HYベストアルバム「LOVE STORY」発売記念|ターニングポイントはいつだった?4人で振り返る四半世紀 (2/2)

「366日」デュエット「こんなにすごい人たちが?」

──そして6月12日に結成25周年を記念したベストアルバム「LOVE STORY ~HY BEST~」がリリースされました。

名嘉 今回のベストアルバムは2枚組になっていて、DISC 1(「LOVE STORY盤」)はラブソングを中心に、DISC 2(「ANOTHER STORY盤」)は三線を使った楽曲を収録しています。

名嘉俊(Dr)

名嘉俊(Dr)

──DISC 1「LOVE STORY盤」には「366日」の“Official Duet ver.”も収録されています。「366日」に着想を得た月9ドラマ「366日」が放送されるなど、この曲は再び大きく注目を浴びています。リリースから16年経ち、いまやJ-POPのスタンダードとなっていますね。

仲宗根 「まさかここまで聴いてもらえるとは」という感じですね。HYとしてもこの曲にずっと救われていて。以前は「『366日』を超える曲を書かないと」というプレッシャーを感じていた時期もあったんですけど、今は「ありがとう」という気持ちしかないです。たくさんの人がカラオケなどで歌ってくれて、若い人たちも知っててくれて。清水翔太くんや川崎鷹也くんがカバーしてくれたから、「もしかしたらHYの曲だと知らない若い子もいるかも」と思ってけど、「SKY Fes」でお客さんに聞いてみたら、みんなHYの曲だと知っててくれました(笑)。

名嘉 ドラマ(「366日」)のエンディングではイズ(仲宗根)が男性ボーカリストとデュエットしたバージョンが流れてて。最初にコラボ参加者の候補のリストを見せてもらったときは「こんなにすごい人たちがやってくれるんですか?」ってびっくりしましたけど、みんなOKだったんですよ。

仲宗根 すごくうれしいです。楽曲のキーは変えてなくて、「ハモるなりユニゾンするなり、自由にどうぞ」という感じでお任せしているんですけど、皆さん素晴らしい歌声なんですよ。

──「366日(Official Duet ver.)」の新里さんのボーカルもすごくいいですよね。

新里 ありがとうございます!

仲宗根 ヒデが歌ってくれたことで、「366日」にかなり深みが出たと思います。聴いてくれた方々からも「いいね」という感想をたくさんもらっているんですよ。

名嘉 このキーで歌えるんだ?って思いました(笑)。

仲宗根 かなり高いよね。このキーでカラオケで歌うのは難しいかも。

新里 そうかも(笑)。

──三線を使った楽曲を収めたDISC 2「ANOTHERR STORY盤」もHYらしさがたっぷり込められていますね。

名嘉 三線はアルバム「Street Story」から使い始めたんですよ。この楽器を意識したのは、海外公演をするようになってから。三線の音色は唯一無二だし、タイアップなどで「沖縄らしさを出してほしいです」と言われたときも「やっぱり三線だよね」という話をしてました。子供の頃におじいから「三線は上等だよ。音を聴けば沖縄の楽器だってわかるでしょう?」と言われていて、その意味がやっとわかりました。

新里 三線はHYにとってもすごく大きな存在ですね。故郷に対する感謝の思いを込められるし、音色から沖縄の風を感じるというか。

新里英之(Vo, G)

新里英之(Vo, G)

──メンバーの三線の腕も、今ではかなり上達したのでは?

新里 どうなんでしょう?(笑) 自分たちの曲のフレーズはかなり練習しましたけど、古典までにはまだ至っていないので。ただ小さい頃から耳にしていたし、入りやすかった気はしますね。

20歳の自分と40歳の自分がコラボしてるよう

──ベストアルバムには「HeyBo」「I JUST DO IT FOR YOU」「告白」「風」「カチャーシーエヴリデイ」の再レコーディングバージョンも収録されています。既存の曲の再録はどうでした?

許田 レコーディング当時のクセというか、「こんなことやってたんだな」と思い出しましたね。今は弾かないようなフレーズがあったり、まずは自分の演奏をコピーするところから始めて(笑)。最近ライブでやってない曲もあるし、いろんな発見がありました。今もレコーディングのたびに苦労しますけど、新しいクセもどんどん出てきて。それも成長なのかなと思ってます。

許田信介(B)

許田信介(B)

新里 「この曲を録ったときはこんな感じだったな」と振り返ることもありましたね。「HeyBo」はアルバム「TRUNK」の収録曲ですけど、あのときと今では歌い回しもちょっと違っていて。20年前に録った音源を流しながら一緒に歌っていたら、20歳の自分と40歳の自分がコラボしてるような気持ちになったんですよ。「HeyBo」は“ヘボ(下手)”という意味なんですけど、「いろいろがんばって、今にたどり着いて音楽を続けているんだな」と思ったし、40歳の今の自分のヘボさを出そうと(笑)。そういう経験ができたこともうれしかったです。

名嘉 再レコーディングするにあたって、なるべく原曲に忠実にやろうという話をしたんですよ。もともとの音源を聴くと「この時期はフレーズの引き出しがこれくらいしかなかったんだな」と思うし、今はいろんな技を入れることもできるけど、あえてそれをやらずに叩きました。プロデューサーさん(松岡モトキ)もいろいろな刺激を与えてくれました。「まだまだうまくなるからね」と言ってくれたのもすごくうれしかったですね。

仲宗根 確かに原曲を聴くと「今だったらもっと手数を増やすな」と思っちゃうんですよね。今はどうしても弾きすぎるというか、原曲くらいの演奏のレベルで止めるやり方がわからない(笑)。音で埋めないようにするのが逆に難しかったですね。歌のことで言うと「この曲を書いたときは、こんなことを考えてたな」「あの人と付き合ってた頃だな」みたいなことを思い出して。そのときの生活や自分の心理状況がよみがえってくるんですけど、今の自分のほうが絶対にいいから、そこは自信を持って歌おうと思いました。

ツアーは健康第一で、感謝と愛を込めながら

──9月には全国ツアー「HY 25th Anniversary BEST!! Kary TOUR 2024-2025」がスタートします。30周年、35周年に向けて、この先のビジョンをどう描いていますか?

仲宗根 35周年って、10年後ですね(笑)。

仲宗根泉(Key, Vo)

仲宗根泉(Key, Vo)

名嘉 まずは健康ですね! HEESEY(THE YELLOW MONKEYのベーシスト廣瀬洋一)さんのインスタをフォローしてるんですけど、HEESEYさんは毎日しっかりトレーニングしてるんですよ。ANNIE(THE YELLOW MONKEYのドラマー菊地英二)さんもヨガをやってたり、ちゃんと鍛えてるから東京ドーム公演もやれるんだなって。なので体のことが一番かなと。

仲宗根 本当にそう。子供の頃、親に「お金があっても健康は買えない」と言われてもよくわからなかったけど、「こういうことか」と。価値観って人それぞれじゃないですか。家族といるときが幸せという人もいるし、とにかく好きなことをやってるときが一番の人もいて。私たちも40代になって、健康じゃないと何もできないなと実感するようになったし、体のことはすごく意識するようになりましたね。

名嘉 「HY、体のことばかり考えてます」みたいな見出しになりそう(笑)。信介もムキムキだしね。

許田 いやいや(笑)。

名嘉 9月からのツアーも体に気をつけて、めっちゃ楽しみたいですね。その土地によってノリも空気も、ごはんも違いますから(笑)。「LOVE STORY」というベストアルバムを引っ提げているので、感謝と愛を込めながらツアーを回りたいと思っています。

新里 今も昔もステージの楽しさはまったく変わらないんですよ。自分たちを一番表現できる場所だなと思ってます。

名嘉 そういえば、うちのおかんが「ヒデ、健康的になったね」って言ってたよ。

仲宗根 前はちょっとやせすぎだったからね。

新里 そうかも。昔のほうがジャンプ力はあったんだけどね(笑)。

HY

HY

公演情報

HY 25th Anniversary BEST!! Kary TOUR 2024-2025

  • 2024年9月22日(日・祝)沖縄県 那覇文化芸術劇場なはーと 大劇場
  • 2024年9月28日(土)東京都 ひの煉瓦ホール(日野市民会館)
  • 2024年9月29日(日)東京都 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
  • 2024年10月12日(土)愛知県 名古屋市公会堂 大ホール
  • 2024年10月13日(日)静岡県 焼津市大井川文化会館ミュージコ
  • 2024年10月26日(土)千葉県 印西市文化ホール
  • 2024年10月27日(日)埼玉県 狭山市市民会館
  • 2024年11月9日(土)兵庫県 神戸文化ホール 大ホール
  • 2024年11月10日(日)奈良県 なら100年会館 大ホール
  • 2024年11月23日(土)新潟県 上越文化会館 大ホール
  • 2024年11月24日(日)福井県 敦賀市民文化センター 大ホール
  • 2024年12月7日(土)宮城県 電力ホール
  • 2024年12月8日(日)岩手県 花巻市文化会館 大ホール
  • 2024年12月14日(土)熊本県 熊本城ホール メインホール
  • 2024年12月15日(日)福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール
  • 2025年1月18日(土)香川県 サンポートホール高松 大ホール
  • 2025年1月19日(日)高知県 高知市文化プラザかるぽーと 大ホール
  • 2025年1月25日(土)山口県 宇部市渡辺翁記念会館
  • 2025年1月26日(日)島根県 島根県芸術文化センター グラントワ

and more

プロフィール

HY(エイチワイ)

2000年に沖縄で結成されたミクスチャーロックバンド。2003年にリリースしたアルバム「Street Story」がインディーズながら100万枚以上の大ヒットを記録。2010年と2012年には「NHK紅白歌合戦」に出場した。2013年には沖縄で自主レーベル・ASSE!! Recordsを設立し、本格的に地元に拠点を移す。2019年9月にギタリスト宮里悠平が脱退し4人体制に。コロナ禍の2020年に全5回の配信ライブ「HY HOME LIVE」を実施し、2021年に地元である沖縄県うるま市の観光大使に就任した。結成25周年イヤーに突入した2024年、ヒット曲「366日」が月9ドラマ化。同曲の新バージョン「366日(Official Duet ver.)」が2月29日に配信リリースされた。6月12日にはベストアルバム「LOVE STORY ~HY BEST~」を発表。9月から年をまたぐ全国ツアーを行う。