HYの夏アルバム

──今回のアルバムは夏のイメージを前面に打ち出したものになっていますね。

名嘉俊（Dr）　沖縄って、やっぱり1年で一番盛り上がるのが夏なんですよね。でも、考えてみたらHYで夏にアルバム出したことがあんまりなくて。今年は結成15周年だし、ひさしぶりに元気なアルバムを夏に出したいというところから制作が始まりました。

仲宗根泉（Key, Vo）　コンセプトが「夏」となった時点で、楽曲も明るいものになっていったんです。前作の「LOVER」が恋をテーマにした1枚でしっとりとしたバラードが多かったから、そこから一転して弾けるような曲を書いてみようというのもあって。アルバムを作る前からファンの人にも「次はハッピーな曲を持ってきます」ということを話してたし、自然な流れでしたね。

──去年から「GLOCAL」「LOVER」、そしてこの「LIFE」と、1年半で3枚のアルバムをリリースしていることになりますね。その間にツアーもしっかり行っているし。

仲宗根　すごいね。がんばった（笑）。

名嘉　アルバムを出せるというのはすごくうれしいことですね。最初は「1年半で3枚も出すなんて大丈夫？」って不安だったんですけど、みんなで協力していけてるし。

新里英之（Vo, G）　自分たちはアルバムしかリリースしないというポリシーを持っているんです。なぜアルバムだけなのかというと、5人のメンバーみんなが曲も詞も作れるから。みんなが持ち寄ってきた曲が1つのアルバムになる、それがHYのスタイルなんです。シングルを何枚か出していくというのが普通のやり方かもしれないけど、僕たちはそういう形は取らないので。

動いていないと置いていかれてしまう

──ここまで活動が活発になっているのはなぜでしょう？

名嘉　それはもう、時代の流れもありますね。流れが早いし、僕たちも常に動いていないと置いていかれてしまうようで。自分たちもペースアップしていきたいなと思ったんです。あと、ツアーをしたいという思いがまずあるんですよね。何のテーマもなくツアーを回るよりも、だったらアルバムを作ろう、と。

──皆さんはどんなふうに今の時代の変化を捉えているんでしょう？

名嘉　すごいですよね、最近のスピードは。全部ネットで完結してしまうし。

仲宗根　音楽を制作する側として焦りもあったりします。だから、いろんなアプローチをしてますよ。今度はこれ、次はこれとやって「こうじゃないんだ、じゃあみんなはどれを求めてるんだろう？」とか、「あ、これはちょっと手応えあったな、じゃあ今はこういう感じなのかな？」とか、そういうふうに5人で考えて制作に入ってるんです。仲間内で作ってると「どれもいい曲だね」「どれも選べないね」ってなってくるけど、そうやって「いいね、いいね」って言ってても、世に出したときにはどういう反応があるかわからないし。常にお客さんがどういうものを求めてるのかは探っていますね。でもその一方で、自分たちの……HYの音楽は根本にしっかりとあったりもする。ペースは速いと思うんですけど、意外と楽しみながらやってる感じです。

新里　バンドを始めて15年になりますけど、今、音楽をやっていてすごく楽しいんですよ。もっともっと自分たちの個性を突き詰めたいし、「HYってこういうのもやるんだ」っていう意外性の部分にもどんどん踏み出していきたい。最近は、いろんな新しいバンドも出てきてるし、アイドルも人気がありますよね。でも、自分たちはそれに負けず、僕らにしかできない温かさや、ソングライターとしての僕たちにしか作れないものを出していきたい。どんどんチャレンジして、新しいものを生み出していきたいという思いは強いですね。