バタバタな舞台裏

──しかし“ダーター”のライブでよくこれだけ盛り込みましたよね。大成功だと思うんですけど、堀江さんの中で「ホントはこうしたかった」とか「こうすればよかったなー」みたいな不満な点、反省点などありますか？

「ここはセリフで受ければよかったなー」とか「こうしたほうがスムーズたったかもなー」とか、細かい点はあとあと思うところはありますけど、とにかく2日間ケガもなく、風邪も引かずに元気にやり切ることが目標だったので……。なんか高いんだか低いんだかわからない目標ですけど（笑）、とにかく2日間を無事に終えられたのは何よりでした。

──歌うだけじゃなく、あれだけのストーリーを演じてダンスもして……と考えると、声優としてお仕事しながらよくあのステージをこなせるなと思うんですけど。リハーサルだってそんなに何度もできないですよね？

歌以外に覚えなきゃいけないことがホントにいっぱいあるので（笑）、いつもライブ1カ月前ぐらいの時期が一番精神的にキツくて。メイキングを見てもらうとわかりますけど、すごく細かい、そこどうでもいいんじゃないの？みたいなところに、ものすごく時間がかかるんですよ（笑）。

──メイキングには「ミス・モノクローム100本ノック」とかありましたね。

そういうちっちゃいネタのタイミングを合わせるのに1時間ぐらい時間かけたりして。セリフを言ってるとき手に持っているものをどうするかとか、着替えのタイミングでこれを受け取って……とか、段取りを決めるだけで意外と時間が取られちゃうんです。1週間前にようやく流れがまとまって、それから大きな倉庫を借りてセットを組んで、ようやく全体像が見えてくるみたいな感じですから、ホントにギリギリでした。

おはぎが食べたい

──堀江さんがいつもライブ前に必ずやっていること、決まりごと、ジンクスなどはありますか？

当日ごはんを食べる時間はすごく気を付けます。食べてから本番まで6時間以上は開けたくて。ツアーでは慣れてきちゃうと入り時間が遅くなったりしてリズムが崩れちゃうので、思った時間にごはんが食べられないとちょっとドキドキしますね。ライブのときはおはぎがいいって話を聞いて……。

──おはぎ？

はい。糖分も摂れるし、お米だからお腹にもたまるし、体力も持つんじゃないかって。前に一度おはぎを食べたら、すごく調子がよかったんですよ。だから今回は直前に「ごはんじゃなくて、おはぎが食べたい」ってお願いしてたんですよ。でも私、おはぎって言ってるつもりが間違って「大福！ 大福！」って騒いでたみたいで（笑）。そしたら2日目かな？ 事務所の社長が差し入れで「これ、大福です！」って持ってきてくれたんです。「やったー！ 大福だー！」と思ってフタを開けたときに「……いや、なんか違うぞ？」って（笑）。

──確かに口では大福って言ってるし合ってるんだけど、頭の中にあるおはぎのイメージとは違うものが目の前に（笑）。

あー!! おはぎだったー!! ……ということがありました（笑）。

──では最後に、今後ライブでやってみたいことはありますか？ 「時間泥棒」も「堀江由衣をめぐる冒険IV」も凝った設定でしたが、次はこんなシチュエーションに挑戦してみたいというのがあったらぜひ教えてください。

うーん……この2日間のライブを考えるときもすごく苦労したんですよ。前回のツアーからそんなに間が空いてなかったから、出し尽くしちゃった感があって。話し合いながらだんだん迷走し始めて（笑）、「あとはもう本格ホラーぐらいしか残ってないよね」って。お客さんを本気で驚かせるようなのを（笑）。

──あははははは（笑）。でもこのチームで完璧に作り込んだら、それはすごいものになりそうですよね。

「私たちはいったい何がやりたいんだっけ？ ライブじゃないの？」って（笑）。でもそこで話していたことが2日目の幽霊海賊団みたいなところに残ったんだと思います。あと、毎回なぜか剣を持っているので、剣を持たないライブもやってみたいですね（笑）。