HUSKING BEE×MOROHA|生きているからこそ、つながれる

「欠けボタンの浜」はどうかなって言ったら、UKくんが……

──タイミングとおっしゃいますけど、ハスキンとしてはかなり短いスパンでのリリースですよね。

工藤 そうっすね。会社が出せと言うんで(笑)。「いいですよ」と言ったらリリース日がどんどん前倒しになるという怪現象が起きて(笑)。

──スケジュールに追われて曲作りに入ったのが本当のところ?

工藤哲也(HUSKING BEE / B)

工藤 そうですね。「Suolo」(2016年12月リリース)を出して、越谷でMOROHAと一緒にやらせてもらったときに、実は打ち上げで「なんか一緒にやりたいね」って話をしてて。僕の頭の中では、MOROHAの曲にハスキンの2人のボーカルが入るパターン、一緒に作るパターン、ハスキンの曲にMOROHAが入るパターンと、5曲入りのスプリットで出すイメージがあったんです。絶対面白いだろうなあと思って。それでHUSKING BEEのアイテムを出しましょうかってなったときに、「こういうアイデアがあるんですけどね」みたいな感じで話して。だけど、いかんせん時間がなかったので、今回は1曲でっていう話でMOROHAに振ってみたんです。

──最初に話を持ちかけられたときは、どう思いましたか?

アフロ ライブのときに「お互いの演奏が素晴らしかったから一緒に曲を作りたいな」と思うことはわりと自然で、コラボを口約束することってけっこうたくさんあることなんですけど、それが実現することはレアなケースで。でも、TEKKINさんから「本当に作ろうよ」って連絡がきたときに、「本当に誘ってくれてたんだ! すげえうれしいな」と思いました。俺らも「本当に作れたらいいな、実現したらいいな」と思っていたので。

──そこで選ばれたのが、新曲ではなく「FOUR COLOR PROBLEM」(2000年10月発売のアルバム)の収録曲「By Chance」だったわけですけど。

磯部 渋谷でドンドン(平林)以外の4人で会って「どうする?」みたいな話をしたんですよ。そこで「まったく何もないところから新しい曲を作るというのもできそうではあるけど、もっと時間があったほうがいいなあ」ってことになって。それで僕から、例えばハスキンの以前からある曲にMOROHAを重ねると言うか、そういう案を出したんです。で、最初に「欠けボタンの浜」はどうかなって言ったんですけど、UKくんがそれをバッサリと斬り(笑)。

──それはなぜ?

UK 別に斬ったわけではないんですけどね(笑)。想像できることをしたくなかったんです。「欠けボタンの浜」に僕らが参加するのはすごく想像しやすかったので、それよりもお互い実験的にやってみるほうが面白いしいいなと思って、もっと何かないかなって。

──聴いた人たちが驚くようなことをやりたいっていう。

UK(MOROHA / G)

UK そうですね。

アフロ 「欠けボタンの浜」をやろうっていうアイデアが出て、「おお!」って盛り上がったんですけど、UKがそう言ったらハスキンの2人が「そうかあ……」ってなっちゃって。

磯部 でもまあ、なるほどなと思いました。そのあとにパッと思い付いたのが「By Chance」。自分が書いてた歌詞を思うと、世界観的にもMOROHAと引き合うものがあるだろうなと思って。で、その場で2人に曲を聴いてもらって「これを母体にしていきましょう」ってことに決まりました。

和訳は見なかったけど、偶然リンクしてるところがあって

──「By Chance」の提案を受けたときはどう思ったんですか?

UK どの曲でやってもそうだったろうけど、最初はやっぱり想像できないですよね。どうやって作るのが一番いいのかっていうのは自分たちで手探りで見つけていったので、最終的にはどっちのよさも殺さずにできたかなと思います。

アフロ 俺は「By Chance」のイントロを聴いた瞬間に「ここはこういう感じでラップを乗せよう」ってすぐに思ったので、すんなり「これでいきたいっす」って答えた記憶があります。

──かなり抽象的と言うか、深くて独特な世界観を英語詞で歌っている楽曲だと思うんですけど、MOROHAの2人はこの曲からどういうインスピレーションを受けたんでしょうか。

アフロ(MOROHA / MC)

アフロ 和訳は見なかったっすね。

──そうなんですか!

アフロ 磯さんとTEKKINさんから、友達と飲み会をしてるときみたいな感覚で昔の話を聞かせてもらったんですよ。磯さんのエピソードだと思うんですけど、憧れに近付くために新品のジーンズを自分で破いたって話をしていて。磯さんがそれをしたってことがすごく印象的で、「これはグッときたから歌詞に入れたいな」と思ってそこから書き進めました。7、8割くらい完成したタイミングで初めて原曲の日本語訳を送ってもらったら、偶然リンクしてるところがあったりしたんで、「せっかくだからリンクしてる部分をクローズアップして膨らませたら、もっと親和性が出るんじゃないかな」と思って書き上げた感じです。

──MOROHA単体の歌詞とは違って、ハスキンの楽曲を基に歌詞の世界観が広がっていて、MOROHAの新たな可能性を感じました。

アフロ その通りだと思います。ハスキンの曲が引っ張って連れて行ってくれたところがあります。

HUSKING BEE「Stay In Touch」
2017年7月5日発売 / CROWN STONES
HUSKING BEE「Stay In Touch」

[CD]
1800円 / CRCP-40519

Amazon.co.jp

収録曲
  1. Stay in Close Touch
  2. Re-By Chance feat. MOROHA
  3. Singin' in the Rain
  4. Skyscraper
  5. Ring Sizer

公演情報

東北ライブハウス大作戦~STAY IN NEWWAVE~
  • 2017年8月18日(金)宮城県 石巻BLUE RESISTANCE
  • 2017年8月19日(土)岩手県 KESEN ROCK FREAKS
  • 2017年8月20日(日)北海道 KLUB COUNTER ACTION

<出演者> HUSKING BEE / THE STARBEMS

HUSKING BEE presents Resonance MOROHA ~Stay In Touch~
  • 2017年9月16日(土)東京都 新代田FEVER

<出演者> HUSKING BEE / MOROHA

HUSKING BEE(ハスキングビー)
HUSKING BEE
磯部正文(G, Vo)、平林一哉(G, Vo)、工藤哲也(B, Cho)による3人組バンド。1994年7月結成。1996年12月に横山健プロデュースで発表した1stアルバム「GRIP」が話題を集め、一躍メロディックパンクシーンを牽引する存在になった。フェス出演や海外リリースなどを行いつつ計5枚のアルバムを発表するが、2005年3月に解散。2012年2月に行われたイベント「DEVILOCK NIGHT FINAL」のステージで再結成を果たし、同年9月の「AIR JAM 2012」にて本格的な活動再開を宣言した。2013年2月に9年ぶりのオリジナルアルバム「SOMA」をリリース。バンドを離脱していた工藤哲也が2016年4月に再加入し、オリジナルメンバーの3人で同年12月にアルバム「Suolo」を発表した。2017年7月にミニアルバム「Stay In Touch」をリリース。
MOROHA(モロハ)
MOROHA
ラッパーのアフロとアコースティックギターのUKにより2008年に結成。2010年に「SUMMER SONIC」出場権を賭けたコンテスト「出れんの!?サマソニ!?」にエントリーし、審査の過程で急遽追加された「曽我部恵一賞」を受賞したことをきっかけに急速に注目が集まる。同年10月にROSE RECORDSから1stアルバム「MOROHA」をリリース。さまざまなアーティストとの対バンで、2人組という小編成ながらインパクトのある熱いパフォーマンスを繰り広げ、2016年には東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブをソールドアウトさせた。同年10月に自身のレーベル・YAVAY YAYVA RECORDSからアルバム「MOROHA III」を発表した。