デモ段階では10分以上の超大作

──ニューアルバム「秘密」のリード曲となる「CHILDISH♡LOVE♡WORLD」で2度目のコラボが実現したわけですが、今回は「インモラリスト」とはまた違ったトリッキーな楽曲ですね。これはどういう狙いで作ったのでしょうか。

清　今回の曲は入れ込み過ぎて、デモの段階では10分を超えて……。

堀江　アハハハ！ 超大作ですね（笑）。

清　それで送ろうかと思ったんだけど、この1曲でアルバムのトータルの世界観を崩すのもあれだし、と思ってもう1回作りなおして。

──最初に聴いたときは、堀江さんのパブリックイメージが具現化されているというか、「ザ・堀江由衣」を楽曲化したような曲だなという印象でした。堀江さんのファンじゃないと書けない曲だなと思っていたのですが、先程の話を聞くとすごく納得がいきます。

清　そうですね。普段から楽曲も聴き込んでいるし、ライブDVDも観ているので、なんとなく自分の中で堀江さんのパブリックイメージを噛み砕いて作りました。自分なりに今までのアルバム7枚の世界観から逸脱しないように、というのを心がけて。アルバム全体の内容を具体的に聞いていたらまた違ったものが出てきたのかもしれないですけど。

フレー！フレー！ほっちゃん！

──堀江さんはこの曲が届いたとき、どういう印象を持ちましたか？

堀江　清さんの持ってくださってる私のイメージが知りたくて、私のほうからはなんの指定もなくお願いしますって伝えたんです。だから曲が届いたときは衝撃でもありましたし、すごくうれしかったです。「インモラリスト」からのこの曲だったので、清さんの曲作りの振り幅はすごいなって（笑）。あと……曲の途中で私応援されちゃうんですけど（笑）、あれはどういうことなんでしょうか？

──ハハハ（笑）。「フレー！フレー！ほっちゃん！」は衝撃ですね。

清　今回はアルバムのキーワードとして「秘密」と「ノスタルジック」の2つをヒントにもらっていて、このうちの「ノスタルジック」のほうに比重を置いたんですよ、どちらかと言うと。堀江さんのポップさを自分の中で噛み砕いたとき、小学生というか、小学校時代みたいなイメージが浮かんだので、リコーダーを入れてみたり。「フレー！フレー！」というのはなんとなく小学校の運動会みたいな。応援合戦の雰囲気を出そうと思って。

堀江　私、走ってるんですね（笑）。しかもその声、デモだと清さんが全部やってくださってるんですよ。「ワー！」とかも。最初はちょっと笑っちゃったんですけど（笑）、曲の後半になるに従ってどんどん盛り上がっていくというか、畳みかけていくところがもう感動で。「こんなすごい曲を作ってくださるって本当にうれしいことだな」って、帰り道にイヤホンで聴きながら、ちょっとジーンとしちゃいました。

清　いやいや、もう……。

堀江　私の印象は「心の中に少年少女を抱えた人へのエール」です。

清　歌詞の内容はそんな感じですね。

堀江　それは私が17歳って言ってるからですか？

清　それもちょびっとあります（笑）。そこにちょっと具体的なシーンを組み込んだような。

堀江　みんな本当に衝撃を受けてました、この曲。もちろんすごくいい意味ですけど。今までありそうでなかった、やりたくてもやれなかった新しい世界観を引き出してくださって。楽曲のイメージとか「こんなのが作りたい」って言葉にしようとしても、やっぱり100％を伝えるのは難しいですよね。「CHILDISH♡LOVE♡WORLD」は何も言わずにお願いしたのに、自分の力不足で表現できなかったものを引き出してもらえたみたいで。「私のことを理解してもらえた！」ってすごく感動したんです。

3度目のコラボは？

──ここまでいいコラボレーションが続くと、これはどうしたって今後の展開も期待してしまいますが、いかがでしょうか？

清　多分そろそろイヤになってると思いますよ。

堀江　ヤじゃないです！ なんでですかー！ 逆に清さんが私にもう飽きたんじゃ？

清　全然、僕はいくらでも書きますけど。こういうこと言っちゃうと「ああまたお願いしなきゃな」みたいなビジネス的な社交辞令が……。

堀江　いやいや！ すごくお願いしたいんです。でも、みなさんから「清さん本人の作業が遅れる」って言われると、それが本当に申し訳なくて（笑）。

清　それはどうにでもなりますよ。

──清さんとしてはまだまだ堀江さんをイメージした曲はできますよね。

清　僕の中ではいろいろあるので、もし次もやらせてもらえるんだったら、事前にじっくり話し合ってから作ってみたいなというのはありますね。2曲とも結構アップテンポだったんで、次はバラードもいいですよね。

──清さん自身の楽曲に近い、ソウルフルなメロディラインの曲でも、また新しい世界観が開けるんじゃないかと思います。

堀江　難しそうですねー。清さんのデモをいただくと、歌のパワーがすごくて「ああー」みたいな。なかなか私には再現できないんですよ。

清　いやいや、僕が歌うより堀江さんが歌ったほうがはるかに良いので。その辺は心配するところではないです。