情表現が上手で。“ミサ”と言うより、ロックコンサートっぽくなっちゃった。あとMCを英語と現地の言葉をミックスしてやったから、どうしてもかわいく聞こえちゃうんだろうね(笑)。そこでも僕が本来やろうとしているドSの「黑ミサ」の形からは崩れちゃった。そういう意味では、アジアのツアーはちょっとかわいらしい、緊張感の薄い「黑ミサ」でした。
──(笑)。
だから逆にリラックスできましたね。実際にやってみて、「黑ミサ」のようなライブコンテンツを今後もアジアに持っていくのはありだなって思った。ただ、もともと次のプロジェクトが始まるまでにやっておこうというライブだったので、ツアーを終えて今は迷うことなく新しい展開ができている感じです。
VAMPSのスタンスを崩すつもりはなかった
──いつ頃からソロ名義でのプロジェクトが始動したんでしょうか?
VAMPSが活動休止してから。11月のライブ(参照:「少々ぶっ壊れても大丈夫」VAMPS、暴れまくりのツアー千秋楽)終えたあとに、「1人でやるかー」ってスタートした感じです。
──アメリカで制作されたという新曲「WHO'S GONNA SAVE US」はVAMPSのモードをアップデートするような曲ですね。
VAMPSでやっていたことが僕にとっては最先端だったんで、ソロになったときにそのスタンスを崩して別のことをやるつもりはなかったんです。せっかく自分が積み上げてきたものなのに、なんでわざわざほかのことをやらなあかん?って感じ。
──そうでしたか。
一方で自分1人でやることで、幅が広がった気もしてます。前はもっとロックにこだわってたかもしれないけど、今はなんでもありかなって思うし。例えば、ライブでL'Arc-en-Cielのカバーするのもアリだし。VAMPSだとラルクの曲はやりにくいけど、ソロならやってもいいと思える。僕のさじ加減で全部決まるから、そういう意味で自由かもしれない。今作ってる曲の中には「WHO'S GONNA SAVE US」以上にヘビーなのもあるし、軽い曲もあるし。
──「WHO'S GONNA SAVE US」は、けっこうヘビー寄りの曲なのかなと感じたんですが。
これは……普通ですね!
──“普通”ですか(笑)。制作のうえで意識したことはありますか?
今までの僕にはない音楽性を出したいなと。これまで僕は、世の中の新しい音楽っていうのにあまり興味がなくって。1980年代で完結してるって言うか。自分が聴いてきた音楽の焼き回しだけでも、僕は十分だと思ってたんです。でも、最近いろんな音楽を聴くようになって、皆さん新しい音楽を作ろうとしてることが音から伝わってきた。それで、僕もミュージシャンとしてそうあるべきなんじゃないかなと思ったんです。だから今回はHYDEとして新しい音楽を作るつもりで制作に取りかかりました。
──新しい音楽を作ろうと意識しだしたのはいつ頃だったんですか?
ここ最近のことだけど、厳密には今年入ってからですね。例えばVAMPSの「UNDERWORLD」はすごくいいアルバムだと思って作ってはいたんだけど、あれが新しい音楽かって言うと「うーん……」ってところはあったのね。それを打破したかった。
──プロデューサーのニコラス・ファーロンさんによって、新しいサウンドを表現できた部分はありますか? ニコラスさんは、MIYAVIさんやONE OK ROCKのプロデュースも手がけられている方ですね。
この曲に関しては僕の色が強いかな。トータルでの影響は残ってますけど、曲調とか構成は僕の作ったもののままです。ただ彼が入ることで、音がシンプルになりましたね。僕のデモバージョンはもっとEDM寄りで、音がビキビキしてたから。
──この曲をシングルとして出すことにした理由は?
作った曲の中でもキャッチーですごくポイントが高い感じがしたのと、歌い方だったり、サビの展開だったり、全体的にバランスがいい曲なのでソロ再始動の一発目に合うかなって。
──かなり起伏のある、ドラマチックな曲ですよね。歌詞には、今のHYDEさんの決意表明のようなものを感じました。
タイトルの「WHO'S GONNA SAVE US」の通り「自分たちを誰が救ってくれるんだろう?」って歌ってる歌詞なんですけど、なんかバットマンみたいな感じ。法律じゃ人は守れないから、自分たちでやるしかないという。自分たちで生きていかなきゃいけないし、時代を作っていくしかない。
──最初は自分を奮い立たせる曲のようなイメージだったんですけど、読み解いていくと現代の世相みたいなものも背景にあるのかな……と。
まあ、「誰も救ってくれないのなら、自分たちで自分たちを守るしかない」ってことを、最初のミーティングでニック(ニコラス)と話していて。あとは、基本的に英語で聴いて気持ちいいサウンドにするのを目的に歌詞を書きましたね。ニックが歌詞を構成していって、最終的に今のような形になりました。
次のページ »
いかにいい声で、いい発音で歌えるか
- HYDE「WHO'S GONNA SAVE US」
- 2018年6月27日発売 / Virgin Music
-
初回限定盤
[CD+ブックレット]
3024円 / UICV-9286 -
通常盤 [CD]
1296円 / UICV-5073
- 収録曲
-
- WHO'S GONNA SAVE US
- MIDNIGHT CELEBRATION II
- HYDE LIVE 2018
-
- 2018年6月29日(金)東京都 Zepp Tokyo
- 2018年6月30日(土)東京都 Zepp Tokyo
- 2018年7月2日(月)東京都 Zepp Tokyo
- 2018年7月3日(火)東京都 Zepp Tokyo
- 2018年7月7日(土)北海道 Zepp Sapporo
- 2018年7月8日(日)北海道 Zepp Sapporo
- 2018年7月11日(水)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年7月12日(木)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年7月14日(土)愛知県 Zepp Nagoya ※BEAUTY & THE BEAST
- 2018年7月15日(日)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年7月19日(木)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
- 2018年7月20日(金)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
- 2018年7月25日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2018年7月26日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2018年7月28日(土)大阪府 Zepp Osaka Bayside ※BEAUTY & THE BEAST
- 2018年7月29日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2018年7月31日(火)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- 2018年8月1日(水)大阪府 Zepp Osaka Bayside
- HYDE(ハイド)
- 1994年7月にL'Arc-en-Cielのメンバーとしてメジャーデビューを果たし、数々のヒット曲を生み出す。2001年に初のソロ活動をスタート。L'Arc-en-Cielとは異なる静謐で独特の世界観を提示した。2008年には、K.A.Z(G)とのロックユニットVAMPSを始動。日本のみならず、ワールドワイドにライブ活動を展開している。2017年12月にVAMPSの活動休止を発表。2018年6月にソロとしては12半ぶりのシングル「WHO'S GONNA SAVE US」をリリースし、同月よりライブツアーを行う。