なぜ俺を使う人は俺を裸にしたいのか

──今回の「星野源スペシャル」では「箱入り息子の恋」がオンエアされるんですけど、俳優業のほうも今後新しい姿を観られそうですか。

そうですね。早くお芝居したいです。

──やっぱり演技で賞をもらったり（参照：星野源が「ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞）、評判がよかったりっていうのはモチベーションにつながるんですか？

ものすごくつながります。お芝居に4つも賞をいただけて評価してもらったことって今までなかったので、本当に元気が出たし、やったー！と思って喜びました。いやあ、うれしかったな。

──わりとどれも体張ってらっしゃいますよね。

そうですね……（笑）。なぜ俺を使う人は俺を裸にしたいのかっていう謎が解けないですね。松尾（スズキ）さんにしても宮藤（官九郎）さんにしても。今回WOWOWで使われる“舞台蔵出し映像”の候補を観せてもらったんですけど、俺ほとんど裸で。裸 or ブリーフ。もう爆笑して「なんでこのチョイスになるの!?」って。もうみんな俺の裸が好きなんだなって思って（笑）。

──いい場面はほかにもきっとあるはずなんですけどね（笑）。

あるはずなんですけどね！ でも確かに“名場面集”ではありました。そういえば「七人は僕の恋人」っていう舞台の中で歌った「女子よ」っていう曲があるんですけど、あれすごい好きで。自分が作った曲でもかなり好きなランキングに入るんですよ。あれひさしぶりに映像で観てやっぱり面白いなって思いました。僕はまず精子の役で出てきて（笑）、そのあとそのオナニーしたあとの中学生だったかな。

──まだやったことがなくて、今後お話が来たら受けてみたい役柄ってありますか？

今までにないのは犯罪者とかないですね。いわゆる悪役。それはずっとやりたいです。ぜひWOWOWドラマとかで起用してください（笑）。

──あはは（笑）。

（WOWOWのカメラに向かって）空けて待ってますから。凶悪なサイコパスの役を（笑）。

“無”の曲を作るのが目標

やっぱり役だと、自分が思ってないこと言えるんで楽しいんですよね。違う人になれる。歌はどうやっても自意識が出て“自分”の要素がどうしても入っちゃう。むしろ溜まってるエゴみたいなものを吐き出す作業なので、創作活動してる感じがすごくするんですけど、自分にとって芝居は“自分”をなくしていく作業で。なくしていけばいくほどうまくいくっていう感覚があって。歌でも本当はなるべく入れたくないし、これからはなくしていきたいんですけど。

──あ、そうなんですね。

“無”の曲を作るのが目標なんです。ところどころできている曲もあるんですけどね。「レコードノイズ」とか。あの曲の中で言いたいことは本当に何もないんです。でもなんか感じる、みたいなのが一番理想で。メッセージとかじゃなくて、何か気持ちよかったりとか、何か元気が出たりとか。そういう曲をこれからはどんどん作っていきたいですね。

──以前も、あまり共感っていうのは好きではないとおっしゃってましたけど、メッセージとか共感とかではない部分で何かを感じてもらえるような曲を。

自分が自然と出したものに対してそれぞれ勝手に共感してもらうぶんには全然ありがたいんですけど、ただ「どうですか？ これ共感するでしょ？」ってこっちが出すのはすごくよくないと思っていて。理想としては……うん、“無”にやっていきたいですね。「なんかわからんけどすごく好き」って言ってもらえるのが一番いいですね。