音楽ナタリー PowerPush - ハンバートハンバート×細野晴臣
年賀状が縁で生まれた“カッコいいフォーク”
ハンバート ハンバートの新作「FOLK」は、誰のサポートも入れずに2人だけの歌とギターで作り上げた無添加純正作品と言うべき内容となっている。こういったスタイルで彼らがアルバム作りに臨むのは意外にも今回が初。佐藤良成と佐野遊穂のおなじみの掛け合いの面白さもより際立つ結果となっており、もちろん入門編としても最適だ。
そんな彼らができ上がったばかりのアルバム「FOLK」を携えて、尊敬する大先輩・細野晴臣がホストを務めるInterFMのラジオ番組「Daisy Holiday」に出演。番組収録はベートーベンの置物が厳かに鎮座する細野のプライベートスタジオにて行われた。
収録当日に2人が持参していた1枚のはがき。そこには彼らがこのアルバムを作るうえで大切なモチベーションとなったメッセージが書かれていた。送り主の欄には細野の名前がある。彼らに「FOLK」という直球な題名の作品を作らせることになった言葉とはいったい? 6月12日と6月19日の2回にわたってオンエアされたトークから再構成した対談をここにお届けしたい。
また特集後半には、番組収録の直後に行ったハンバート ハンバートの2人へのインタビューを掲載。今年デビュー15周年目を迎えた彼らが、そんなアニバーサリー作品を「FOLK」と名付けた真意を聞いた。
取材・文 / 桑原シロー 撮影 / 佐藤類
- ハンバート ハンバート ニューアルバム「FOLK」2016年6月8日発売 / SPACE SHOWER MUSIC
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3240円 / DDCB-94011
- 通常盤 [CD] / 2484円 / DDCB-14043
CD収録曲
(カッコ内はオリジナルアーティスト)
- 横顔しか知らない
- N.O.(電気グルーヴ)
- 長いこと待っていたんだ
- プカプカ(西岡恭蔵)
- 夜明け
- 生活の柄(高田渡)
- 国語
- 待ちあわせ
- 結婚しようよ(吉田拓郎)
- おなじ話
- さよなら人類(たま)
- ちいさな冒険者
初回限定盤 DVD収録内容
2015年9月19日 東京・日比谷野外大音楽堂ライブ「二人でいくんだ、どこまでも」
- いついつまでも
- バビロン
- コックと作家
- さようなら君の街
- ロマンスの神様
- おかえりなさい
- まぶしい人
- ぼくのお日さま
- おなじ話
- アルプス一万尺
- ホンマツテントウ虫
- アセロラ体操のうた
- おいらの船
InterFM「Daisy Holiday!」
細野晴臣がDJを務める、古きよき音楽から最新の音楽までを紹介するラジオプログラム。
毎週日曜 25:00~25:30 オンエア
ハンバート ハンバート
1998年に結成の佐藤良成(G, Violin, Vo)と佐野遊穂(Vo, Harmonica)による男女デュオ。2001年にアルバム「for hundreds of children」でCDデビュー。2005年のシングル「おなじ話」が各地のFM局でパワープレイに起用されたのをきっかけに、活動を全国に広げ年間 100本近いライブを行う。海外の伝統音楽ミュージシャンたちとも多数共演。テレビや映画、CMなどへの楽曲提供も多く、2010年からオンエアされた「ニチレイアセロラ」のCMソング「アセロラ体操のうた」が話題になった。2016年6月には、デビュー15周年記念作品として弾き語りアルバム「FOLK」を発表した。フォーク、カントリー、アイリッシュ、日本の童謡などの音楽をルーツとした懐かしく切ない楽曲と、繊細なツインボーカルで支持を集めている。
細野晴臣(ホソノハルオミ)
1947年生まれ、東京出身の音楽家。エイプリル・フールのベーシストとしてデビューし、1970年に大瀧詠一、松本隆、鈴木茂とはっぴいえんどを結成する。1973年よりソロ活動を開始。同時に林立夫、松任谷正隆らとティン・パン・アレーを始動させ、荒井由実などさまざなアーティストのプロデュースも行う。1978年に高橋幸宏、坂本龍一とイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)を結成し、松田聖子や山下久美子らへの楽曲提供を手掛けプロデューサー / レーベル主宰者としても活躍する。YMO「散開」後は、ワールドミュージック、アンビエントミュージックを探求しつつ、作曲・プロデュースなど多岐にわたり活動。2016年には、沖田修一監督映画「モヒカン故郷に帰る」の主題歌として新曲「MOHICAN」を書き下した。
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