ねごとを通じて音楽の聴き方が広がるのが理想的

──音楽の聴き方が変わるし、面白さがわかってきますよね。ねごとの音楽にも海外のインディロックのテイストが入ってると思うから、そういう観点で聴いても面白いかも。

古溪　そうですね。ねごとについて少しだけ語らせてもらうと（笑）、デビューのときから「すごくいいバンドが出てきた！」って思ったんですよ。

蒼山　ありがとうございます。

古溪　「ループ」「カロン」のポップさもいいんだけど、俺は「ワンダーワールド」が好きで。あの曲って、オルタナ感とファンタジーの雰囲気が両方あるんですよね。スパイク・ジョーンズが「かいじゅうたちのいるところ」を作った感じと似てるんですよね、自分の中では。単に歌詞の中に「怪獣」が出てくるから、そう思ったのかもしれないけど（笑）。

沙田　ははははは（笑）。うれしいです。

古溪　ほかの曲でもBlurのテイストを感じたり、「Pixiesの匂いがするな」って思ったり。そうなると「どういうバックグラウンドがあるんだろう？」って気になるんですよね。そういうふうに、ねごとを通じて音楽の聴き方が広がるのって理想的じゃないですか。

沙田　あと、レーベルごとに聴いてみるのも面白いですよね。

古溪　そうそう。Hostessが扱ってるレーベルって、4AD（1979年に設立された英国名門レーベル。Cocteau Twins、Pixiesなどを輩出したことで知られる）、Domino（1993年に英国で設立。Arctic Monkeys、Frantz Ferdinandなど2000年代以降の重要なバンドが数多く在籍）みたいに“色”がはっきりしているんですよね。日本の場合、そこまで個性のあるレーベルは少ないのかな、と。（ねごとが在籍している）Ki/oon Musicはちょっと違いますけどね。

沙田　独特ですからねえ。

古溪　電気グルーヴ、ギターウルフがいる時点で、レーベルの個性が出てますからね。ねごとがKi/oonにいるのも、偶然ではないというか。

蒼山　そうですね（笑）。

最初にステージを体験して、そのあとで音源を聴くのもいい

──最後に今回の「Hostess Club Weekender」の中で、気になるバンドを教えてもらえますか？

古溪　個人的な推しはThe Bohicasですね。さっきも言いましたけど、最初に出てくるバンドは当たりが多いし（The Bohicasは22日のトップバッターとして登場）、Dominoの新しいバンドなので。ソンも楽しみですね。4ADの新人なんですけど、まさにインディR＆Bといった今の旬な感じの音だな、と。あとはPerfume Genius。パフォーマンスがすごくエモーショナルなんですよ。

蒼山　声もいいですよね。

沙田　新しいアーティストがどんなステージを見せてくれるか？っていう期待もありますよね。Simian Mobile Discoのパフォーマンスも気になるし。あとはCloud Nothings。新しいアルバム（3rdアルバム「Here and Nowhere Else」）がすごくよかったんですよ。キャッチーなメロディが増えていて。

蒼山　出演するアーティストを全部チェックしてみたんですけど、Toyとソンがカッコいいなと思いました。

古溪　Toy、いいですよね。The Horrorsの系譜というか、ダークな感じで。Joan As Police Womanもぜひ観てほしいですね。俺、毎回「次はこのアーティストを呼んでほしい」ってHostessのスタッフにリクエストしてるんですけど、前回リクエストしたのが彼女なんですよね。

蒼山　すごい！

古溪　いや、別に俺のリクエストが効いたわけではないんだけど（笑）。彼女はジェフ・バックリィのガールフレンドだったらしくて、そこから興味を持ったんですよね。HighasakiteもCocteau Twins に似た空気があって好きだし、Blonde Redheadも色気があるバンドだし、キャット・パワーはまだ観たことがないから、すごく楽しみで……。

──魅力的なラインナップですよね、ホントに。会場に足を運べば、必ず刺激的な音楽体験ができるっていう。

古溪　そうですね。

沙田　最初に生のステージを体験して、そのあとで音源を聴くっていうのもいいと思うし。

蒼山　うん、ライブが始まっちゃえば楽しめますからね。